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日( )

2002年9月30日(月)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
  とても印象的な傘をもったもろいきのこ(a〜c)にまたであった。このきのこは富士山ではしばしば見かけるのだが、今朝は近場の腐朽倒木からも出ていたのをみた。顕微鏡でのぞいてみたのはこれが初めてだった。オキナタケ属(Bolbitius)のきのこだろうか、まるでクロシワオキナタケの赤色版である。ヒダの間は虫だらけで残念ながら胞子紋はとれなかった。取れたのは虫紋(?)ばかりだった。側シスチジアはなく、クランプもない。担子器(e)、傘の表皮付近(f)、縁シスチジア(g)などをのぞいたり、ヒダの実質(h)やら柄の表皮などいろいろとみたのだが、種名まではたどりつけなかった。
 
 
 
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
(p)
(p)
 さきに秋ヶ瀬でみた柄の長いきのこ(9/29g, h)もよくみかけるのだが、今朝もまた別の場所にでていた(i, j)。かなり大きく背丈は15〜25cmほどにもなる。根元(k)は白い菌糸で覆われており先端は落ち葉につながっている。胞子紋(l)も、胞子(m)も 褐色をしている。ヒダ切片(n)を切り出して、さらに倍率を上げ、縁シスチジア(o)や担子器(p)などを観察したが、これもまた属名までもたどり着けなかった。身近にしょっちゅ う見るきのこに、名前のわからないものがとても多い。

2002年9月29日()
 
(a)
(a)
(b)
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(c)
(c)
(d)
(d)
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(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
  早朝、さいたま市の秋が瀬公園にいってきた。きのこの姿は思いのほか少なかったが、サケツバタケ(a〜c)が束生している姿を始めて見た。たいていこのキノコは単生するものだが、5,6本が束になって何株も発生していた。コザラミノシメジ(d〜f)は昨夜の雨に濡れてか、まるで粘性を帯びたきのこのようにみえた。胞子紋が褐色で柄が長いきのこ(g, h)が群生していたが、今のところは科名すらわからなかった。背丈は20cmほどにもなり意外としっかりしている。ツブカラカサタケ(i, j)もあちこちに出ていた。強く触れたり傷つけると赤変する(j)ので間違えることは少ない。ノウタケ(k, l)が大発生をしており、中には直径15cmほどになるもの(l)もいくつも見られた。
 サケツバタケとコザラミノシメジは朝食時に油いためにしてパンに載せて食べた。あんがい癖もなくさっぱりした味のきのこだ。ノウタケは薄切りにしてそのままオーブントースターで焼いて醤油をかけて食べた。はんぺんを思わせる感触を楽しめる。

2002年9月28日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
  久しぶりにきのこを使ったピザ(a)とグラタン(b)を作った。ピザには富士山で採った10種類ほどのきのこを入れた。クロカワは生のまま薄切りにしてのせたが、ほろ苦味はあまり感じなかった。油で味がオブラートに包まれるようにごまかされてしまうようだ。グラタンにもナスと一緒にいろいろなきのこを入れた。個々のきのこの味わいは消えてしまったようにも思えたが、食べると口の中いっぱいにきのこの香りがあふれてきた。

 沢田芙美子画伯の展覧会が10月半ばに行われることになった。沢田画伯は小林路子画伯と並んできのこ界では著名な人物で、日本菌学会の会員でもあり菌類懇話会の代表もつとめている。ボタニカルアート展のタイトルは「不思議なキノコ −美しく、不思議なキノコの絵の展覧会−」であるが、 以下に日時・会場を記しておこう。きのこを熟知し愛情あふれる描画だかろだろう、美しく正確な描写(c)には定評がある。是非とも一度鑑賞する価値のある絵画だといえよう。

「不思議なきのこ」
沢田芙美子ボタニカルアート展
美しく、不思議なキノコの絵の展覧会
2002年10月15(火)〜18(金)、21(月)〜22(火)
時間 9時〜5時
会場 藤沢西海岸郵便局(辻堂団地内)
問合先 電話 0466-36-4918 藤沢西海岸郵便局

2002年9月27日(金)
 
