2010年7月31日(土) |
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トキイロヒラタケを持ち帰ってしまった(a, b)。持ち帰ったからには、捨てる前に一通り観察せねばと、胞子紋をとり胞子を水(c)、メルツァー試薬(d)、フロキシン染色(e)でみた。ヒダを一枚スライドグラスに寝かせ、フロキシンを加えKOHで封入して縁をみると縁シスチジアがある(f)。
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(a) |
(b) |
(c) |
(d) |
(e) |
(f) |
(g) |
(h) |
(i) |
(j) |
(k) |
(l) |
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そこでヒダの断面を切り出して、先端部をみた(g, h)。縁シスチジアは薄膜で棍棒形。ヒダ実質は錯綜型。カサ表皮は菌糸が匍匐しつつ入り乱れている(i, j)。菌糸にはクランプがあるが(k)、担子小柄をつけた担子器は見つけられなかった(l)。
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ヒラタケの仲間は組織が強靱でなかなかうまく押し潰すのが難しい。厚膜で長い菌糸がやたらに目立つので、いわゆるmitic方式による菌糸型を確認してみた。硬質菌でおなじみのフロキシンと消しゴムを使って菌糸をほぐす作業をした(雑記2003.9.18〜9.20、同2009.2.18)。
きのこの組織から小片を切り出してフロキシンで染め、やや高濃度(10〜15%程度)のKOHで封入する(m, n)。カバーグラスの上から消しゴムでゴシゴシやって菌糸をほぐす(m, o)。カバーグラスの表面側にもKOHが回って汚らしくなった(o)。根気のいる作業で、一気に押し潰そうとすればカバーグラスが割れたり、小片がカバーグラスの外に飛び出してしまう。ジワジワとやや時間をかけてほぐすのがコツのようだ。久しぶりの消しゴム使用だった。
対物40倍でみると厚膜で長い菌糸が多数みられた(p, q)。油浸100倍レンズでみても、骨格菌糸のように見える(r)。しかし、ステージを移動させて菌糸の端を追っていくと、隔壁があったりクランプがあったりした(k)。骨格菌糸のように見える多くの菌糸には隔壁がある。保育社図鑑のトキイロヒラタケの解説をみると「肉組織の菌糸構成はmonomitic」、つまり一菌糸型とある。
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