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[標本番号:No.1154   採集日:2017/01/13   採集地:栃木県、日光市]
[和名:シシゴケ   学名:Brothera leana]
 
2017年2月15日(水)
 
(a)
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(b)
(b)
(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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(g)
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(h)
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(i)
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(j)
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(k)
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(l)
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(m)
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(n)
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(o)
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(p)
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(q)
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(r)
(r)
(a, b) 植物体、(c) 古びた朔、(d) 個別の個体、(e) 朔を付けたもの、(f) 古びた朔、(g, h) 葉、(i) 葉の先端、(j) 葉の基部、(k) 葉身細胞、(l) 葉の断面、(m) 茎の断面、(n) 胞子体:乾燥、(o) 胞子体:水中、(p) 朔歯、(q) 朔歯基部、(r) 朔歯先端

 今日観察の練習をしたのは1月13日に日光だいや川公園で採取したコケだ。この公園の遊歩道脇には広範囲にシシゴケと思われるコケが見られる。この時は無性芽を付けたものは全く見られず、やや古くなった朔をつけた群落があちこちで見られた。
 どの群れも杉の根元周辺に多くみられ、ホソバオキナゴケやハイゴケなどと混生しているものが多い。茎は短く3〜6mm、密に葉をつける。葉は披針形で針状に長く伸び、ほぼ全縁で、長さ2.5〜5mm。中肋は幅が広く、基部では葉幅の半分ほどを占め、上部では葉の大半となり中肋以外の部分との境界は不明瞭となる。葉身細胞は矩形で膜はやや厚く、翼部は特に分化しない。葉の断面を見ると、中肋付近では複数の細胞層からなり、中心部にステライドのような厚壁の細胞が見られる。茎の断面に中心束のようなものは見られない。
 胞子体は乾燥しているときは、朔柄がややジグザグに曲がってはいるがほぼ直線状。しかし、湿り気が強くなったり水没させると、朔柄が白鳥の首のように曲がる。朔は楕円形で、表面に気孔は見つけられなかった。朔歯は一重で、おそらく16枚からなっていると推測されるが正確な確認はできなかった。

 シシゴケを詳細に観察したのはかなり前のことだ。標本No.577の群落では無数の無性芽がみられたが、No.112では無性芽をつけていなかった。しかし、両者ともに朔は見られなかった。ただ、残念ながら今回採取した群落の胞子体はかなり古びたものばかりで、朔歯がきれいな状態で残っているものはなかった。未成熟ながら帽をつけたものもあったが、取り外すことはできなかった。シシゴケで間違いなさそうだ。同じ日に日光だいや川公園で採取したコケはハイゴケをはじめ、あと二点ほど残っている。