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[標本番号:No.85   採集日:2007/01/28   採集地:神奈川県、川崎市]
[和名:ヤマトヨウジョウゴケ   学名:Cololejeunea japonica]
 
2007年1月29日(月)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
 川崎市の公園でいつもみていて気になっていたコケを観察してみた。シデの樹幹に薄い緑の膜のような姿でへばりついている(a)。ルーペで見ると苔類らしい(b)。いまでこそ苔類だと判別できるが、昨年の夏前までは、苔類なのか藻類なのかも分からなかった。
 1月28日に持ち帰ったものをルーペでみると、茎の長さは1〜2mm、幅は0.4〜0.8mmでとても小さく、倒瓦状に葉をつけている(b, c)。持ち帰ったものを水没させると、葉の表面にきらきらと反射する小さな丸い組織がある(d)。
 葉は卵型で円頭、腹片は舌形やらヘラ形、ポケット形と変化に富み、腹葉はない(e, f)。腹片の端にみられるスチルスは2〜3細胞。背片には円盤状の無性芽が多数ついている(g)。葉身細胞にトリゴンはみられず、油体は各細胞に10〜20ある(h)。
 これはヤマトヨウジョウゴケ Cololejeunea japonica らしい。ちなみに、この苔類を採取したときに、地上に落ちている葉に着いたコケがないか探してみたが、一枚も見つからなかった。観察してみてヤマトヨウジョウゴケだったのは、これで三度目である。今度野外で同じ種に出会ったらルーペだけで同定できそうだ(覚書2007.1.19同2006.10.28)。