2004年7月2日(金)
 
ピスとプレパラート (a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
 日常ハラタケ目などの組織を切り出すにはピスを利用している。最近は専らキブシの髄を使っている(a)。以前はニワトコの髄(c:上)とか、筒状の発泡スチロールを使っていたこともある(b)。キビの髄も使ってみた(c:下)。ピスについては過去の雑記で異なる視点から何度か取り上げている(雑記2002.12.13同2003.1.29同2003.4.9同2003.4.12同2003.6.2等)。
 実体顕微鏡の下で組織を切り出すことは、年に数回あるかないかである。日常は直接ピスを手に持って両刃カミソリを4つに割ったもので切り出している。いわゆる徒手切片法である。切り出したものは直接スライドグラスに落として、試料以外のピス剥片などを取り除き、水なりメルツァーを注いでカバーグラスをかけて直ちに検鏡している。
 早朝の忙しい時間帯、効率よく多くの組織を検鏡できるように、一枚のスライドグラスの中央と左右の三ヵ所を使う。たとえば、胞子、ヒダ実質、傘表皮などは一枚のスライドグラスで見てしまう。用が済むとカバーグラスは廃棄し、スライドグラスは中性洗剤入りの容器に放り込む。このため、多数検鏡した割りには、後日洗浄するスライドグラスは少なくてすむ。
 時間があれば、水を張った時計皿などに切り出した切片を落とし込み、それらの中から薄いものを選んで、面相筆などでスライドグラスに運ぶと作業が楽になるだろう。この方法を使うとヒダ切片にうるさくまとわりつく余分な胞子も洗い流されて見やすくなる。ただし、複数種のきのこを扱う場合は、そのつど水を取り替え、筆先を洗うことは必須である。

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