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日( )

2002年8月31日()
 
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 今日は菌懇会合宿の2日目、青森県きのこ会の伊藤さん、湯口さん、笹さんに案内していただき、八甲田山のブナの森を歩いた。驚くほど多数のきのこに出会ったが、撮影したのは関心のあるごく一部のきのこだけである。カメムシタケ(a, b, c)にであったのは久しぶりだった。シロスズメノワン(d)、クチキトサカタケ(e)、ブナノホソツクシタケ(f)、ハタケシメジ(g)はあちこちで見ることができた。ここでもサナギタケ(h, i)はよく発生していた。ホオベニタケ(j, k)、ムカシオオミダレタケ(l)も何ヶ所でも見ることができた。傘と柄をもったハラタケ目、イグチ目、ベニタケ目のきのこはかなり多くの種類が採種された。
 午後は蔦温泉で長沢栄史先生の「ニガイグチ属の分類」という講演をきいた。夜は青森県きのこ会と菌懇会の懇親会、楽しい話題に夜遅くまで時のたつのを忘れた。青森県きのこ会の皆様、長沢栄史先生、くれぐれもありがとうございました。

2002年8月30日()
 
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 青森県2日目の早朝に砂浜と浜辺の松林を歩いた。砂浜では目的の腹菌類、子嚢菌類などは見つけられなかった。今の時期には発生していないのかもしれない。青森県では浜辺の松林でマツタケが採れると以前聞いたことがあったが、まさにその通りだった。地元の見知らぬ方がしゃがみ込んでいるので近づくと、砂浜に頭だけ少し顔を出したマツタケ(a, b)がある。この日は仕事前に1時間ほど歩いてこれが4本目だという。写真のマツタケはその方から無償でいただいた。その後広大な松林を30分ほど歩いてみたが、アミタケ(c)、トキイロラッパタケ(d, e)、ケロウジ(f)などしか見つけられなかった。ただ、じっくりと数時間探せば自力だけで確実に見つかる感触を得た。ほかにもベニヒガサ(g, h)、ヌメリガサ科(i, j)をはじめ多くのキノコが防風林の中で見られた。
 昼過ぎに菌懇会の合宿会場である七戸町に着いた。途中の道筋で多くのキノコが発生しているのを知った。早朝にいただいたマツタケは、昼に仲間4人と焼いて食べた。

2002年8月29日(金)
 
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 下北半島の恐山までやってきた。昨日夕方川口市を出発して、恐山に到着したのが早朝4:30頃だった。この時期の恐山にきたのは、これで8回目になるだろうか。懐かしいブナの森は以前と変わっていない。残念なことに霊山の方はかなり様子が変わってしまった。
 雨の森を傘をさして歩くと久しぶりにセンニンタケ(a, b)に出会った。ほかにもベニナギナタタケ(c)やらアカヤマドリ(d, e)、チョウジチチタケ(f)をはじめベニタケ科、イグチ科、テングタケ科のキノコが多数でている。薬研温泉に行ってみると、さらに多数のキノコが種類・量ともにでている。もっとも美しかったのがシュイロガサ(g, h)だったが、すぐそばにはザボンタケ(i, j)、ホソツクシタケ(k)、ツネノチャダイゴケ(l)などが見られた。当初遊歩道を1週するつもりだったのだが、あまりに多くの種類のきのこが発生している。この日は結局4時間ほどかかって50メートルほどしか進めなかった。撮影枚数も200枚を越えてしまった。

2002年8月28日(水)
 
