Top  since 2001/04/24 back


日( )

2002年6月10日(月)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
 久しぶりにきのこを持ち帰って食べた。最近はサンプルを少量持ち帰るだけなので、食用としてきのこを持ち帰ったのは実に久しぶりだった。昨日の日光で柔らかくて大きなマスタケに出会ったので、同行の仲間の間で分けあって持ち帰った。さっと洗って(a)、唐揚げ(b)にしたり、マリネ(c)にし、これを肴にワールドカップのTV中継をみた。酒の肴にはちょうど良いきのこのようだ。

2002年6月9日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 日光を歩いてきた。連日の乾燥のためかきのこの姿は非常に少なかった。そんな中で見られたきのこは、ホシアンズタケ(a)、タモギタケ(b)、シイタケ(c)、オオワライタケ(d)、アミガサタケ(e)、キララタケによく似た菌(f)などがあった。水辺にはミズベノニセズキンタケ(g, h)、アラゲコベニチャワンタケ(i, j)なども見られた。種の同定に必須の作業はまだやっていないが、チャワンタケの仲間(k, l)はあちこちにいくつも見られた。気温こそ低く空気も澄んでいたが、風がとても強い上に、あまりの人の多さに閉口した一日だった。

2002年6月8日()
 
(a)
(a)
 科博新宿分館で3日間にわたって開講されていた菌学講座が終わった。最終日(5/7)、午前中は竹橋誠司氏による「北海道札幌近郊のキノコとNPO法人北方菌類フォーラムの活動と紹介」というテーマで精力的な講演があった。午後の「菌類同好会会員の集い」では参加者それぞれの立場から貴重な意見が交わされた。最後に参加者全員で記念写真(a)を撮って解散となった。講座終了後の懇親会(?)にも多くの受講者が参加した。帰宅したのは夜の12:00少し前となったが、きのこをめぐる人々との交流を含め楽しい一日だった。

2002年6月7日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
 昨日夕方、科博の菌学講座が終わってから新大久保駅近くで落枝からクロコブタケの仲間(Hypoxylon sp.)(a)らしき塊を採取して帰った。採取時、固い塊を半分に切ったが同心円状の紋がないので、チャコブタケの仲間(Daldinia sp.)ではなさそうだ。
 早朝この菌の堅い子座をカッターで削ると、子嚢殻が並んで見えた(b)。固い子座の塊から削りだした面もほとんど真っ黒でとてもわかりにくい。早速KOHで前処理をしてから、水で洗い出したのちメルツァー液で染めた。KOHでマウントしたときに色素の抽出がほとんどなかった。クロコブタケの仲間だったら、必ず色素がしみ出すはずだ。
 疑いつつプレパラートを覗くと、子嚢の先端がリング状に青く染まる(c, d)のが観察できた。しかし染まり方がとても弱い。うすうす感づいてはいたのだが、メルツァー液がかなり老化しているようだ。本来ならもっと鮮やかな青色に染まるはずだ。胞子(e)は一つの子嚢に8つはいっており、表面に発芽スリットがみられる。サイズは8〜10×3.5〜4.5μm。クロコブタケかどうかはこの観察だけではわからない。
 この仲間は、以前は単に固くて黒い木質・炭質の塊にしか見えずあまり関心を持てなかった種だったが、にわかに興味深いきのこになってきた。

2002年6月6日(木)
 
 昨日は科博の菌学講座を受講して、久々に新鮮な気持ちで最新のXylariales情報に触れることができた。実習で観察したHypoxylon(クロコブタケ属)の1種では、細長い子嚢の先端部の青いリングがとても美しく印象的だった。Xylariaceae(クロサイワイタケ科)のきのこはちょっと見た目は非常に地味な姿をしているが、ミクロの世界ではとても美しい姿をみせてくれる。油浸を使わずとも、400倍で十分楽しめる。今回はデジカメも顕微鏡撮影小道具も持っていたが、結局1枚も撮影はしなかった。
 講座が終わった後、北海道・宮城県・石川県など遠方からの参加者らと一緒に、大久保駅近くのビアホールで旧交を温めたり、きのこ談義をして過ごした。どうやら、最近のきのこの発生状況の悪さは全国的な現象らしい。このところのきのこ不作はどうやら関東地方だけではなかったことを知った。帰宅したのは午後9時過ぎだった。今日もまた菌学講座「クワイカビ目及び関連菌群の分類」だ。

2002年6月5日(水)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 先日の上州武尊では水中に発生する子嚢菌を他にもいくつか採取したが、それらの中におそらくキイロヒメボタンタケだろうと思っていたものがあった。もしそうなら、これはピンタケと同じくオストロパ科ピンタケ属のきのこだから、ミクロの観察をすればズキンタケ科のきのこではないとの確信をもてるはずだ。そう思いつつ、ここしばらく時間が無く顕微鏡での観察はできなかった。
 ずっと気になっていたが、今朝やっとこのきのこ(a, b)から切片を切り出して覗くことができた。時間がないので最初からメルツァーで染色して中倍率(c)で見た。すぐに糸状胞子を持った子嚢(d)が並んでいるのがわかった。子嚢先端はアミロイド(e)で、側糸(f)も予想どおりだった。厳密には他にもいろいろと観察しないと断定はできないが、とりあえずこのきのこはキイロヒメボタンタケとしてよさそうだ。
 今日は科博新宿分館で菌学講座「クロサイワイタケ目の分類」がある。慌ただしい早朝の観察だったが、これでどうやら胸のつかえがとれた。朝食をすませて新宿まで出かけよう。久々に基礎勉強の一日だ。懐かしい顔にも出会えるだろう。

