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茨城県鹿島市ではカシタケ(a〜c)が例年よりも2週間ほど早く最盛期を迎えている。地元ではシイダンゴと呼ばれ美味しいきのことして親しまれている。質の良い個体を10数個ほど持ち帰ったので1年ぶりに味わうことができた。メルツァーで染めたカシタケの胞子(d)写真のスケールは1目盛りが1μmだ。昨年から気になっていたとても小さなGeastrum sp.(e)はわずかしか出ていなかった。胞子(f)のスケールはやはり1μmだ。腐朽木からは微細なMollisia sp.(g)が多数でていた。ツバキキンカクチャワンタケ(h)は相変わらずあちこちに頻繁に見られる。 笠間市ではTarzetta sp.(i)らしきチャワンタケが淡くきれいな姿を見せてくれた。落葉の下には3月18日に見たのと同じピンク色の小さなHymenoscyphus sp.(j, k)がドングリから出ていた。これは十分に熟していなかったので検鏡には不適当だった。しばらく自宅において成長を見守ってみることにした。笠間では多数のニリンソウ群落があったが残念ながらアネモネタマチャワンタケには出会えなかった。やたらにきれいなニガクリタケ(l)ばかりが目立った。 |
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恵みの雨だった。さいたま市の秋ヶ瀬公園ではキクラゲ(a〜c)、アラゲキクラゲ、ヒメキクラゲ(d〜f)、タマキクラゲがとても新鮮な姿を見せてくれる。(c)はまるでタマキクラゲを思わせた。ヒメキクラゲも(f)の様な姿をしていると別物に思えてしまう。雨後のスエヒロタケ(g)はとても美しい。多数のヒトクチタケ(h)がついた松が倒れていた。まだ下部に穴のあいていない若い菌を切断したのが(i)だ。 チャコブタケとかクロコブタケ(j)はきのこの仲間から除外している人たちも多いが、胞子(k)やら胞子嚢(l)をみせると「なるほど子嚢菌だ」と妙に感心されたりする。胞子サイズは7.5〜9×4.5〜5μmだった。また、整然と並んだ胞子嚢の姿をみるのは毎度ながら至難の業だ。たいていは切片を作る段階で粉々に砕けてしまう。凍結標本から切片を作る要領で作業すればよいのだろうが面倒だ。今回もあまりにもバラバラになってしまうので、子嚢の1つだけをとりだして撮影した。 |
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今朝は、朝食前にさいたま市見沼地区を回ってみたが、ネナガノヒトヨタケ、クズヒトヨタケ、ザラエノヒトヨタケ、ジンガサタケ(a, b)くらいしか見られなかった。雨が強くなってきたのでほとんど撮影はしなかった。期待の桑はまだ新芽がやっと顔を出したばかりの状態で、樹下にはなにもでていない。 昨日は都心の大学に用事があって出向いたので、ついでに構内の銀杏の根元を見ると大きなアミガサタケ(c〜e)がひっそりと落葉に埋もれるようにでていた。あまりにも大きくなりすぎて自らの重みのため頭部を垂れたものばかりが目に付いた。大きなものでは頭部を伸ばすと30cm以上ある。これらは図鑑などでいうところのアシブトアミガサタケあるいはオオアミガサタケということになろう。それらのうち3本を抜いて並べて撮影したのが(f)だ。今シーズンのアミガサタケは都内ではもうほとんど終わりを告げているようだ。 |
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ここ3日ほどコブシ樹下に発生するキンカクキンの胞子サイズをていねいに計測してみた。当初は400倍で測れば十分だろうと思っていたが、1000倍(a)で測った値と400倍(b)のそれとを比べると有意の誤差がかなりでた。ミクロメータの1メモリの値が1μm(1000倍)と2.5μm(400倍)となるので、読みとり方やら焦点位置の問題などもあるのだろう。 最初は400倍で100個ほど測ったのだが、より正確な値を出したいと思い面倒を覚悟ですべてを油浸×100で計測した。100個ほどの個体を3つの群に分けてから、それらから同一条件のプレパラートを多数作り同じ作業を何度も繰り返した。結構目の疲れる作業だ。 それにしても未熟個体と成熟個体では胞子サイズが随分違うものだ。また、同一個体でも切り出した位置によって大きさのバラつきがかなりある。これまで胞子サイズを計測するとき、大きなものでは×40で、小さなものだけを油浸×100を使い、せいぜい20〜30個から最頻値を算出していたが、これではかなり数値が甘いことを痛感した。 |
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一昨日採取したオトメツバキ樹下のツバキキンカクチャワンタケを簡易顕微鏡で覗いてみた(a)。胞子嚢を見る限りコブシにでるキンカクキンとほとんど同じだ。 朝食前にさいたま市の見沼地区に行って来た。ネナガノヒトヨタケ(b)が無数にでている。傘表面が(c, e)色々な姿を見せてくれる。(d)のきのこはネナガノヒトヨタケの間に交ざって発生していたがザラエノヒトヨタケのようだ(sampleを持ち帰っていないので検証のすべはないが...)。クズヒトヨタケのようなきのこ(f)もあちこちに出ていた。シモクレンが再び咲き出した。でもこれから咲くのが例年並みの自然状態なのだろう。 |
