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[標本番号:No.1226   採集日:2018/03/23   採集地:栃木県、日光市]
[和名:チジミバコブゴケ   学名:Onchophorus crispifolius]
 
2018年4月24日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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(g)
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(h)
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(i)
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(j)
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(k)
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(l)
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(m)
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(n)
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(o)
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(p)
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(q)
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(r)
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(a, b) 生息環境、(c) 標本:乾燥時、(d) 標本:湿時、(e) 乾燥した個体、(f) 朔をつけた個体:湿時、(g) 葉、(h) 葉の基部から鞘部、(i) 葉の先端部、(j) 葉鞘部の細胞、(k) 葉の肩部の細胞、(l) 葉の断面:上部と中央下部、(m) 茎と葉鞘部の断面、(n) 胞子体、(o) 朔、(p) 朔歯:湿時、(q) 朔歯、(r) 朔の気孔

 先月自宅近くの猪倉山(alt 420m)という山裾で、岩に着いたコケを採取した。茎は1〜1.5cm。葉は透明で卵形の鞘部から急に細くなって長く伸び、上半部の縁には小さな歯があり、長さ3〜4mm、乾燥すると強く捲縮する。葉の中部から上部では葉身細胞が部分的に2層になる。中肋は強く、鞘部では葉幅の1/7〜1/6の幅があり、葉上部では葉幅の1/2に及び、葉の先端に達する。中肋の断面では顕著なガイドセルがあり腹面と背面の両方にステライドがある。
 葉身細胞は葉の鞘部では細長い矩形で長さ30〜60μm、幅8〜12μm、薄壁で透明、基部の肩では丸みを帯びた矩形で長さ10〜20μm、幅6〜10μm、やや厚壁で平滑、葉の上半部では丸みを帯びた方形で径5〜8μm、やや厚壁で平滑。
 朔柄は長さ6〜8mm、黄褐色で平滑。朔は褐色で傾き、非相称、長さ1〜1.2mmで、基部の下側に顕著なこぶ状の突起がある。朔歯は一重で16枚、披針形で、基部から中部にかけて縦線がジグザグに入り、上部で二裂する。朔の基部には気孔がある。
 Onchophorus crispifolius(チジミバコブゴケ)に間違いなさそうだ。この蘚については過去に何度も採取して、詳細に観察しているので(標本No.0866, No.0809, No.0626, No.0586, No.0431)、ここでは比較的簡略な観察結果だけを記した。

 現地では朔をつけたものがほとんど見られず、針状の朔柄ばかりがやたらに目立った。かろうじて朔の残ったものが5個ほどあったので、その部分を含めた小さなマット状の塊を採取した。一ヶ月ほど放置しているあいだに、さらに朔が折れてどこかに紛れてしまったり崩れたりして、観察時には2つだけしか残っていなかった。朔を見れば一目で特徴的な基部下側のコブが分かるのだが、もし朔がなかったら同定にかなり迷いそうな気がした。