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2002年12月20日(金)
 
 新しいパソコンを注文した。送料と消費税込みで14万円強である。到着するのは来年1月12日頃という。スペックを指定して注文するBTO形式での購入である。久々の完成品の購入となる。今使っているメインパソコンはもはや風前の灯で、作業中に急に電源が落る、しばしば起動しない、これらが日常茶飯事である。12月に入って急激にひどくなった。これは、1999年5月に組み上げたものだが、パーツの大半は手持ちの古い部品の流用だった。
 今回も当初は自作で安くあげようと思っていたのだが、かえって高くつくことがわかった。今使っているメインPCから流用できるのはケースくらいしかない。突然の電源OFFのためハードディスクもかなり痛んでいると思われるので、これも流用できない。ディスプレイ、キーボード、マウスはサブマシンと共用である。このPC本体にはOSも何も入っていない。来年は早々からパーティション分割、OSの導入などの作業から開始することになりそうだ。
 今朝はたったこれだけの文章を書くのに30分ほどもかかってしまった。作業中に2回も突然の電源オフが発生したためだ。はやくこういった状態から解放されたい。
 顕微鏡の対物レンズが届いた。20倍、40倍、100倍である。「八王子のきのこ」さんからは猫に小判と言われそうだが、念願のプランアポクロマートである。従来のアクロマートと比べると、像の切れがまるで違う。しかし、その代償として数年分のアルコール代金が消えた。パソコンだったら何台買えるのだろう。今後当分は晩酌無しのつらい生活が待っている。

2002年12月19日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(g)
(g)
ニセマツカサシメジ
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(h)
(h)
マツカサキノコモドキ
 昨日の夕方、公園のマツ林でニセマツカサシメジマツカサキノコモドキの混生しているマツボックリを採取した。少し乾燥気味だったのでじっくり一晩かけて胞子紋をとった。キシメジ科のキノコには白い胞子紋を持つものが多い。白い濾紙にとった胞子紋は背景と同じ色をしているために全く見えないことも多い。今回は濾紙には採取せずカバーグラスに採取した。カバーグラスの後ろに白っぽい紙を置くか黒い紙を置くかで見え方はまるで違う。
 ニセマツカサシメジ(a, b, c)とマツカサキノコモドキ(d, e, f)は胞子紋やら胞子を見ただけではほとんど同じに見える。若い菌だと柄の表面の様子と色をみれば比較的区別しやすいのだが、乾燥した成菌やら、老菌ではどちらかわからないことも多い。だからといって、胞子紋やら胞子をいくら見てもむだである。採取したときはすべてマツカサキノコモドキだとばかり思っていた。
 外見をよくみればたやすく区別ができると記述された図鑑が多い。しかし現実にはどちらかわからず迷うことがしばしばある。そんなときはとりあえず縁シスチジアを観察することにしている。両者ともシスチジアの根元は細いが、ニセマツカサシメジでは薄膜(g)ですっきりしているのに対し、マツカサキノコモドキはやや厚膜(h)で先端に頭陀袋のようなものを被っている。

2002年12月18日(水)
 
 久しぶりに「顕微鏡下の素顔」に8種類の映像を追加した。今現在取り上げているのは116種。先に被害に遭ったとき(cf. 雑記 2002/9/8)、たまたまCD-Rにバックアップを取ってあって生き残ったデータのうち、和名を持ったきのこが180種ほどある。これらをすべてアップするには、まだかなりの時間がかかりそうだ。当初は、アルバムに掲載されているきのこ(今日現在508種)については最低でも胞子だけは必ずアップする予定だったが、かなわぬ夢となってしまった。おまけに180種すべてをアップしても三分の一に過ぎない。
 検鏡データの多くは、数万円で購入した中古の簡易顕微鏡で撮影したものなので、多少画質が悪いのは否めない。最近では接眼レンズにデジカメをアダプタで固定して使っている。安価で簡易なシステムでも同定には役立つし、うまくやれば結構良質な画像も得られる。良い画像は高度なシステムよりも、むしろ良質のプレパラートにあると思う。
 それにしても「顕微鏡下の素顔」に掲載している画像は、おせじにも褒められたものではない。日常の観察には三眼の顕微鏡をおもに使っているが、デジカメでの撮影にはあえて簡易顕微鏡を使ってきた。来年からは撮影も三眼顕微鏡に切り替えるつもりだ。

