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2019年6月7日(金) アミヒラタケ:白色腐朽の二菌糸型
 外は雨だし体調も芳しくないので、午前中に久しぶりに硬質菌をじっくりと観察してみた。犠牲者となったのは昨日奥日光千手が浜周辺に出ていた巨大なアミヒラタケ(雑記2019.6.7)。二株出ていたが(a, c)、その一部を持ち帰ってきていた。
 雨が少なくきのこの発生が悪い年には、多くのきのこが幼菌のうちから虫に食われて成菌になると子実層の部分がボロボロになってしまうケースがとても多い。今年は特にその傾向が顕著に表れている(b)。この日であったタモギタケもそうだった。
 アミヒラタケのカサ表皮のささくれは立ち上がりが少なくほとんど密着している(e)。またカサ表皮(e)も子実層(f)もとても薄く、断面を見ると大部分が白色のカサ肉になっている(g)。
 硬質菌で重要なのは、腐朽型と菌糸構造だ。そこでカサ肉と子実層の部分にα-ナフトールのアルコール溶液を滴下してみた。すぐには変色せず、数分後にわずかに赤紫色に、30分後には子実層の基部あたりが濃紫色に変色した(h)。つまり白色腐朽菌だ。
 次にカサ肉の一部を摘まみだして、フロキシンで染めてKOHで封入してカバーグラスの上から消しゴムでほぐしてみた(同2003.9.18同2010.7.31)。菌糸は原菌糸と骨格菌糸の二菌糸型で(i)、原菌糸にはクランプがある(j)。担子器は4胞子型(k, l)。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)