2002年6月4日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
 上州武尊で昨日採取してきたピンタケ(6/3 d, e)をミクロの目で見て楽しんだ。最初いつも通りに切片(a)を作って子実層(b)を拡大すると子嚢と側糸がビッシリ並んでいる。さらに拡大して子嚢(c)やら側糸(d)を見るとオストロパ目の特徴がよくわかる。子嚢から飛びだした胞子(e)は糸状の細長い特異な姿をしている。染色するとより見やすくなるのでメルツァーで染めてみた(f)。子嚢の中(g)には細長い胞子が8本、束になって入っている。そして子嚢先端(i)はアミロイド反応を示す。側糸(h, d)は明瞭な隔壁を持ち、その先端はしばしば枝分かれしている。子嚢を一本だけ取り出してみても(j)、その特徴的な糸状の細長い胞子がよくわかる。
 柄には綿毛様のものがついていたり、その基部には黒い鱗片のようなものを付けることが多いが、ただ細長いだけで白い柄をもったものもある。いずれにせよ、この類のきのこは子嚢胞子の姿に典型的な特徴を見ることができる。

2002年6月3日(月)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
 昨日曜日(6/2)に上州武尊のブナ林を歩いてきた。まだあちこちに雪渓の残る中、ヌメリツバタケモドキ(a)、エノキタケ(b, c)などが倒木から出ていた。清流からはピンタケ(d, e)、ミズベノニセズキンタケ(f)が繊細な姿を見せてくれた。ブナの殻斗からはシロヒナノチャワンタケ(g, h)やブナノホソツクシタケ(i)などがでていた。まだきのこはとても少ないので、きのこ観察よりも山菜取りが主になってしまった。コシアブラ、シオデ、ウド、ハンゴンソウ、ミヤマギボウシなどを採取してきた。これらの山菜は、エノキタケなどと一緒に天麩羅にしたり、サラダとなって夕食の食卓を飾ることになった。

2002年6月2日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
 ワールドカップ開催期間中、特に今日から9日頃までは交通規制・検問などが厳しくなって、車やバイクでは見沼地区には近寄れなくなってしまった。日常の定点観察ポイントにしている界隈は目を上げれば埼玉スタジアムが見渡せるところばかりだ。かといって、朝食前にちょっと自転車で行って帰ってくるには遠すぎる。さらに、高速を使って遠出しようにも、さいたま市・川口市周辺を抜けるまでが大変だ。こんな時はもっと身近なところで少数のきのこをじっくり観察するのがよいのかもしれない。
 住まいのある団地でアラゲコベニチャワンタケや植物病原菌類を採取してきてミクロの世界を楽しんだ。アラゲコベニチャワンタケは縁に長い剛毛があるので、その周辺から切片(a)を切り出した。剛毛を拡大(b)するとまるで竹の断面ようだ。子実層(c)は子嚢と側糸で満ちている。胞子は19〜25×14〜18μmほどのサイズで、表面に背丈のひくり小さな凹凸がある。写真(d)では表面に焦点を合わせていないので明確にはわかりにくいが、表面に焦点を合わせると明瞭に見える。側糸(e)は撮影したが、胞子表面に焦点を合わせた姿は、観察しただけで撮影はしなかった。

2002年6月1日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 久しぶりに早朝の秋ヶ瀬公園に行ってみた。キクラゲ、アラゲキクラゲは別として、ここでも発生しているのはウッドチップのきのこばかりだった。キオキナタケ(a, b)、オキナタケ(c)、ツバナシフミズキタケ(d)、クズヒトヨタケ(e, f)がおもだったものだ。ここには見沼地区では常連のビロードヒトヨタケ、ザラエノヒトヨタケ、ツブエノシメジはほとんどみられない。
 クズヒトヨタケの胞子(g)はおもしろい形をしている。丸みを帯びた五角形といったところで卓球のラケットを思わせる。サイズは7〜9×6〜7μm。クズヒトヨタケのヒダ切片を切り出そうと悪戦苦闘したが結局徒労に終わった。キオキナタケも切片(h)を作って、倍率を上げて縁をみると多数の担子器(i〜k)が見える。胞子(l)は12〜14×7〜8.5μm。今回はシスチジアは観察のみにして、担子器ばかりを撮影してしまった。
 それにしても薄くてもろいヒダの切片作りは難しい。実体鏡下での作業もなかなかままならない。ミクロトーム(microtome)を使えば楽に薄い切片が切り出せるが、アマチュアには高価すぎる。やはり工夫しながら練習をするしかあるまい。

過去の雑記
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2002
2001