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[標本番号:No.0930   採集日:2010/05/15   採集地:山梨県、鳴沢村]
[和名:クサゴケ   学名:Callicladium haldanianum]
 
2010年7月6日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
(p)
(p)
(q)
(q)
(r)
(r)
(a) 植物体、(b) 標本:乾燥時、(c) 標本:湿時、(d) 乾燥時、(e) 湿時、(f) 枝から落とした葉、(g, h) 枝葉、(i) 枝葉の葉身細胞、(j) 枝葉の先端(k) 枝葉の翼部、(l) 枝葉の横断面、(m) 枝の横断面、(n, o, p) 毛葉、(q) 朔、(r) 朔歯

 5月15日に富士山の林道で採取した蘚類の最後の一つクサゴケ Callicladium haldanianum を観察した。茎葉や枝葉をピンセットの先でこそぎ落とすと葉が多量に落ちる。それをルーペでみると翼部が明瞭な区画を作っていることがよくわかる(f)。茎葉と枝葉とはやや形と大きさが異なるものの、基本的にあまり違わないので、ここには茎葉は取り上げなかった。
 クサゴケを採取したのは3年ぶりだったが、何となく気になっていたことがあり、今回標本をすぐには箱にしまわずに、少していねいに観察してアップした。ひとつは偽毛葉の姿をやや明瞭な画像として残すこと、今ひとつは朔歯を内外別々に分けて撮影することだった。
 なお、クサゴケについてはすでに何度も詳細に観察しているので(標本No.220, No.202, No.176, No.29, No.15)、先のコバノスナゴケと同様に、ここでは文字による記述は省略した。
 
 
 
(s)
(s)
(t)
(t)
(u)
(u)
(v)
(v)
(w)
(w)
(x)
(x)
(y)
(y)
(z)
(z)
(aa)
(aa)
(ab)
(ab)
(ac)
(ac)
(ad)
(ad)
(s, t) 内側からみた朔歯、(u) 外朔歯、(v) 外朔歯基部、(w) 外朔歯中央部、(x) 外朔歯先端、(y) 内朔歯、(z) 内朔歯基部、(aa) 内朔歯先端、(ab) 朔の縁:外側、(ac) 朔の縁:内側、(ad) 朔基部の気孔

 結果として、偽毛葉の姿は不満足ながらも何とか撮影することができたが(n, o, p)、内外朔歯の分離には失敗した。したがって、明瞭な姿での外朔歯と内朔歯の画像は得られなかった。
 朔歯を内外別々にバラすには一定の条件が整っていないと難しいことを痛感した。朔や朔歯が充分成熟したもので、乾燥標本にする前の瑞々しい状態のときは比較的楽に分離できる。しかし、すっかり乾燥した状態になるとやや困難になる。採取時すでに朔歯が老熟して部分的に壊れはじめたものではかなり困難だ。操作する側の道具だてなども問題となる。
 今回朔歯の分離を試みた標本は、採取時既に朔歯がかなり老熟していた。これを、すっかり乾燥させ標本となっていたものに対して試みた。さらに悪いことに先細ピンセットが、その機能を果たせない状態となっている。落下させてしまったり、先端をぶつけてしまったために、細かく小さな組織の取り扱いができなくなっている。また、平凡社や保育社の図鑑には「口環は分化」するとあるが、それらしき構造はみられなかった(ab, ac)。