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[標本番号:No.1234   採集日:2018/04/03   採集地:栃木県、矢板市]
[和名:カラヤスデゴケ   学名:Frullania muscicola]
 
2018年4月15日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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(g)
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(h)
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(i)
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(j)
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(k)
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(l)
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(m)
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(n)
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(o)
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(p)
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(q)
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(r)
(r)
(a, b) 発生環境、(c) ルーペでみた、(d) 標本:背面、(e) 標本:腹面、(f) 腹面、(g) 背面:顕微鏡下、(h) 腹面:顕微鏡下、(i) 腹葉:顕微鏡下、(j) 葉、(k) 葉基部の細胞、(l) 葉縁部の細胞、(m) 油体、(n) 花被を付けた株、(o) 花被、(p) 花被:顕微鏡下、(q) 花被の中身、(r) 花被を押しつぶしてでてきた弾糸

 矢板市にある県民の森を散策したときに、樹幹や落ち枝の表面に赤黒色のタイ類が沢山ついていた。あまりにもよく目立つので持ち帰ってきた。採取当日に油体の観察と撮影だけを済ませておいた。その後室内に放置して乾燥させた標本を、水で戻してから観察と撮影をした。

 現地でルーペでみると多数の花被をつけていたが、胞子体をつけたものはなかった。不規則に羽状に分枝し、全縁で卵形の背片が倒瓦状に重なり、茎に接して下向きに開いた帽状〜ヘルメット状の腹片があり、離在する腹葉がある、等々からFrullania muscicola(カラヤスデゴケ)としてよさそうだ。念のために見た葉身細胞は薄膜で、トリゴンは大きく、油体は類球形〜楕円体で微細な粒子からなる。花被は卵形で5褶があり、先端は細い筒状になっている。花被の中身のうち黒くなった部分を押しつぶすと、すでに弾糸が多数できていた。

 カラヤスデゴケについては、過去に何度も詳細な観察をしているので(標本No.0642No.0272No.0181No.0009)、ここでは詳細な記述や細かな画像は省略した。なお、この日同じような黒赤色のタイ類を何ヵ所かで採取したが、いずれもみなカラヤスデゴケだった。