2008年8月13日(水)
 
全身を槍で武装:チチタケ
 
 先週土曜日に那須の北温泉近くで採取したチチタケは、まだ若い菌ばかりだったのか、胞子紋は全くとれなかった。いずれもヒダは密で幅が非常に狭い。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 ヒダの断面を高倍率ルーペでみると、確かに全体に毛のようなものがある(a)。顕微鏡で見ると確かに槍の穂先のような形のシスチジアが密に分布している(b)。カサ表皮についてもルーペ(c)と顕微鏡(d)でみた。ついで柄を輪切りにして高倍率ルーペ(e)、顕微鏡(f)でみた。どの部分をみても、ルーペでは白毛として、顕微鏡下では厚壁のシスチジアとしてみえる。
 
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
 ヒダの横断面を水とフロキシン染色で比較してみた(g〜j)。フロキシンで染める作業は、プレパラートを顕微鏡のステージに載せたまま、カバーグラスの脇から注射針で注ぎ、反対側から濾紙で過剰な水分を吸い取る方法をとった。

 若い菌といえども、チチタケである。少しでも傷つけるとベトベトの乳を多量に出し、カミソリがたちまちナマクラになった。一般にチチタケ属の検鏡をするとカミソリが多量に消える。今朝は、刃先をエタノールで拭きながら、何とか数十回の切断を一片のカミソリでこなした。

[cf] (チチタケのミクロの姿)   雑記2007.7.12   同2006.7.1   同2005.7.4

日( )
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