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[標本番号:No.1160   採集日:2017/03/02   採集地:栃木県、塩谷町]
[和名:トヤマシノブゴケ   学名:Thuidium kanedae]
 
2017年3月9日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
(p)
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(q)
(q)
(r)
(r)
(a) 発生場所、(b, c) 植物体、(d) 標本、(e) 乾燥時、(f) 湿時、(g) 毛葉と茎葉、(h) 茎葉、(i) 茎葉と枝葉、(j) 茎葉先端、(k) 茎葉上部、(l) 茎葉基部、(m) 茎葉中部の細胞、(n) 茎葉基部付近の細胞、(o, p) 枝葉、(q) 雌苞葉、(r) 毛葉

 日光市に隣接する塩谷町の林道を走っていると、道路わきの斜面にはいたるところでトヤマシノブゴケが群生していた。現地でルーペで見てトヤマシノブゴケだとすぐにわかった。このコケは2006年に初めてコケを観察した種であり(標本番号No.1)、葉身細胞表面の特異な乳頭がとても印象的だった。長いことコケから離れていてもトヤマシノブゴケだけは、その特徴も学名も不思議とよく覚えていた。おそらく初めて顕微鏡を用いて観察したコケだったからだろう。
 このメモは種の記載報告ではないので、ここでは標本について詳細な記載は省略して、観察した折に撮影した画像を多く掲載することにした。観察の詳細は標本番号No.592No.390ほぼ同じだった。それにしても、茎葉と枝葉の大きさはガリバーと小人国の小人ほどの差がある(i)。両者とも葉身細胞の表面には、分岐した大型の乳頭がよく目立つ(m, p)。
 
 
 
(s)
(s)
(t)
(t)
(u)
(u)
(v)
(v)
(w)
(w)
(y)
(y)
(z)
(z)
(aa)
(aa)
(ab)
(ab)
(ac)
(ac)
(ad)
(ad)
(ae)
(ae)
(af)
(af)
(ag)
(ag)
(ah)
(ah)
(ai)
(ai)
(aj)
(aj)
(ak)
(ak)
(s) 雌苞葉、(t) 雌苞葉先端、(u) 雌苞葉の細胞、(v) 朔、(w, y) 朔歯:左側乾燥時、右側湿時、(z, aa) 外朔歯、(ab) 外朔歯の先端、(ac) 外朔歯の基部、(ad) 内朔歯、(ae) 内朔歯の上部、(af) 内朔歯の基部、(ag) 基礎膜、(ah) 朔柄の断面、(ai) 朔基部の気孔、(aj) 朔の断面、(ak) 朔断面の拡大

 雌苞葉は先端が芒となって長く伸び、葉縁の随所から糸状に毛葉が伸びている(s, t)。また細胞表面に乳頭は見られない(u)。朔歯の画像の左側のものは乾燥状態、右側のものは霧吹きで湿らせた状態のものだ(w, y)。別々に用意した朔を並べて粘土に刺して撮影した。朔の内部はすっかり空っぽになっていて、胞子はほとんど残っていなかった。朔の基部には気孔が見られるが、中央部から朔歯近くの表面には見られない。朔柄の表面にも気孔はみられない。