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[標本番号:No.480 採集日:2008/07/20 採集地:山梨県、鳴沢村] [和名:コバノスナゴケ 学名:Racomitrium barbuloides] | |||||||||||||
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7月20日富士山の山梨県側、標高1,800m付近の溶岩に地衣類とともに数種類の蘚類が群生していた(a)。こられのうちシモフリゴケ(標本No.479)については、8月8日に観察したが、今日はもう一つ、ゴワゴワとした感触のコケを観察した。若い茎では葉先の白毛は目立たないが(b)、朔をつけた個体では葉先の白毛がよく目立った(c)。 葉は、湿ると茎から展開し、乾燥するとやや縮み軽く茎に圧着する(d, e)。植物体は硬い感触で、直立する茎は長さ3〜5cm、羽状によく発達し、非常に短い枝を多数だす。茎から枝を取り外すと、短い茎には葉が密集してついている。枝を取り外した茎にも直接葉がつく(f)。 葉は卵状の基部をもった披針形で、長さ2.2〜3.2mm、茎についた葉では基部が広い。若い葉では先端に透明尖のないものがあるが、大部分の葉では、葉頂は透明な芒となっている。中肋は葉頂に達し、翼部には透明な大形細胞がみられる(g〜j)。 葉身細胞は、矩形〜長い矩形ないし線状で、波状に著しく肥厚した縦壁をもち、表面には微小な乳頭が多数ある。葉の基部では細胞は非常に長くなり、表面には乳頭がない(l)。合焦位置をかえると乳頭の様子がよく分かる(k)。葉の横断面を見た(m)。 |
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朔は長い筒状、朔歯は一重で16枚、基部から二裂し、歯先は透明な針状となる(n, o, r)。朔歯の表面は微細な乳頭に覆われ(p)、裏面(中側)には乳頭は見られない(q)。朔柄は平滑。 シモフリゴケ属 Racomitrium の蘚類だろう。平凡社の検索表をたどると、コバノスナゴケ R. barbuloides に落ちる。種の解説を読むと、観察結果と概ね一致する。この仲間は学名の件でややこしい問題を孕んでいることを感じさせられるが(標本No.304)、ここではコバノスナゴケとして扱っておこう。また、今回の観察では、茎葉と枝葉とに分けて観察してみたが、図鑑などでは、茎葉と枝葉とに分けるような扱いはしていない。 |
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