  早朝、最近採取したクロサイワイタケ属を観察して楽しんだ。この属はクロサイワイタケ科の中ではもっとも大所帯をなしており、発達した大型の子座(stroma)を形成する。子嚢胞子は長円筒形をしているが、薄くて透明なのでわかりにくい。メルツァー液で染めると、先端部には特徴的なアミロイドのリングがみえる。子嚢胞子には発芽スリット(germ slit)を有するものが多い。外見とは裏腹に、観察して楽しいきのこだ 。
 
 
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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 マメザヤタケは見かけは地味だが、ミクロの世界ではとても興味深い姿を見せてくれる。きのこは意外と軟らかく切ってみると類白色の髄層が現れる。拡大してみると(a)、 子嚢殻が表面近くの外被層直下にびっしり並んでいる。成熟 すると頂部に孔が開いて胞子を噴出させる。実体鏡下で見ても(b)胞子はわかるが、切片(c)を切り出し顕微鏡を低倍率で見ても多数の胞子が充満(d)しているのがわかる。メルツ ァーを垂らすと子嚢先端がリング状に青くなる(e)。胞子(f)は巨大で鰹節のような形をしているが、大きさは非常にバラつきが大きい。写真では少しわかりにくいが、胞子表面には発芽溝のスリットが走っている。
 
 
 
(g)
(g)
(h)
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(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
  ホソツクシタケは広葉樹の腐朽木ではなく、ホオの実から生じるところがおもしろい。黒く細長いひも状を縦に切った(g)。球形の子嚢殼が子座の中に並んで埋まってい る。今度は軸に水平に切って切片(h)を作り、顕微鏡の倍率を上げた(i)。内部は子嚢がびっしり詰まっている。ここにメルツァーを流し込んで拡大(j)してみると先端がわずかに 青くなった。さらに倍率を上げる(k)と子嚢先端がきれいにアミロイド反応を示している 。胞子(l)には縦に発芽孔がスリット状に通っている。マメザヤタケの胞子撮影ではスリ ットがうまく撮影できなかったが、この胞子では何とかわかる。
 
 
 
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
(p)
(p)
(q)
(q)
(r)
(r)
 ブナノホソツクシタケの子実体はホソツクシタケよりさらに細いが、先端 付近を横断的に切断(m)すると、子嚢殼の様子が明瞭にわかる。切片(n)を作り低倍率で見ると(o)中には子嚢が並んでびっしり詰まっている(p)。メルツァー液をたらすと子嚢先端がきれいに青く染まる(q)。胞子(r)にはやはり縦に発芽孔のスリットが見える。

2002年9月26日(木)
 
(a)
(a)
(b)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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(g)
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(h)
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(i)
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(j)
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(k)
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(l)
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  富士山ではいろいろなキノコが多数発生していた。それらのうち気まぐれにいくつかを撮影した。クロカワ(a, b)、カノシタ(c, d)、アイシメジ(e, f)、ショウゲンジ、ヤマドリタケモドキ、ヌメリササタケ、アブラシメジ、ハナイグチ、アミタケは蹴飛ばすほどでていた。ウスタケ(g)、オオキノボリイグチ(h)、ベニテングタケ(i)、ナガエノチャワンタケ(j)も多い。トビイロノボリリュウ(ヒグマアミガサタケ)(k)、オオモミタケ(l)にであったのは久しぶりだった。
 オオモミタケは地面からほんのわずかに頭をだしたものばかりで、傘を大きく広げた個体は見つからなかった。地上に大きく傘を開いたものは、先の連休に取り尽くされてしまったようだ。
 今回はタンポタケとの出会いを最大の楽しみにしていたのだが、結局出会えなかった。ツチダンゴが多数生息している場所でみたのはハナヤスリタケだけだった。
 ベニテングタケは我が家では汁物のダシとして昔から使っているので、今回も傘が開ききっていない個体を5,6個もちかえった。とてもよいダシがでるので冷凍庫に保存して必要に応じて解凍して使っている。久しぶりに多数のきのこを食用として持ち帰ったので、夜はキノコ鍋をたのしんだ。クロカワとオオモミタケは付け焼きにして食べた。