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 昨日夕方スーパーマーケットで、安く売られている中国産マツタケなるものを買った。3本890円也である。なぜ買ったのかというと、半分は野次馬根性、もう半分は検鏡データとして使ってみようと思ったからだ。
 比較的大きめで傘が少し開きかけた個体のヒダを取り出した。切片(a)を切り出して倍率をあげると担子器(c)、シスチジア(d)を観察することはできたが、胞子はまだ未熟なものばかりだった。胞子紋も全くとれなかった。胞子が熟した状態では商品価値半減だろうからやむをえないか! そういえば、以前エリンギを検鏡したときも胞子は未熟だった。
 検鏡した後、焼いて醤油をつけて食べたが、香りは全くなく、単に歯触りのみしか楽しめなかった。見た目の姿はいちおうマツタケであったが、香りのないマツタケでは価値はほとんどない。やはり自分で採取したものが一番うまい。
 9月に訪れる予定の岩手の鍾乳洞近辺だが、KINOKO WEBの大ちゃんにいわせると「このあたりって、マツタケがいっぱい生えるんですよねぇ。」ということだ。しかしマツタケ探しをするゆとりはない。

 
 
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(e)
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 先日富士山で採取したハナヤスリタケは未熟個体ばかりでまだ胞子がほとんどできていなかった。ここしばらく追培養をしていたが、そのうちのひとつが熟してきた。1週間ほど不在となる前に観察することにして、頭部を薄く輪切り(a)にしてみた。確かに子嚢果は完全に埋没している。この部分を少し拡大(b)したのち、さらに倍率をあげる(c)と内部に子嚢胞子が無数に入っているのがみえた。この子嚢果を外側からみる(d)と、ちょうど風船のような形をしていた。子嚢胞子(e)はそのままではやや見にくかったのでをメルツァーで染めたみた。中には細長い胞子が入っている。その胞子(f)が子嚢先端から出てきかけたもの(f)がいくつかあったが、そのうちに小さな円柱状の二次胞子に別れていった。柄や頭部、根(?)の部分の組織も観察しているうちに、仕事にでる時間になってしまった。これから一仕事して、夕方には青森に向けて出発だ。入れ替わりに明日長女が東北の山登りから戻ってくる。

2002年8月27日(火)
 
採取袋
採取袋
(a)
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(c)
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(d)
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(e)
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 昨日夕方、浅草橋の卸問屋に寄ってきのこ採取用袋を買ってきた。まとめて購入するとかなり安くなるので、紙袋とチャック付きポリ袋をそれぞれ大中小各サイズ各々200〜300枚ずつ購入してきた。採取袋は年に2回ほどまとめ買いをすることにしている。
 近場はどこにいってもきのこはほとんど無いので、今日の早朝は顕微鏡にかじりついていた。例年そうだが、富士山にはフサクギタケがとても多い。先日ほとんどキノコのない富士山でもフサクギタケだけはかなり見られた。撮影は一枚もしなかったが、いくつかの個体を持ち帰っていたので早朝から「ミクロの世界」を楽しんだ。
 このきのこはヒダ切片(a)を切り出すのが比較的楽にできる。やや倍率をあげるとスリ コギ状の側シスチジアが多数みえる(b)。その一部を拡大(c)してみると厚膜で巨大な姿をしている。縁シスチジアはみられなかった。低倍率でも担子器が明瞭に捉えられるが、さらに倍率をあげてみた(d)。クギタケの仲間は一般に大きな胞子をもっているが、フサク ギタケの胞子(e)もかなり大きい(スケールの1目盛りは1μm)。

2002年8月26日(月)
 
(a)
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(d)
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(e)
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(f)
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 川越市や三芳町などの雑木林にもきのこの姿はとても少ない。昨日は川越できのこ屋(高橋)さんとばったり出会った。この日みかけたきのこといったら、マツオウジ、アラゲキクラゲ、ベニタケ科数種、小さな落葉分解菌数種、そしてキヌモミウラタケ(a, b)くらいだった。それもまだ若い菌でとても小さく、まだ十分には成長していない様子だった。
 きのこがほとんどないのでさっさと引き上げ、キヌモミウラタケやコチャダイゴケその他のミクロの姿をいろいろ覗いて楽しんだ。写真(a, b)では接写しているので大きく見えるが、傘径1.2cmくらいでヒダ切片(c)がなかなかうまく切り出せない。傘からヒダ一枚をはずすだけで苦労するありさまで、ひだをピスに挟み込むのにえらく難儀してしまった。やっとのことで切片を作り、少し倍率を上げてみる(d)と、担子器がいくつも綺麗に並んでいた。さらに倍率をあげたのが(e)だ。胞子(f)はやや小ぶりで、大きさにかなりのバラツキがあった。縁シスチジアはあったが、側シスチジアは見あたらなかった。
 余談だが、数ヶ月前から実体鏡が不調なため、ここのところずっとご無沙汰している。切片作りはもっぱらピスを使って両刃カミソリを4つに割ったものを使っている。極度に悪い視力の眼で苦労しているという情けない姿が現状だ。

