[標本番号:No.723 採集日:2009/08/29 採集地:山梨県、甲府市] [和名:フウリンゴケ 学名:Bartramiopsis lescurii]
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2009年10月7日(水) |
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(a) 植物体、(b, c) 乾燥標本、(d, e) 水で戻した標本、(f) 枝の上部の葉 |
奥秩父の金峰山へ向かう登山道脇に、フウリンゴケ Bartramiopsis lescurii があちこちで繊細な姿をみせていた(alt 2300m)。フウリンゴケは他に似通った蘚もなく、フィールドで比較的簡単に見分けられるコケだ。すでに過去に2回ほど詳細な観察覚書を記しているので、ここでは記述は省略して画像を列挙することにする(標本No.493、同No.328)。
採集から1ヶ月以上経過してすっかり乾燥した標本は、葉が強く巻縮して、茎上部の若い葉の部分以外は緑褐色に変色し始めていた。水に浸すとかなり緑色が戻ってきたが、葉は直ぐには伸びず、すっかり伸びるまでには20分間ほど必要だった。
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(g) 葉、(h) 茎上部の葉、(i) 茎中央の葉、(j) 鞘部付近、(k) 葉上部、(l) 葉中央の縁、(m) 鞘部、(n) 鞘部肩の毛、(o) 葉上部の横断面、(p) 葉中央の横断面、(q) 葉基部の横断面、(r) 茎の横断面 |
このときには胞子体をつけた個体はなかったが、標本No.328で一度観察している。また、薄板のみを取り外した画像は、標本No.493で取り上げているので、ここでは画像を掲載しなかった。スギゴケ科 Polytrichaceae の蘚類のなかでも、フウリンゴケやイボタチゴケモドキ Oligotrichum aligerum (標本No.466)は薄板の様子が面白い。繊細な柔らかいフウリンゴケに対して、ごつごつして硬いイボタチゴケモドキだが、両者ともに亜高山帯の蘚類らしい。
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