2005年2月25日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
 子嚢菌の場合には、組織をバラバラにしてその一部だけを取り出して観察したいということは少ないが、担子菌では組織をバラして確認したいことがしばしばある。担子器基部のクランプの有無、シスチジアのサイズ計測などなど。
 先日採取したハンノキ樹下の菌核菌でバラシを試みた。組織を薄く切り出すところまでは、普通のプレパラート作成と何ら変わらない。水ではなく、3〜5%のKOHでマウントする。カバーグラスをのせた段階で既に組織が崩れだした(a)。子実層の下側に付いていた托外皮が反対側にずれている。子実層と托髄層も分離してしまった(b)。
 この後、カバーグラスに軽く圧を加えると、子実層はバラバラになる。子嚢の全貌を観察することもできる(c)。力を加えすぎると(d)のように見えるはずが、(e)の様になってしまう。子嚢先端の孔はこわれ、胞子は潰れて押し出されている(e)。
 なお、シスチジア先端の結晶構造などは、たいていがKOHで溶けてしまう。また、アルカリ系の試薬や染料を加える場合は、必ず十分な水洗いが必要だ。

[参考] 組織のバラシ観察(雑記)
軟質担子菌:2004.11.152004.5.212004.11.272004.12.11
硬質担子菌:2003.9.182003.9.192003.9.202003.9.21
キクラゲ類:2005.1.232004.4.72003.4.82002.12.25
子嚢菌など:2004.9.82002.9.19[2]

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