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[標本番号:No.839   採集日:2010/01/05   採集地:東京都、奥多摩町]
[和名:オオギボウシゴケモドキ   学名:Anomodon giraldii]
 
2010年1月14日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
(p)
(p)
(a) 植物体、(b, d) 標本:乾燥時、(c, e) 標本:湿時、(f, g, h) 葉、(i) 葉の下半部、(j) 葉身細胞、(k) 葉身細胞、(l) 葉の基部、(m, n) 葉の横断面、(o, p) 茎の横断面

 奥多摩日原街道の白妙橋近くの岩壁(alt 530m)についていた硬い感じのコケを観察した(a)。二次茎は樹状に分枝する(b, c)。枝は先端が湾曲し、上部に緑色の葉をつけ、下部には褐色の葉をつける。葉は、乾燥すると覆瓦状に枝に接し、湿ると反転するように展開する(d, e)。
 葉は長さ1.5〜1.8mm、広卵形で上半は漸尖し、先端はやや鋭頭、葉縁はほぼ全縁で、基部はやや下延する。中肋は強く、葉の背面側に膨らみ、葉頂近くに達する(j, m, n)。葉身細胞は不規則な多角形で、厚膜、長さ8〜12μm、背腹両面に多数の小乳頭があるが、細胞の輪郭部は明瞭(k, m, n)。茎の横断面に中心束はなく、表皮は厚膜の小さな細胞からなる(o, p)。

 キヌイトゴケ属 Anomodon の蘚類だと思う。保育社図鑑の検索表からはオオギボウシゴケモドキ A. giraldii に落ちる。種の解説を読むと観察結果とほぼ符合する。以前採取した3点の標本(No.584No.347No.297)と比較すると、乾燥時の枝の湾曲が弱い。