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[標本番号:No.0918 採集日:2010/05/03 採集地:岡山県、新見市] [和名:イトゴケ 学名:Barbella pendula] | |||||||||||||
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5月3日に岡山県で採集した懸垂系の蘚類を観察した(alt 420m)。石灰岩地の鍾乳洞入口付近の樹木の枝から多数垂れ下がっていた。糸のように非常に細く、樹の枝を匍う部分の枝葉は幅広でやや大きく扁平につく。垂れ下がる枝は長いものでは50cmを超える。茎は樹の枝を匍い、茎に対して70度〜直角気味に羽状に分枝する。懸垂部の葉は枝に接し、光沢がある。 葉の形は大ざっぱに三通りに分けられる。樹の枝を匍う部分につく葉はやや扁平につき、糸状にはならない。細い懸垂糸状の部分の葉は長さ1.2〜2.0mmで、長卵状の基部から漸尖し、先端は透明尖となり、全体に細長い(h, i, l)。直角気味に出る枝につく葉は長さ1.2〜1.5mmで、卵状基部から漸尖し、先端は鋭頭で、枝先の葉の先端は透明尖になる(m, n)。樹の枝を匍う茎から出る枝葉は、長さ1.8〜2.2mmで幅広い(o, p)。いずれのタイプの葉でも葉上部の縁には微細な歯があり、中肋が葉長の1/2〜2/3に達する。 葉の葉身細胞は、どの部分の葉でもほぼ同様に線形で、長さ40〜50μm、幅4〜6μm、薄膜で、表面に2〜4個の小さな乳頭が縦に並ぶ。葉の翼部は明瞭な区画をなして、方形の細胞が並ぶ。葉の横断面で中肋にはステライドやガイドセルなどはない。茎や枝の横断面には弱い中心束があり、表皮細胞はやや厚膜となっている。 |
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雌苞葉の葉は、長さ1.5〜2.0mm、矩形の基部から漸尖し、基部は鞘状となっている(r, s)。雌苞葉の葉の葉身細胞は線形で、長さ60〜100μm、幅4〜6μm、表面はほぼ平滑(t)。 朔は苞葉よりずっと上に出て、卵形〜円筒形で、直立し相称。朔柄は長さ2〜3mm。朔の基部には気孔がある。 標本は朔をつけていたが、それらのほとんどは帽や蓋はなく、朔歯もおおかた崩れていた。ごく一部の朔において、内朔歯の一部と外朔歯の基部が残っていた(w)。わずかに残っていた外朔歯の表面は細かい乳頭に被われていた。ハイヒモゴケ科 Meteoriaceae イトゴケ属 Barbella のイトゴケ B. pendula だろう。これまでしばしば出会っているキヨスミイトゴケ B. flagellifera と比較して(標本No.355、No.172、No.108、No.52)、非常に細く繊細な印象を受けた。 |
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