2002年12月17日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
 CFデータの復旧を専門業者に依頼しておいたものが帰ってきた。CFの中の目次に相当する部分が何らかの理由で壊れてしまったが、内容を記録した撮影データの部分には異常が無かったとのことだった。再びフォーマットすればまた使えるという。それにしてもデータの復旧というのは非常に高くつく。またCFやSMなどの電子記録媒体ではかなり高い頻度で読み出し不能というエラーを起こすとも聞いた。必ずしも媒体の取り扱いミスが原因とは限らないようだ。
 14日早朝のケシボウズはすっかり凍りついており、表面には小さな氷の粒がついていた(a, b)。1時間ほど経過するとすっかり氷粒も溶けてきた(c, d)。若い菌(d)の頭部はまだ頂孔が未完成でしっかりと閉じており、外皮と内皮が明瞭にわかる。砂地には頭部しか出ていないので、片側を半分掘ってみるとしっかりした柄がでてきた(e, f)。これは撮影後に再び埋め戻しておいた。
 犬に掘り返されて(?)転がっていたもののうちから崩れていないものを3本(g)選び出して、あらためて水荒いして撮影した(h)。頭部の頂孔の様子(i)、頭部と柄の付け根(j)も念のために撮影しておいた。胞子は先に写真を掲げたように(雑記 2002/12/92002/12/14)、隆起した皺のような縞模様をもっている。

2002年12月16日(月)
 [その2]
 
(a)
(a)
(b)
(b)
 北方菌類フォーラムが装いも新たにホームページをオープンした。きのこに関心を持つ者ならば見逃せないのが機関紙「The Report from Sapporo WHAT IS THIS」(a, b)だ。以前は印刷されたものが毎月郵送されてくる仕組みだったが、今後はネットを通じてのPDFファイルによる配信がメインとなる。PDFファイルだから画面イメージをそのままプリントアウトすることもできる。
 ただしアクセスしただけでは機関紙を読むことはできない。年会費2000円を振り込んで専用IDとパスワードを取得する必要がある。海外の著名な論者による記述を翻訳した上、比較対照しやすいように表形式で構成した資料などが毎号のようについている。大変な労作である。これだけ内容の濃い機関紙を年間2000円で読めるというのは実にありがたい。またバックナンバーを読みたければCD-Rを取り寄せることもできるようになった。

2002年12月16日(月)
 
 12月14日の九十九里浜行きは、前の週に出会ったケシボウズ(Tulostoma)をさらにていねいに観察するのが最大の目的だった。現地に到着したときは、ようやく日が昇ったばかりで気温もマイナス4度、砂浜はすっかり凍てついていた。あたり一面が霜で真っ白だった。
 ケシボウズ発生地点の半分ほどが掘り返されていた。頭と柄が離れて転がっていたり、ペシャンコにつぶれて地表に転がっているものもある。かつて観察を続けていたコナガエノアカカゴタケがサーファーに踏みつけられていた時のことが一瞬脳裏をかすめた。多分散歩に来た犬の仕業だろう。あたりには白い獣毛が散乱していた。
 到着した時はきのこも凍りついており表面は小さな霜粒に覆われていた。砂の表面もすっかり凍っていてスコップの先が跳ね返されるほどだった。1週間前に見たときからほとんど成長していない。幼菌もそのままでちっとも大きくなっていなかった。小さなまま萎れだしたものもある。
 サイズを測ったり、細部を観察して撮影したりしているうちにようやく気温も上昇しだして、きのこも解凍されてきた。その後2時間ほど周辺を探してみたが他の地点ではケシボウズはみつからなかった。また、1週間前には多数みられたスナヤチャワンタケも非常に少しになっていた。
 ケシボウズを撮影したCF(コンパクトフラッシュ)が不調でデータが読み出せない。途中で交換した別のCFは普通に読み出せたので、昨日の雑記ではそのCFのデータを掲載した。何とか今日のうちにCFデータ復旧を試みて、撮影した映像は明日の雑記に載せることにしたい。

