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アイタケのカサ上表皮の構造をやっと観察できた。川越で採取した子実体ではこの上表皮を確認ができなかった(a)。成熟し過ぎ? 乾燥し過ぎ? なのか何度切片を作っても駄目だった。広島で採取した個体は比較的若く、台風の雨の後の発生であった(b)。剃刀はよく切れるものを選び、ゆっくり、そおっーと引き切りして切片を作り、やっと写真を撮ることができた(c, d)。もしや乾燥品なら切り出し易いのではと思い、川越のアイタケ表皮の乾燥標本も観察した。実に切りやすく、アイタケ型も簡単に観察することが出来、拍子ぬけしてしまった(e, f)。 |
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アイタケ型とはなに? 本郷図鑑をみてもよくわからないし、掲載されている図(p.54 No.598)は自分の観察したものとは違っている。河原訳『図解きのこ鑑別法』(2010年 西村書店) で和文索引からアイタケを引くと、絨毛状表皮シスチジア ciliate dermatocystidium【表皮の型】のところで触れられていた。 高橋春樹さんの研究学習ノート『シンガーによるハラタケ目の分類体系』(2004年1月) を開くと「Virescens-structure:短細胞被を構成する菌糸の末端に絨毛状〜細毛状または錐状〜円柱形の異形細胞(ciliate dermatocystidium)を具えた構造.ベニタケ属のアイタケ亜節、ツギハギハツ亜節、チチタケ属のクロチチタケ節にも見られる」と書かれている。具体的な姿は「きのこ雑記」(2010.7.10、同2009.7.17、同2008.7.25)と「青木図版」で確認することができた(i〜l)。 昨年、クロチチタケを採取したことを思い出し、観察記録と写真がないか探してみた(g)。観察ノートにカサ表皮の記載はしていないのに、顕微鏡観察の写真撮影はしていた(h)。この時点ではかさ表皮の観察の重要性もアイタケ型であるという認識も全くなかったことがよくわかった。 Y. Asai
[参考] クロチチタケとクロチチダマシのカサ上表皮:雑記2009.8.13、同2010.8.24 |
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