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[標本番号:No.238   採集日:2007/05/20   採集地:群馬県、水上町]
[和名:ユミゴケ   学名:Dicranodontium denudatum]
 
2007年7月15日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 群馬県水上町にある日大演習林の腐植土の斜面に小さなコケが朔をつけていた(a)。植物体は小さく、茎は8mm〜12mmだが、緑色の葉をつけた部分は5〜8mm程度しかない(b)。葉はやや光沢があり、乾くと弓形にそって、披針形〜卵状披針形の下部から針状に尖り、長さ4〜6mm、太い中肋が先端まで伸びる(c)。葉の中央部では葉身の1/2以上を、葉先では葉身の大部分を中肋がしめ、葉先端部には歯がある。葉の先端部は折れやすい。
 葉身細胞は矩形で、長さ15〜30μm、幅3〜6μm、基部では薄膜で大きな矩形となり、翼部ではさらに大きな方形細胞からなる(d)。葉の横断面を何ヶ所かで切ってみた(e)。ガイドセルの両側にステライドがみられる。茎には中心束はみられない(f)。
 朔は楕円形で、細い嘴状にとがった蓋がある(g)。朔歯は16枚で1重(h)、それぞれの朔歯は基部近くまで2裂し(i)、先端部はパピラに被われ(j)、中間部では斜縦条があり、基部では縦条のようにみえる(k)。朔柄の断面を切り出してみた(l)。

 シッポゴケ科には間違いなさそうだ。観察結果を検索表と照らし合わせていくと、ユミゴケ属 Dicranodontium に落ちる。属ないの種を読んでみると、ユミゴケとなる。どうもユミゴケというのはわからない。過去に3度観察しているが、いずれも、図鑑などの記述とは基本的な形質の記述が、微妙に異なっている(標本No.261同139同102)。