2002年12月15日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 昨日の朝、千葉県の九十九里浜を歩いてきた。これまで1年間にわたってコナガエノアカカゴタケの発生の様子を継続的にみてきたが、12月7日(雑記 2002/12/8)をもって終了とした。今回からは特定の観察地点にとらわれる必要もないので、非常に気が楽になった。
 浜にはところどころにスナヤマチャワンタケ(a, b)がある。見慣れないとすぐ目の前にあってもわからないだろう。砂に小さな穴があればそこにはスナヤマチャワンタケがあるかもしれない。表面の砂をどけると(a)のような姿があらわれる。それを霧吹きで洗い出したのが(b)だ。スナヤマチャワンタケは先週あたりが最盛期だったらしく、急にその数が少なくなっていた。例年ならしばしば出会うスナジクズタケには全く出会わなかった。
 浜を離れて松林の端を歩くと、ニセマツカサシメジ(c)、アカヤマタケ(d)、マツカサキノコモドキ(d, e)などが多数見られた。マツカサキノコモドキは傘表面が白から灰青色、淡褐色、灰褐色と変化が大きいが、まるで展示会のように変化に富んだ色が並んでいる所もあった。砂浜を歩いていると、真冬ですら(f)のようなキシメジ科と思われるきのこやアセタケ属と思える小さなきのこがちらほらと出ている。しかし、これらはその気になってていねいに見ないとなかなか見えない。

2002年12月14日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
 昨日明治神宮を歩いたがきのこの姿がほとんどない。昨年の今頃にはエノキタケ、ヒラタケ、キクラゲなどが見られたのだが、今年はわずかに硬いきのこが数種類見られただけだった。
 先週採取してきたケシボウズの仲間はフィルムケースに入れて冷蔵庫に放り込んだままだった。今朝フィルムケースから出して紙袋に入れ直して冷蔵庫に戻した。その際に胞子をいろいろな方法で覗いて遊んだ。
 マウント液や照明方法をかえたりしたが、それらから4通りのデータをとりあげた。やや水を多めにしてみたのが(a)、水はそのままで斜めからの照明に変更したのが(b)、水を使わず少し多めのアンモニアでマウントしたのが(c)、フロキシンで表面を染色したのが(d)だ。
 これらを見ると斜めからの照明の(b)では表面がとても立体的に見える。ちょっと工夫すると見えにくい胞子表面模様などが鮮やかに浮かび上がってくることがある。この胞子の場合はフロキシンで染色しても特に見えやすさには変わりなかった。
 まだ日の出までには時間がある。これから九十九里の浜にきのこ観察に出かけてこよう。

2002年12月13日(金)
 
 都会ではピスの材料のニワトコやヤマブキの髄はほとんど手に入らない。(株)志賀昆虫普及社などからも天然ピスは入手できなくはないが、えらく高い買い物となる。しかたないので、日常は発泡スチロールの丸棒をピスとして使っている。ニワトコなどのピスに比べるとすこし硬いが、なんとか使える範囲にある。値段も1メートル100円なのであきらめて時々購入している。
 今日は久々に東急ハンズにこの「代用ピス」を買いに行ったので、ついでに理化学機器のフロアーを覗いてみた。顕微鏡のスライドグラスが100枚2000〜4000円、カバーグラス(18×18mm)が100枚600円もする。だからだろうか、それぞれ10枚ずつバラ売りもするという。この価格にもかかわらず水切放の厚手スライドグラスだし、カバーグラスも厚みの規格が不透明な製品だった。こんなに高い価格で購入していたら、気楽にプレパラートをつくるなどとてもできない。
 先日の北海道上川町でスライドグラスやカバーグラスの入手がいかに大変かを知った。傷つきやすく割れやすいカバーグラスを何度も洗って使うのも納得できた。確かに身近で入手できない環境に住んでいたら、こんなに高くてもそれを買うしかないのだろうか。

