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いわき市の新舞子浜でおもしろいきのこに出会った(a)。砂浜の立枯れヨモギの根本に出ていた。掘り出してみる(b)とヨモギの根から出ている。別の群れ(c)を掘り出してみても、みな同様にヨモギの根から枝を伸ばしてキノコをつけているかのような姿で出ている。ヒダ(d)はやや疎で上生ないし湾生をなしている。2日ほど乾燥・放置したところ傘は白っぽくなり柄も赤みが薄くなった(e)。胞子紋(f)は明るい黄褐色をしている。 ひだ実質はやや錯綜気味の平行型(g)である。側シスチジアは無く縁シスチジア(h)のみ認められる。組織にはクランプがあり(i)、胞子は表面が茶褐色を帯びている(j)。写真からはわかりにくいが担子器(k)の根本にはクランプがある。胞子をメルツァーで染めると最初表面のみが黄褐色に染まり(l)、さらに時間がたつと内容物のみが黄褐色にそまる。 以前やはり浜辺でイネ科植物の根からキノコが出ているのを見ているが(雑記2002/5/15、同2002/6/16、同2002/6/23、同2002/7/18)、それらは胞子紋が白色でありニセホウライタケ属(Crinipellis)のキノコと考えられる。今回見たものは胞子紋が黄褐色で側シスチジアを持たず、イネ科植物ではなくヨモギからでているので、これらとは全く別種である。今回多くの浜を歩き回ったが、このきのこはいわき市の新舞子浜だけでしか出会えなかった。それにしても浜には奇妙なきのこがいろいろ出ているものだ。 |
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