2002年9月25日(水)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
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(g)
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(h)
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(i)
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(j)
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(k)
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  森林公園で出会ったきのこをいくつか持ち帰ったので、早朝顕微鏡でのぞいてみた。多数あったアセタケ(a)は外見だけからでは、キヌハダトマヤタケなのかキヌハダニセトマヤタケなのか、全くわからない。根本は凹頭状にふくらんでいる。ヒダ切片(b)を切り出した。この写真からでもシスチジアの様子が何となくわかる。ヒダ先端部を拡大(c)すると縁シスチジアが、側面を拡大(d)すると側シスチジアの姿がより明確になった。側シスチジアをさらに拡大(e)してみた。胞子(f)は金平糖のような形をしている。ほかにも、柄シスチジア、傘シスチジアなどものぞいたが、これらから判断してキヌハダニセトマヤタケあるいはその近縁種としてよさそうだ。
 落ち葉の堆積のなかからコムラサキシメジのような姿のきのこ(g)が見えたので近づいて柄の周囲の落ち葉を取り除いてみると、柄の様子が全く予想外だった。どうやらコムラサキシメジではなくイッポンシメジ科のきのこらしい。胞子(h)などから判断すると、クサウラベニタケ近縁種らしい。小さなジャガイモ(i)のようなものがいくつも斜面にでていた。切って断面(j)をみたが、これだけではまだよくわからない。胞子(k)、弾糸などからどうやらヒメカタショウロのようだ。すぐ脇にあった同じようなジャガイモ型きのこの方は、切断してみたらツチグリだった。この仲間は外見だけでは全くわからない。早朝の忙しい観察だった。

2002年9月24日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
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(e)
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(f)
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(g)
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(i)
(i)
(j)
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(k)
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(l)
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  国営武蔵丘陵森林公園でもきのこの姿がかなり増えてきた。ウスキテングタケ(a, b)、コトヒラシロテングタケ(c, d)、タマゴタケ(e)、コテングタケモドキ、ツルタケ、ドクツルタケ、シロケシメジモドキ(i, j)、ノウタケ(k, l)の姿がやたらに目立った。今の時期にはたいてい何種類も見られるはずのシロオニタケの仲間は一つも見られなかった。
 タマゴタケにいたっては、誰も採る人がいないのか食べ頃の真っ赤な卵やら幼菌が多数見られた。ノウタケはとても大きくてまるで小型のオニフスベのような個体がいくつもあった。写真の2つも径15cm以上あった。ウスキモリノカサ(f)、ザラエノハラタケ(g, h)、カワリハツらしきキノコ、クロハツ、ズキンタケ、ヒメカタショウロなども何ヵ所かでみることができた。
 例年と違うのはイグチ類がほとんど見られなかったことだった。アセタケ類を5,6種類、チャワンタケ類も少なくとも7,8種類が確認できた。また、竹林にはスッポンタケの卵が無数に転がっていた。径が8cm〜12cmほどもある大きな卵が多いのに驚いた。

2002年9月23日(月)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
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(d)
(d)
(e)
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(f)
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 土曜日(9/21)は南会津の山の中、急斜面の松林ばかりを歩いたが期待していた成果は全くなかった。持ち帰ったきのこはブナ倒木から出ていたクチキトサカタケとかマメザヤタケの ような目立たない子嚢菌ばかりで、デジカメも終始リュックの中にはいったままだった。ビールを飲みながら、このとき持ち帰った子嚢菌を観察した。
 クチキトサカタケの鶏冠の一部を切り出して切片(a)を作ると鮮やかな色をしている。KOHを少したらすとたちまち脱色され(b)、下に敷いておいた紙が紫色の汁にそまった。きのこの表面は無数の子嚢(c)に覆われている。メルツァーで染めても(d)子嚢先端は変色しない。側糸(e)はメルツァーでわずかに染まる。よくみると途中から何度か枝分かれしている。子嚢から飛び出した胞子(f)は大きさがまちまちだった。十分に熟した個体をもって帰らなかったので、正確な胞子サイズなどははっきりしない。写真は掲載しなかったが、暗視野でみた胞子嚢や胞子の姿はとても美しかった。
 1年ほど前から印刷された文字がまぶしく、読むのがつらくなってきているが、最近とみにひどくなっている。ディスプレイを見るのもかなりしんどい。どうなっちゃうのだろう! 「きのこ雑記」もいつまで続けられるのだろうか?