2002年8月25日()
 
  (イ) (ロ) (ハ) (ニ)
(1) (a)
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(c)
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(3) (i)
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(l)
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 さいたま市の見沼地区でもきのこの姿は少ない。早朝みられたのは、ネナガノヒトヨタケ、ハタケキノコ、キクラゲ、アラゲキクラゲ、ツマミタケ、キツネノタイマツなどと、ハラタケ科のきのこを5,6種類だけだった。ハラタケ科のきのこはいずれもウッドチップから発生していた。テングタケ科やイグチ類は全くみられなかった。
 ここでは、そのうちの3種類のハラタケ科を取りあげた。(イ)は発生しているときの姿、(ロ)は裏面の様子、(ハ)は10%KOHをかけて5分後の反応、(ニ)はメルツァーで染めた胞子の姿だ(写真のスケールは1目盛りが1μm)。画像がやたらに増えるのと煩雑になるので、シスチジアやヒダ実質などの影像は省略した。なお、(3)のきのこは時間がたつとヒダ面(k)はチョコレート色に変わった。
 これらの3種類はいずれも、比較的近い距離に発生しており、相互に入り乱れて、大きな群れを作っていた。観察の結果から、(1)はオニタケ近縁種、(2)はツブカラカサタケ、(3)はナカグロモリノカサ近縁種のようだ。(1)、(3)は種名の断定ができないので、(2)のツブカラカサタケは昨年8月にも観察しているので、いずれも「キノコのフォトアルバム」への掲載は見送った。

2002年8月24日()
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(f)
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(g)
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(h)
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(i)
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 富士山で採取したAmanita(8/22 h, i)はドウシンタケに似ていると記述したが、検鏡してみるとキリンタケ節(Sect. Validae)に近いきのこのようだ。
 いつものようにヒダ切片(a)を切り出し、少し倍率をあげる(b)と、いかにもテングタケ属らしい散開型の子実層托実質がみられる。どの担子器(c, d)をみても担子柄が2つしかない。つぶれたり重なって2つに見えるのではないかと疑って、焦点位置を変えながらさんざん探してみたが、やはり4担子柄をもったものは見つからなかった。メルツァーで染色してみると胞子はアミロイド(d, e)だ。胞子の形(e)もジャガイモのような姿をしている(スケールの1目盛りは1μm)。傘表皮は薄くきれいに剥がれる(g)。その部分を覗いたが(f)だ。
 傘肉は淡いピンク色(g, h)をしているのだが、FeSO4をヒダにかけてみると褐色〜緑褐色に変わった(h)。また、柄の基部(i)はキリンタケやヘビキノコモドキなどと似たような形をしている。今回はこの1個体しか見つからなかったので、あまり詳細には調べなかったが、また新しい課題が増えてしまった。

2002年8月23日(金)
 
