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[標本番号:No.312   採集日:2007/08/25   採集地:長野県、富士見町]
[和名:フジノマンネングサ   学名:Pleuroziopsis ruthenica]
 
2007年9月5日(水)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 先月25日、長野県にある入笠山の標高1810m付近で、フジノマンネングサの大群落に出会った(a〜c)。幅50〜60メートル、長さ数百メートルくらいの範囲に、フジノマンネングサが足の踏み場もないほど出ている場所がある。知る人ぞ知る有名な大群落地らしい。
 コウヤノマンネングサ (No.123)やフロウソウ (No.33)などと比較して、分枝した枝が細く柔らかくて繊細な感じがする。ルーペで見ると、支茎についた葉と枝葉とではかなり大きさが異なる(d)。茶色で木質化した主茎の葉と、支枝についた葉を比較するとさらに大きさが対照的だ(e)。主茎の葉は円筒形で、カバーグラスをかけると両脇が折り畳まれてしまった(e)。葉縁は全縁で、中肋は非常に短くはっきりしない。それに対して、枝葉は上半部の縁に大きな歯があり、太い中肋が先端近くまで伸び、中肋先端は刺状になっている(f)。
 この蘚のサイズなどについては、6月20日に観察したNo.264(埼玉県秩父市)とほぼ同様なので省略した。枝から葉を取り去って表面をみると、確かに縦に条線が走ったように細胞が並んでいる(g, h)。太い主枝の表面も同様(i)。これらを横断面で切ってみた(j)。茎の表面には、鹿角のように分岐した細胞が(l)、枝の表面には数細胞の高さの薄板が見られる(k)。
 
 
 
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
(p)
(p)
(q)
(q)
(r)
(r)
 念のために、茎葉の細胞もチェックした。葉の中央部付近(m)、基部付近(n)、横断面(o)をみた。また、支枝の葉についても、同じように中央部(p)、基部(q)、横断面(r)を確認した。枝葉の葉身細胞はウジ虫状で長さ20〜50μm。これはほぼ図鑑などにある通りだ。
 しかし、茎葉の葉身細胞はこれと比較するととても大きく、中央部で長さ90〜130μmほど、基部の細胞は長い六角形で長さ50〜80μm、幅が10〜25μmほどもある。同一縮尺で両方の葉の横断面をみると、細胞の大きさの違いは顕著である(o, r)。