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運営者 浅井 郁夫(東京生)
居住地 栃木県日光市
趣 味 蘚苔類観察、、菌類観察、秘温探訪、蕎麦探訪
所属団体 日本蘚苔類学会、岡山コケの会、 日本菌学会、千葉菌類談話会など
主な観察地 栃木県日光周辺、関東地方、東北地方南部
顕微鏡など [顕微鏡] BIOPHOT (Nikon)[実体] SZ-PT (Olympus)[補助] BH2 (Olympus)
顕微鏡撮影 [顕微鏡] NFK2.5xL+EOS Kiss X2 (Canon)[実体] E-410 (Olympus)
コケ撮影 E-620 + ZD 35mm MACRO (Olympus)、GXR+P10 (Ricoh)

MONOLOGUE
 ホームページの運営にはパソコンが必須である。でもパソコンは大嫌いであり、関わり合いを持ちたくなかった。パソコンに限らず機械は苦手であり、総じて好きではない。ビデオやらオーディオ類のリモコンは未だにうまく操作できない。何度教わっても人並みの操作をすることはできず、今ではすっかり諦めの境地である。いわば先天性の機械音痴なのだ。そして大のマニュアル嫌いでもある。したがって何を購入しても説明書やらマニュアルを読むことはまず無い。

 なぜ、コケなどに首をつっこんだり、このようなホームページを開設したのかについては、「はじめに」に書いたので、ここではそのことには触れない。このサイトの [観察覚書] は、きのこの観察と同定の手法を、そのまま蘚苔類に適用したものといえよう。菌類観察を通して得た顕微鏡観察の技能などはそのままコケの観察にも適用できる。さらに、生物分類学の基礎知識、種の同定という作業に伴う考察方法、分類形質の重みづけと安定性、などの生物分類の考え方はそのまま生きるようだ。

 コケ世界に首を突っ込んでほぼ1年半が経過した。最近ややおっくうになっているのが写真撮影だ。同定が主目的ならば、観察結果をメモ用紙に書き留め、文献にあたるだけでよい。肉眼とルーペだけで種名まで分かれば、そこで作業完了である。形質状態の観察不足が判明しても、そこだけを再度観察すれば、概ね作業は終了する。これらの過程で、地域新産であると判明すれば、そのことを別途記録する。日本新産種あるいは既報告種のどれにも該当しないとなってはじめて、あらためて写真撮影をしたり、観察記録に具体的な細かい計測値を加え、顕微鏡図などを描くことになる。

 つまり、よほどのことがない限り日常的同定作業の場においては、個体の単体写真、乾湿時の比較写真、葉や凾ネどの写真、葉身細胞や剋浮フ写真、葉や茎の横断面の写真撮影などといった、面倒な作業は一般には行われない。さらに顕微鏡写真撮影にあたっては、撮影装置側を常に同じ条件に保ち、スケールなどの撮影も必要となる。対物レンズの倍率、撮影データに対するメモも欠かせない。撮りっ放しでは、どの部分を対物何倍レンズで撮影したのかすら曖昧となってしまう。

 したがって、たった1種をアップするまでには、同定目的だけであれば7〜8種は楽に取り扱える時間を必要とする。形質状態の提示には十分条件と必要条件がある。「顕微鏡でみれば分かる」のと「顕微鏡写真だけで分かる」のとでは、まるで違うことがある。たとえば、ヤノネゴケ Bryhnia novae-angliae の葉身細胞背面上端の微突起は、顕微鏡の微動ノブを動かしながら観察すればすぐに分かる。中肋先端背面に見られる突起なども同様である。しかし、これを一枚の撮影画像で表現するには、それなりの工夫が必要となる。ミズゴケ類やシノブゴケ類の枝葉の横断面などでもそれはいえる。

 実体鏡の下で葉の横断面を切り出し、顕微鏡で観察するだけならば、比較的簡単な作業といえる。しかし、切り出した葉の横断面は、たいていの場合形質状態を観察するための必要条件を満たしてはいても、十分条件を満たしてはいえない。つまり、断片的なものであっても、目的の部分さえ顕微鏡でみられれば、形質状態の確認は可能である。しかし、画像だけで形質状態が分かるようにするには、プレパラート作成段階での配慮が必要だ。あまりに封入液が多すぎたり、試料が歪んでいたり、捻れていたり、途中から断面が倒れていれば、それは使えない。したがって、[よいプレパラート] を作る必要がある。これは、結構神経を使う作業といえる。[きれいな画像] よりも [形質状態を捉えた画像] が重要となる。ただ、一般的には、きれいな画像には形質状態がよく表現されたものが多く、汚い画像は不鮮明な分かりにくい画像である場合が多い。

 昨年(2007)は、かなりのペースで次々に多種にわたるコケの観察覚書をアップしてきた。今年は、このようなペースでのアップはできそうにない。すでに始まっているが、きのこ関連の仕事で、この一年はかなり忙殺されそうないやな予感がする。いや、予感ではなく、分かっていてその場から逃避しているというのが現状だろう。

(2008.2.10)

 きのこ関連の仕事は予測よりずっとやっかいで、2011年にはコケ観察を全面的に中断せざるを得なくなった。さらに2012年1月25日には30年間近く住んだ埼玉県川口市を離れて、26日から福島県いわき市に転居することになった。いわき市周辺のコケを観察したいのはやまやまだが、いまだにきのこ関連の仕事に忙殺されてコケの観察はまったくしていない。日本蘚苔類学会も岡山コケの会もともに幽霊会員状態が続いている。このままいくと、コケのイロハすら忘れてしまいそうだ。
(2012.1.24)

 あいかわらずコケの観察はずっと中断状態で関連学会なども幽霊会員のままだ。さらに2015年6月25日に3年半ほど住んだ福島県いわき市を離れて、26日から栃木県日光市に転居することになった。いわき市在住の折には結局、コケ観察は全くできなかった。
(2015.6.26)

 2011年3月を最後に長いことコケ世界から離れていた。昨年6月末の転居から八ヶ月ほど経過し生活もだいぶ落ち着いてきた。キノコ関連の仕事はとりあえず一段落したので、他のことをする時間がとれるようになった。長い空白期間のため、コケに関する基礎知識をすっかり失っていることを痛感した。とくに分類に関するイロハを完全に忘れている。屋外でコケをみても属の推測すらできなくなっている。まずは基礎知識の再習得からはじめて、遠からず日光市界隈のコケから観察を再開したいと思っている。
(2016.3.2)

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