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[標本番号:No.1195 採集日:2017/04/29 採集地:栃木県、矢板市] [和名:イトハイゴケ 学名:Hypnum tristo-viride] | |||||||||||||||||||
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終日雨だったこともあり、久しぶりにこけを観察した。4月29日に矢板市の八方ヶ原(alt 1,200m)で採取したコケがあと2点残っている。観察したのはそのうちの一つだ。すでに往時の色合いはなく、全体が茶褐色に変色して、水に戻しても元の緑褐色には戻らなかった。 ハイキングコースわきの樹幹を覆うように生育していた。細い茎から羽状に3〜10mmの枝を出し、葉を含めた枝の幅は0.5〜0.8mm。茎葉は三角形の基部から長く細く漸尖し、長さ0.8〜1.3mm、上半部は鎌形に曲り縁には小さな歯があり、中肋は二本で非常に短く、多くの茎葉ではほとんど見られない。基部から翼部の細胞は黄褐色で、少数の大型の細胞がある。枝葉は茎葉よりやや狭い三角形の基部から細く長く伸び、上部は鎌形に曲がる。そのほかの形質は茎葉とほぼ同様。葉身細胞は線形で、長さ50〜70μm、幅5〜6μm、膜は薄い。翼部の方形細胞は長さ10〜20μm、膜はやや厚い。いずれの部分でも葉身細胞の表面は平滑。茎の断面で、表皮細胞は比較的小さく、やや厚膜。枝の断面で表皮細胞はやや大きく、やや薄膜。
朔をつけたものは見つからなかった。ハイゴケ属(Hypnum)の蘚類には間違いないだろう。保育社の図鑑でも平凡社の図鑑でも、ハイゴケ属の検索は茎の表皮細胞の分化の程度から始まる。この段階でまず迷うことになった。というのは、明らかに茎と思えるやや太めのものの断面を切り出すと、表皮細胞が小さくて厚膜のものから、やや大きめのものまである。さらに細い茎、あるいは枝の断面を切り出してみると、表皮細胞が明らかにその内側の細胞より大きく、たいていは薄膜だった。ただいずれにせよ中心束はない。 |
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