(a, b) 植物体、(c) 標本、(d) 乾燥時、(e) 水没時、(f) 枝と葉、(g, h) 茎葉、(i, j) 枝葉、(k) 枝葉の葉身細胞:乳頭に合焦、(l) 枝葉の葉身細胞:細胞輪郭部に合焦、(m) 枝葉の先端、(n) 枝葉の翼部、(o) 枝の表面、(p) 茎の横断面、(q, r) 枝葉の横断面 |
栃木県栃木市にある鍾乳洞の入口から数メートル入った壁に糸状の蘚類が層をなしていた。ごくわずかに光が届き、水のしたたる石灰岩壁だ(alt 400m)。懐中電灯で照らしながら撮影し、ひとつまみの枝をルーペでみると、中肋が葉先に達し、葉身細胞はひどくざらついている。持ち帰った標本を実体鏡で見たところ、茎葉や枝葉の上部の縁には微細な歯があり、葉身細胞には大きな乳頭が一つある。葉縁の細胞は他の部分と比較して明るく、形も異なる。茎や枝の横断面には弱い中心束があり、表皮細胞は小さくて厚膜。シノブゴケ科 Thuidiaceae のナガスジハリゴケ Claopodium prionophyllum のようだ。すでに何度か詳細な観察をしているので、ここでは画像だけを列挙した(標本No.844、No.607、No.69)。
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