(a)
(a)
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(c)
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 早朝富士山に行って来たが、きのこがほとんど無い。地元で野生キノコを市場に卸して商売をしているプロに出会ったが、その人の話では珍しいほどの不作の夏だという。例年なら今頃はハナビラタケ、ホウキタケ、ショウゲンジ、タマゴタケなど数多くのきのこが多数出ているはずなのだが、それらがほとんど見られないと、嘆いていた。この分だと週末から来週前半も絶望的だという。生活がかかっているので切実だということだった。
 少なくとも複数の個体に出会えたものはフジウスタケ(a, b)、ニオイカワキタケ(c, d)、ハナヤスリタケ(e, f)、ニカワホウキタケ(g)、ショウゲンジ、ウスヒラタケ、ヘラタケ、ハナビラニカワタケ、ツルタケ、テングタケ、ヒロハチチタケ、ベニタケ科数種類くらいのものだった。そして、ショウゲンジは程度の悪いものが多かった。
 他に出会ったものとして、ドウシンタケに似ているがよく分からないAmanita(h, i)、そして(j)〜(l)の3種類のイグチくらいのものだった。(j)のイグチはバライロウラベニイロガワリに近い種類だろう。(k)、(l)はまだよく調べていない。最終的にテングタケ科は3、4種類、イグチにいたっては写真の3点以外には全く出会えなかった。

2002年8月22日(木)
 
サナギタケ
 
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(i)
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 追培養していたサナギタケがどうやら熟したようなので、顕微鏡で覗いてみた。棍棒形のストロマ(子座)を拡大(a)してみると、半裸生型の子嚢果は乳房のよう な形(b)をしている。その子座の頭部から輪切り切片(c)をつくったが、ピスではさんだ部分の子嚢果が壊れてしまった。子嚢果の中(d)には子嚢がぎっしり詰まっている。子嚢果 から飛びだした子嚢(e)をみている間にも、細長い糸状胞子(f)が次々に飛びだしてきた。メルツァー液で染めて、油浸レンズにし倍率を上げた(g)。焦点位置をずらす(h)と、多数の隔膜に仕切られた細長い胞子が入っているのがよくわかる。見ている間にもさらに子嚢の頂口から胞子がいくつも飛びだしてくる。糸状の胞子はやがて隔膜の部分でバラバラの小さな二次胞子(i)に別れていった。何時までも飽きない光景だった。
 なお、この観察をするまでの間にすでにコナダニが何匹も発生しており、実体鏡の下で小さな姿がいくつも蠢いている様は不気味でもあった。(b)の影像にぼんやりと写っている半透明な姿がコナダニだ。採取してもほとんど標本として博物館などに納めてしまうので、ふだんはなかなか冬虫夏草をじっくり覗いていみるという機会は少ない。どこにでもあるサナギタケだからできるのだが、冬虫夏草を顕微鏡で覗いたのは久しぶりだった。

2002年8月21日(水)
 
(a)
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(k)
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(l)
(l)
 千葉県の九十九里浜に定点観察に行ってきた。延長約60kmほどに及ぶ砂浜のうち、5,6ヵ所を歩いてきたのだが、先月に引き続いて観察対象の腹菌類は今回も出ていなかった。発生したらしき痕跡も全くなかった。特記すべきは、一ノ宮海岸が波に大きくえぐられて発生の坪が水没してしまったことだ。観察ポイントがまたひとつ減ってしまった。
 黒松林の周辺もきのこ全般が異常に少ない。ハラタケ科のきのこ(a, b)が砂浜と防風林の境目にでていた。傘は全体が褐色で表面に小さなササクレがある。柄は白くわずかなササクレ(c)を持ち、傷つけると黄変する。柄と傘表面に10%KOHをたらすと黄変(d, e)するので、ザラエノハラタケではなさそうだ。ザラエなら緑変するはずだ。胞子(f)からはなんともいえないが、どうやらナカグロモリノカサの近縁種のようだ。
 浜にはあまりきのこが無いので、房総半島内部の山間部を帰路に選んだ。相変わらずタブの木にはマユハキタケ(g, h)がいくつもみられた。さらに別の公園に寄ってみると、斜面にツチグリの幼菌らしい菌(i, j)が多数でていた。胞子(k)、偽弾糸(l)を観察してみるとツチグリにまちがいなさそうだ。なお、(f)、(k)、(l)の1目盛りは1μmだ。

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