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[標本番号:No.0978 採集日:2010/07/25 採集地:秋田県、にかほ市] [和名:タマキチリメンゴケ 学名:Hypnum dieckii] | |||||||||||||
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ようやく7月25〜26日に秋田県で採取したコケ類を観察できるようになった。主ににかほ市象潟の目貫谷地周辺で採取したものだ(alt 300〜400m)。目貫谷地の周辺は静かだが、20〜30kmほど上流には天然記念物の獅子ヶ鼻湿原があり、観光客で終始賑わっている。 小さな渓流の縁、落ち葉が堆積しミズゴケ類の群生する中に、やや硬い感じの蘚類が出ていた。茎ははい、不規則に短い枝を出す。枝の上半部のみが黄緑色で、他は褐色を帯びている。茎は、葉を丸くつけ、葉を含めた幅は1.5〜2.0mm。乾湿であまり姿に変化はない。 茎葉は卵形の基部から漸尖して長く伸び、強く鎌形に曲がり、やや非相称。葉先が曲がっているので計測しにくいが、長さは1.5〜2.2mm。葉先の縁に目立たない微細な歯があり、翼部が明瞭に別区画をなしている。中肋は二本で短い。葉身細胞は線形で、長さ50〜80μm、幅4〜5μm、やや薄膜で平滑。葉の先端部でも葉身細胞の形はあまり変わらない。翼部褐色を帯び、大形薄膜の細胞が2層の厚みを持って並ぶ。枝葉は茎葉よりやや小形であり、葉身細胞や翼部の様子などは、茎葉とほとんど変わらない。茎や枝の表皮細胞は薄膜で大きい。偽毛葉は小葉状。 |
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エゾハイゴケ Hypnum lindbergii としたが、いくつも疑問が残る。平凡社図鑑には、エゾハイゴケの茎葉は「卵状披針形で先は比較的広く,弱く鎌形に曲がる」とある。本標本の茎葉は、強く鎌形に曲がり、葉先はさほど広くない。しかし、発生環境、フィールドにおける姿、葉身細胞、翼部の様子、などは図鑑類の解説とよく符合する。過去にエゾハイゴケとした標本(No.295、No.235)と比較すると、茎葉や枝葉の形が、かなり違うように思える。典型的なものからはかなり遠いのか、あるいは別の種かもしれない。
[修正と補足:2010.09.12] |
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