2002年9月22日()
 
(a)
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(j)
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 さいたま市で、久しぶりにドクカラカサタケ(a〜d)にであった。以前の35mmフィルムはある時期すべて捨ててしまったので、今はなにも残っていない。デジカメでも撮影したいと思っていたが、昨年はちょうどよい時期に他に出かけていたり、仕事で身動き取れなかったりで、ドクカラカサタケの撮影はできなかった。やっとのことで撮影できると思ったら、蚊の大群に襲撃され短時間で撮影を済ませてあわてて逃げてきた。また、まともな写真は撮れないままとなってしまった。
 別名をコカラカサタケというが、どうしてどうしてコ(小)どころか、かなり大きくなる。傷つけたり傘を柄から切り離したりするとたちまち赤変する(e, f)。胞子紋は白、そのためか胞子(g)も顕微鏡下では やや見づらい。メルツァー液で染めると偽アミロイド反応(h)を示す。縁シスチジア(i)や担子器(j)はうまく撮影できなかった。
 二晩の徹夜でなんとか復旧したメインパソ コンだが、どうも怪しい。30分も作業を続けているとハードディスクから突然ウォーンと大きな音がでる。あわせてコリコリカリカリといったような異音も激しくなった。さらに、CPUの能力不足のせいか、画像表示にとても長い時間がかかる。やはりWindowsはLinux に比べて格段に重いことを感じる。Windows2000を動かすにはやや荷が重いのだろう。遠 からず、パソコン自体を新しくせねばならないのだろうか。

2002年9月21日()
[その2]
 早朝4:00に出発して福島県南部のマツ山に行ってきた。かつて何度もマツタケを採取した斜面を何カ所か歩いた。マツタケどころかきのこの姿がほとんどなく、結局カメラの出番は一度もなかった。会津田島周辺の街道筋にはきのこ屋台がいくつもあるが、それらのどこの店でもきのこが非常に少なかった。非常にわずかに小さなホンシメジ、同じく貧相なマツタケ、小さめのウラベニホテイシメジなどが少量で高価な価格で並んでいた。コウタケの姿も店にはほとんど並んでいない。ウスヒラタケ、貧相なクリフウセンタケ、小さなハタケシメジ、マスタケ、クリタケ、栽培ナメコ、栽培マイタケ、貧相なシャカシメジ、小さなサンゴハリタケなどがどの店でも主たる商品だった。あまりにきのこが少ないのでおのずと歩みも速くなり、昼の12:30には帰宅していた。この時間帯、高速道路の対向車線は大渋滞だった。遠出(往復400Kmあった)して一枚もきのこの写真を撮らなかったのは最近3年間では初めてだった。

2002年9月21日()
 
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  19日は陽の出前の暗闇の中でマユハキタケ(a)の成長を確かめてから浜に向かった。九十九里浜では少しばかり松林の端を歩いた。浜に近い側しか歩かなかったが、夏の暑さのせいで草が例年になく繁茂している。ハラタケ科のきのこが目立ったがキツネノハナガサ(b)が松林の砂地からでている。ハラタケと思えるきのこ(c, d)は非常に多数発生していた。幼菌だけをポリ袋に採取している人がいた。どうするのかたずねてみると、マッシュルームに味が似ているので洋風に調理して食べるのだという。例年このきのことチチアワタケを採取して食べているのだそうだ。
 他にもハラタケ科では(e, f)のきのこやそれらとよく似ているが単生するものなどを多数見たが、詳細な図鑑の持ち合わせがないので、これらは不明のままとなりそうだ。少なくとも本郷図鑑やスイスの図鑑などの類似菌とは、胞子レベルですでに違っていた。
 イグチ類で目立ったのが昨日取り上げたチチアワタケとならんで、ビロード状の傘をもったきのこ(g〜k)だ。遠くからみるとまるでススケイグチかウツロイイグチのように見えた。若い菌(h)では管口部(j)は白いが、成菌では黄色(i)になる。柄には部分的に網目があり、傷つけたり切っても(k)、肉は白いままで変色しない。胞子(l)はもともと黄色味を帯びており、胞子紋は黄色系であった。胞子を10%KOHの中で観察しても色は変わらない。

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