HOME | 観察覚書:INDEX | back |
[標本番号:No.118 採集日:2007/02/25 採集地:栃木県、栃木市] [和名:スジチョウチンゴケ 学名:Rhizomnium striatulum] | |||||||||||||
|
|||||||||||||
鍾乳洞入口付近の沢沿いで、腐木が茶色くビロード状にすっかり覆われ、多数の朔をつけていた(a)。アオギヌゴケ科らしきコケも混じっているが、よくみると朔柄の基部にわずかに葉がついている(b)。朔を一本引っこ抜いてみると、基部に葉がついてきた(c)。
今年1月、同じように廃材上に出たナガヒツジゴケに混じって出ていたスジチョウチンゴケと、胞子体や基部の葉の様子が、とてもよく似ている(覚書2007.1.14)。確認のために検鏡してみた。 葉は軍配型で長さ3〜5mm、風雨の影響か、千切れたりひどく破れた葉が多い。葉縁は赤褐色ので、同じ色の中肋は太く葉頂にまで達する(d)。葉頂は小さく尖っている。葉身細胞は舷の周辺ではやや小さく、葉の中央部から基部にかけては、長い六角形ないし矩形をしていて、長さ35〜60μ、幅10〜30μmで厚く丸みを帯びた壁をもっている(e〜g)。 仮根の群は広く材上に拡がっているが、ケチョウチンゴケにみられるような糸状の無性芽はもっていない(h)。葉の横断面を切り出すと、赤色で壁の肥厚した細胞がありステライドはみられない(i)。舷の部分は壁が肥厚した小さな細胞が複数層からできている(j)。朔歯は2列で内外歯とも16枚、内朔歯は横縞をもち、先端が長く延びている。 採取した標本には胞子体が数十ついていたが、崩れない状態の葉をつけたものは数個体に過ぎなかった。スジチョウチンゴケ Rhizomnium striatulum としてよさそうだ。 |
|||||||||||||