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白色の糸は子嚢と胞子の束 | |||||||||||||||||||
先月群馬県の亜高山帯で採取したハナヤスリタケを切り刻んで遊んだ。この菌寄生性の冬虫夏草を覗くのは最近では三度目になるだろうか(雑記2016.10.9、同2013.9.3)。こんなことをしたところで、何の役にも立たないが、なぜか数年に一度はやってみたくなる。 ハナヤスリタケは、たいていは柄の先が細く黄色い紐状になって地中のツチダンゴに繋がっているのだが(b, c)、時にはこの黄色い紐状の部分が見られず、柄が直接ツチダンゴにそのまま繋がっていることがある(a, d)。 頭部をルーペで見ると白色の綿ごみのようなものが多数みられる(e)。高倍率ルーペや実体鏡でさらに倍率を上げて見ると、白色の塊と細い糸がさらに明瞭に捉えられる(f)。 頭部を縦切りにしてみた(g)。縁には子嚢殼が面に垂直に整然と並んでいる(h)。この虫草を数時間ほど転がしておくと、多量の白色の塊が落ちる。すべて子嚢と胞子だ。これを顕微鏡で覗いてみた(i, j)。メルツァー試薬や(k)、コットンブルー(l)、フロキシン(m)で染めて、油浸100の対物レンズで覗いてみた。コットンブルーでは一様に染まるが、フロキシンでは染まり方はまちまちだ。 ついで頭部を適当に薄切りにして顕微鏡で覗いた。実体鏡の下で真面目に切ればよいのだが、面倒なので手で持って、剃刀で削いで切り出したので、このプレパラートはかなり厚い(n)。そのまま倍率を上げた(o)。子嚢核というか多数の子嚢を収めた袋の中では、細長い子嚢がしきりに蠢いている。油浸100倍にして、水封(p)、フロキシン(q)、メルツァー(r)で染めて覗いた。ハナヤスリタケの場合、一時胞子は比較的短時間のうちに、細かい二次胞子に分かれていく。 |
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