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[標本番号:No.120 採集日:2007/02/25 採集地:栃木県、栃木市] [和名:ハマキゴケ 学名:Hyophila propagulifera] | |||||||||||||||||||
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2月25日の栃木県の山の中、鍾乳洞地帯を走る林道は、舗装されているにもかかわらず、意外と車の通行が少ない。路面の轍以外の部分には到るところにコケが生えていた(a)。車中から見る限りは、ギンゴケの可能性は低く、ハマキゴケかホソウリゴケだろうと思った。 車を降りてみると、どうやらハマキゴケらしい(b)。ハマキゴケなら昨年10月に自宅団地の屋上に出ていたものを一度観察している(覚書2006.10.27)。林道舗装面に出ていたものは、背丈がとても小さくて、茎が2〜3mm程度しかない。湿時(c)と乾燥時(d)で比較してみた。 葉は長卵形で長さ0.7〜0.9mm、中肋が葉頂直下まで延び(e)、全縁であるが、一部に同一の茎から微細な歯を持った葉がみられた(f)。カタハマキゴケの可能性を疑ったが、無性芽の形が倒卵形ばかりなので、ハマキゴケ Hyophila propagulifera で間違いなかろう。 葉身細胞は葉先、中央部では丸みのある多角形で幅5〜7μm、中央部が丸く盛り上がっている。昨年10月撮影の時は、盛り上がりが分かりにくい影像だったので、今回はふくらみを視覚的に捉えやすいよう撮影した(g, h)。翼部の細胞は肥厚した多角形で、乳頭はない(i)。 葉の横断面を切り出してみると(j)、葉身細胞の乳頭は、腹側に顕著である(k)。茎と葉の基部を一緒に切り出してみると、中肋は結構幅広く、ステライドがよく発達している(l)。 採取した群をよくみると、胞子体をつけたものがあった(m, n)。朔は細長い楕円形でほぼ直立し、蓋の先は細い円筒状となり、そこに帽を被っている(o)。帽と蓋を外してみたが、朔歯の様子ははっきりわからない(p)。ただ、蓋を外すときに鮮やかな色の口環が良く発達しているのがわかった(q)。口環の部分だけを別途とりだして撮影した(r)。 今日の観察覚書では、ギンゴケ、ホソウリゴケ、カタハマキゴケへのリンクを利用したが、観察データが増えてくると、こういった時に簡単に比較できるのがありがたい。 |
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