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昨日の [Y. A.] によるPachyella(カバイロチャワンタケ属)の記事について若干気になったので、再び現地に出向いて新たな子実体を採取してきた。5〜6個を採取したが、成熟していたのはそのうちの一つだけだった。その子実体を中心にあらためて検鏡した。 はじめて見た4月28日から5月2日(a)までは、大きさも色も形もほとんど変化がなかった。この時点では大部分が径5〜12mmのお椀状だった。そして、11日(b)から16日(c)には急に大きくなり、多くは皿状になった。しかし、子実層にまだ胞子は見られなかった。 23日になると時折胞子を放出する子実体がわずかに見られるようになった(d)。大きさや形、色は11日時点からあまり変化はない(径15〜45mm)。持ち帰った子実体からあらためて顕微鏡で観察した。カバーグラスにとった胞子紋を検鏡すると、胞子表面には微疣があった。水で封入した画像は分かり難いので、ここではフロキシン染色したものを掲げた(f)。また、子嚢は若い菌でも成熟した菌でも、ともに上半部が明瞭なアミロイド反応を示している(h, i)。 この属のきのこでは、托外皮付近の構造に大きな特徴がある。数珠状に繋がる細胞があり、最外部の細胞には紐状の細胞が続く。そしてこれら全体が柵状に並ぶ。紐状の部分はゼラチン質に包まれているので、なかなか明瞭な姿の画像を得るのが難しい(k, l)。 |
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とりあえずカバイロチャワンタケ Pachyella clypeata としておくが、胞子表面が平滑ではないこと、子嚢の上半部がはっきりとアミロイド反応を示すことなどから、ケシムラサキチャワンタケP. violaceonigraとするのが適切なのかもしれない。 |
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