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[標本番号:No.568   採集日:2008/12/20   採集地:東京都、奥多摩町]
[和名:ギボウシゴケモドキ   学名:Anomodon minor ssp. integerrimus]
 
2008年12月25日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 奥多摩でタチヒラゴケがついていた石灰岩壁の続きには、糸状〜細紐状で不規則に分枝したキヌイトゴケ属 Anomodon の蘚類がカラカラに乾いて広がっていた(a)。一次茎は石灰岩壁をはい、二次茎は立ち上がり、くすんだ緑色の葉をつけ、不規則に分枝する。乾いても葉は縮れず、茎や枝に密着し紐状だが、湿ると側方に展開し扁平気味となる(b〜e)。
 葉は舌状で基部は広卵形、長さ1.5〜1.8mm、舌状の部分は先端近くまでほぼ同幅で、葉先は丸く、葉縁は全縁、中肋を挟んでやや非相称。強い中肋が葉頂直下にまで達する(f, g)。葉身細胞は類円形〜方形で、長さ6〜8μm、多数の小さな乳頭に被われ暗く、輪郭ははっきりしない(h)。葉基部の中肋に近い部分の葉身細胞は、類矩形でやや長めで表面は平滑(i)。葉の横断面で中肋にはステライドもガイドセルもない(j)。葉先近くの横断面では、葉身面が2層の細胞からなる部分も見られる(k)。茎の横断面には弱い中心束があり、表皮細胞は厚壁で小さい(l)。

 平凡社図鑑でキヌイトゴケ属の検索表をたどると、すんなりとギボウシゴケモドキ A. minor ssp. integerrimus に落ちる。種の解説をよむと観察結果とほぼ一致する。
 ギボウシゴケモドキは過去に2度観察しているが、標本No.371でも同No.68でも、茎の横断面に中心束はなかった。本標本では弱い中心束が見られる。また、標本No.68と同様に、葉の上部で葉身細胞が2層になった葉が多かった。