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[標本番号:No.1178 採集日:2017/05/07 採集地:栃木県、日光市] [和名:コツボゴケ 学名:Plagiomnium acutum] | |||||||||||||
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きのこのキツネノヤリタケを見に行ったが、件のきのこはクワの樹下、コツボゴケの間から多数でていた。日陰に雄株、日向に雌株が歴然と分かれてでていた。雌株は一様に見事な朔をつけていた(a)。コツボゴケについては過去に何度も詳細に記述しているので(No.1151、No.0870、No.0191、No.0063、No.0028、No.0004)、ここでは、胞子体についてやや詳細に画像を添えて記録をすることにした。したがって、配偶体については確かにコツボゴケであるということを示すために最低限の画像写真だけを添え(a〜f)、観察結果の記述は省略した。 |
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胞子体は直立茎の先につき、1.8〜2.2cmの長さで赤〜赤褐色の柄を持ち、朔は3.5〜4mmの長さの円筒形で下向きに垂れ下がってつく(a, g, h)。蓋は直径1.0〜1.2mmの編み笠形(i, k)。朔の縁にはよく発達した口環がある(n)。朔歯は二重で、外朔歯は16枚で細い三角形(m, o, q)。内朔歯は基礎膜、凹みを多数もつ歯突起、細長い間毛からなる(r)。 |
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口環の一枚一枚は笏あるいはヘラのような形をしている(s)。外朔歯外側(表側)の基部(t)から中央部(u)には微細な疣があり、頂部の微疣はそれらより大きい(v)。一方外朔歯の内側(裏側)には微疣はなく、横状だけが目立つ(w, x)。内朔歯の歯突起は、横条と横条との間の縁が半円形に切り取られたような形となり、表面には微細な針状の突起に覆われる(y, z)。内朔歯の間毛の先端は芒状となり透明で、表面は微疣に覆われる(aa)。朔壁は二層の細胞からなり、外側の細胞やや厚めの壁を持つ(ab)。朔の基部には気孔は見られない(ac, ad)。 |
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朔柄の断面において、外皮部は厚壁の小さな細胞からなり、中央には小さな細胞からなる中心束があり、そのほかの大部分の細胞は薄壁で大きな形をしている。なお、中心束の最内部は空洞(ae)。胞子体の足は配偶体と一体化していて境界は区別できない(ah ,ai)。胞子は類球形で20〜30μm。
胞子体をていねいに観察してみようと思たが、採取から既に20日以上経ち、朔や朔柄はすっかり乾燥して皺だらけになっていた。水に戻して生時の状態に復帰させようとしたところ、1時間程度ではだめで、3時間ほど水没させてようやく皺がとれた。もっとも、急いで戻したい場合は、温水に浸すなりエタノールに浸してから水没させればよいのだが、それはしなかった。なお、朔を3%KOHに浸すと、外剋浮ェ変形してしまい期待するような姿には戻らなかった。 |
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