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[標本番号:No.370   採集日:2007/10/12   採集地:京都府、京都市]
[和名:ヒノキゴケ   学名:Pyrrhobryum dozyanum]
 
2007年12月2日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
(p)
(p)
(q)
(q)
(r)
(r)
 11月初めの頃、ケシボウズタケ属探索のため京都市左京区の山にでかけた。その折りに、朔を多数つけたヒノキゴケの群落に出会った(a)。ヒノキゴケはこれまで2度ほど観察しているが、朔をつけたものを見たのは初めてだった。配偶体についての観察結果は、先に観察したもの(標本No.124同No.99)とほとんど変わらないので、写真と観察結果の記述は省略した。
 ここでは、胞子体と雌苞葉についての観察結果だけを記述しておこう。

 朔柄は茎(配偶体)の途中から出る(b)。1本の茎に1〜3本の朔をつけ、朔柄の長さは3.5〜4.5cm、朔はほぼ水平につき、僧帽状に尖った帽、長い嘴状の蓋をもつ(d, e)。観察した個体では、口環はあまり明瞭ではなかった。朔歯は内外二重で、それぞれ16枚からなる(f)。
 外朔歯は披針形で(f, o)、先端〜中央上部は微細な乳頭に被われる(g)。内朔歯(n)の間毛は3〜4本で、表面は微細な疣に被われる(h)。保育社図鑑には「内朔歯の歯突起は高い基礎膜の上にある」と書かれているが、本標本の基礎膜はさほど高くない。
 胞子(m)は径12〜16μmの類球形で、表面は非常に微細な疣におおわれる。朔柄の基部には、受精しなかった造卵器(q)が雌苞葉に包まれるようにいくつも残っている(p)。念のために、朔の横断面の写真も載せておこう(r)。
 雌苞葉は、長さ6〜9mm、広卵形の基部から急に細くなって芒状に長く伸び、太い中肋が先端に達し、細い芒状の部分には鋭い歯がある(i, j)。雌苞葉の葉身細胞を、基部(1)、細くなる付近(2)、先端近く(3)で確認した(k)。基部の葉身細胞は大形透明で葉緑体を持たず、中程の細胞は矩形、細い芒状の部分の細胞は方形で、大きさはそれぞれかなり異なる。雌苞葉の2箇所で、横断面を切り出してみた(l)。いずれの部分でも、中肋は明瞭だ。