2008年5月9日(金)
 
アラゲカワキタケ
 
 5日に福島県いわき市で友人らがアラゲカワキタケを採取した。生態写真は友人のMさんが撮影したもので、ヒダと柄がやや暗いのが残念だ(a)。カサ表面には粗毛が密生している(b)。ヒダ表面を実体鏡でみると、シスチジアがあるらしい様子がよく分かる(c)。
 久しぶりにアラゲカワキタケを検鏡した。胞子紋は白、胞子は4〜6×2.5〜3.5μm、楕円形で薄膜、非アミロイド(d)、フロキシンで染めると眼が疲れにくい。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 ヒダ切片を低倍率でみると、縁シスチジアと側シスチジアがあることがわかる(e)。倍率を上げると、ともに厚壁で棍棒形をしている(f, g)。ヒダ実質は錯綜型。シスチジアには大きなものと小さなものがある(h)。担子器の基部にはクランプがある(i)。
 カサ表皮の組織は平行気味に匍匐し、ところどころから毛が立ち上がる(j)。カサ表皮に密生する毛は、すべてクランプをもった原菌糸(l)。ひだ実質にも、柄の内部組織にも、いたるところにクランプが見られる。原菌糸と骨格菌糸からなるdimitic(二菌糸型)だ(k)。
 菌糸型を確認するため、フロキシンで染めて、KOHでほぐしてみた。いわゆる消しゴム・フロキシン法だ(雑記2003.9.18雑記2003.9.19雑記2003.9.20)。低倍率でみて、原菌糸と骨格菌糸(or 結合菌糸)などから成り立っているのがわかる。

日( )
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