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早朝、房総半島の九十九里浜を歩いてきた。雨だったが上総一ノ宮から蓮沼まで数ヵ所の浜の定点観測である。観察対象としているきのこは全く出ていない。ただ、相変わらずシイタケが砂浜の流木・風倒木からいくつも出ている(a, b)。(b)の風倒木に近づくと(c)のようなしっかりしたシイタケだった。防風林の松林との境目にはショウロ(d〜f)がコロコロと転がっている。つい最近まで多数発生していたニセマツカサシメジやマツカサキノコモドキの姿はなかった。 砂浜には変化が乏しかったので房総台地にあがりホソバタブの林に入るとマユハキタケが姿を見せてくれた。(g)から(l)はすべて別の個体だ。雨のそぼ降る暗い林ではなかなかうまく撮影できなかったが、数十個のマユハキタケを観察することができた。 1月から3月までの気温が異常に高かったのでもしやと思い若いスダジイの斜面林を歩いてみたが、まだカシタケの姿は見られなかった。房総ではまだでも、茨城県ではすでに出ているのではあるまいか。 昼前に帰宅したが、まだ雨はやんでいなかった。さぁ、ひと仕事片づけないと大変だ。 |
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昨日採取したジンガサタケとシモクレン樹下のキンカクキンを顕微鏡で覗いてみた。ジンガサタケの胞子(a)は14.5〜19×8.5〜12μmとかなり大きい。シモクレンに出るキンカクキンの子嚢(b)は先端がメルツァー液でアミロイド反応を示す。子嚢や胞子だけを突然見せられてもツバキキンカクチャワンタケ等と区別するのは困難だ。この仲間の同定はとても難しいようだ。
ちなみに、ここでアップした顕微鏡写真は3月24日amで記述した顕微鏡を使っている。アクロマート対物レンズ装着の小型単眼顕微鏡である。これはふだんは車に積みっぱなしにして携帯用(?)として使っているのだが、かつて中古で4万円弱で購入したものだ。 午後さいたま市の秋ヶ瀬公園に行ってみると地表はカラカラで数日前の雨の恵みは全く感じられない。公園南東部のゴルフ倶楽部との境目には100メートル以上にわたってユキツバキ系のオトメ(f)が境界をなしている。ユキツバキ系の八重咲きのものにはキンカクキンはつかないとの説もあるようだが、ここには多数のツバキキンカクチャワンタケ(c〜e)を観察できる。 |
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仕事のあとそのまま、さいたま市の見沼地区に行ってみた。ジンガサタケ(e, f, g)は2週間前から出ていたと聞いていたが確認したのは今日が初めてだった。雨が少なかったせいだろうか、発生数がとても少なく、柄の長さも例年のものよりも短い。アミガサタケ(h)がおもしろい形で出ていた。頭を押さえつけられたまま成長したようだ。他にも黒タイプをいくつか見ることができた。ネナガノヒトヨタケあるいはバフンヒトヨタケらしき菌(i, j)もでている。このところひどい乾燥続きだが、それでも結構いろいろなきのこが出るものだ。昨日待望の雨が降ったが、お湿り効果が現れるのは明日以降だろうか。 | |||||||
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「八王子のきのこ」の奥 修氏が「きのこノート」に「顕微鏡の知識−各部のつくり−」を新規にアップされた。氏ほど光学顕微鏡について造詣の深い人は菌類関係者のあいだにも数えるほどしかいないだろう。私の知る何人かの顕微鏡専門家からも同じような評価を聞いている。今回アップされたのは最も基本的な顕微鏡各部についての知識であるが、顕微鏡できのこを観察しようと思うならば、一度は必ず目を通しておくべき必読文献といえよう。 氏から何度か直接指導を受けているのだが、なかなか良い顕微鏡影像・写真を得ることは難しい。不肖の弟子である。氏からいただいた珪藻のプレパラートを撮影したのが(a)から(d)であるが、奥氏の撮影したものと比較すると愕然とする。あまりにも違いが明瞭すぎる。まさに「雲泥の差」である。 いいわけになるが、これらの画像は安物のアクロマート対物レンズ×400を使用し単眼顕微鏡の接眼部に、デジカメCoolPix950のレンズを密着させて撮影(k)[2001/08/19撮影]したものである。いわば簡易コリメート法である。アクロマートレンズでも油浸×100を使い、最高度に調整して上手に撮影すれば、技術しだいではるかによい画像が得られるという。だが、それには基本的な知識と修練が必須だ。 ただ、(a)〜(d)程度の影像しか得られなくても、少なくとも胞子・シスチジア・クランプなどの観察には相当に威力を発揮してくれる。基本的知識が欠如していればこのレベルの影像ですら得るのは難しいのではあるまいか。 |
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久々の雨の中、さいたま市の見沼地区を歩いた。キクラゲ、アラゲキクラゲ(b, c)、エノキタケ、タマキクラゲがあちこちにまだまだ多数出ている。休耕田の草むらに大きなオニフスベ(c, d)の老菌が5,6個ほど転がっていた。たいていは胞子を散逸させると形が大きく崩れてしまうのだが、今日出会ったものは形は崩れていないし表皮(e)もぼろぼろにはなっていなかった。昨年発生したものが人目に触れずそのままの姿で残っていたものだろうか。(f)はその胞子で6〜7μmのサイズだ。 例年だと桜の花が満開の頃にはアミガサタケの白(黄)タイプがでてくるのだが、見沼地区ではまだ全く発生していない。異常高温と渇水のため桜こそ例年より2週間ほど早く満開になったが、アミガサタケの方は例年通りなのかもしれない。さらに桑の花はまだ全く咲いておらずキツネノヤリタケも発生していない。ただ、どこに行ってもコブシ・モクレンの樹下、ツバキ・サザンカの樹下には多数のキンカクキンがでていた。 |
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