2002年12月12日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 見沼地区にはまだ雪が残っていた。その雪の間からアラゲキクラゲ(a)、エノキタケ(b)などが出ている。写真のエノキタケは立ち枯れの樹木の根本付近から出ており、採取時には凍ってガチンガチンの状態だった。家に持ち帰る頃にはエノキタケも解凍されていたので、朝食前にミクロの姿を覗いた。
 胞子(c)は何度試みてもどうにもうまく撮影できない。今回もかなりひどい状態の映像しか得られなかった。ヒダ切片を見ると比較的低倍率でも縁シスチジア、側シスチジアが明瞭に捉えられる。両者はほとんど同じような形をしているので、ここでは側シスチジア(d)だけを取り上げた。担子器(e)は胞子以上に不鮮明な画像しか得られなかった。菌糸はクランプ(f)を持っているが、これは低倍率でも見えやすい。
 このコーナーの写真はなるべくオリンパス単眼顕微鏡を使い、油浸100倍対物レンズで撮影している。デジカメを接眼レンズに密着させるにはおもにVixenやらKenKoのアダプタを使っている(雑記 2002/8/10同 2002/8/19)。この程度の機材なら誰にでも入手可能だろう。今日の担子器(c)は眼で直接見る分にはずっと鮮明に見えるのに、撮影する段になるとコンデンサをかなり絞らないとうまく写ってくれなかった。その代償として汚らしい画像しか得られない。しかし、もう少し薄い切片が切り出せれば、はるかに鮮明な映像を捉えることができるはずだろう。

2002年12月11日(水)
 
 昨日正午過ぎに知人からケータイに「『きのこ雑記』の写真がほとんど表示されない。どうなっているのだ」という知らせがあった。アクセスしてみると確かにその通りだった。念のためにFTPソフトで当該プロバイダのPublic_htmlフォルダを覗いてみると、あるべきファイルやフォルダが大方消失していた。index.htmlすらない。わずかに残ったファイルやフォルダ内容だけが表示されるという惨状である。やむなくミラーサイトのURLに飛んでもらうように表示せざるを得なかった。
 「きのこ雑記」は写真の数が膨大なのでプロバイダからは嫌われる。このため、過去何度か引越しをしたり、本体を幾つかのサイトに分割して、それぞれ別々のプロバイダに設置してあるのが現状である。写真のみを特定のプロバイダに設置すると「倉庫としての利用」と認定されて無条件に削除されてしまう。だから、悪意の第三者が何らかの方法でindex.htmlさえ削除してしまえば、そこは「倉庫としての利用」をしている形となる。その時点でプロバイダ側から無条件に削除されてしまう条件が整う。過去にこの方法でサイトとしての登録を抹消されたことがある。プロバイダ側にしてみれば「ルール違反のために合法的に削除」したわけだ。
 今回破壊されてしまったファイルを設置してあるプロバイダの利用規定には違反していない。だからプロバイダ側からの一方的削除は考えにくい。となると外部からのクラッカーによる破壊だろうか。「きのこ雑記」をターゲットにしたのか、あるいは別のサイトをターゲットにした結果、「きのこ雑記」も巻き込まれてWebサーバー丸ごと破壊されたのかはわからない。しかし、今年9月の被害(雑記 2002/9/8)といい今回のことといい、いい加減うんざりしてくる。
 今回は幸いなことに10時間ほどで回復したが、原因は結局はっきりしなかった。とりあえずは現行のプロバイダ群をしばしは利用していくことにして、一方で自宅にWebサーバーを立てることも検討していかねばならないだろう。

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