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先日山形県遊佐町の海浜黒松林で採取したマツカサキノコモドキ(a〜c)を検鏡した。胞子(e)はメルツァー液を加えると、内容物が緑色っぽく見え、やや小さめになった。非アミロイド(f)。縁シスチジア、側シスチジアは共に便腹型で先端に分泌物を多量に付けている(g, h)。傘上表皮は洋梨形の子実層状被をなし(i)、細長く先端が丸くなった傘シスチジアがある(j)。柄の表皮にも傘シスチジアと似た形のシスチジアが見られる(k)。担子器の基部にはクランプはない(l)。なお、ヒダ実質、傘表皮、傘肉、柄の内部、その他の部分にもクランプは見られない。 外見だけではとてもよく似たきのこにニセマツカサシメジがある。両者はしばしば、同じひとつの松毬から仲良く発生していることも多い。両者についての比較や、マツカサキノコモドキについては過去の雑記でも何度か取り上げている(雑記2002.12.19、同2003.3.11、同2004.12.11)。 なお、雑記2005.10.28で取り上げたスギエダタケと同じ仲間であるが、スギエダタケのほど鮮やかな姿の傘シスチジアや柄シスチジアは見られなかった。 お知らせにも掲載したが、興味深いシンポジウムが、12月2日(金)に国立科学博物館新宿分館で行われる。第8回国際シンポジウム「アジア及び環太平洋地域における自然史標本収集・管理と自然史研究」である。詳細は、科博のサイトに記されている。 科博の細矢 剛博士による「日本における菌類インベントリーとデータベース化の歴史と現状」では、科博の標本庫の現状とGBIFについて話を聞くことができそうだ。 |
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