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昨日採取したヒトヨタケ科のきのこ(a〜d)は、検鏡しただけで撮影はしなかった。ネナガノヒトヨタケ(a, b)は掘り出してみると柄の長さが20cm以上もあった(c)。地上部は高さ5cmほどだったので、地下の根(?)の部分はその3倍もあったことになる。クズヒトヨタケ(d)は少ししか出ていなかった。ウッドチップの脇の倒木にはアラゲキクラゲ、スエヒロタケが乾燥してへばりついていた。 今朝暗いうちにネナガノヒトヨタケを再び採取してきて、直ちにヒダ切片を作成した。しかし親族に不幸の知らせがあり撮影は途中で中止した。撮影したのは胞子(e)だけだ。慌しい電話のやりとりの間に、ヒダ切片は溶けて黒くなり担子器の姿も見えなくなってしまった。 [事務連絡] 知人・友人の方へ:来年の年賀は遠慮します。きのこ年賀状は出しません。 |
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乾燥続きのせいだろう、近場ではこのところ傘と柄をもったきのこはウッドチップにしか見られない。それもすぐに溶けてしまうヒトヨタケ属やら、小さくてヒダが薄くもろいコガサタケ属ばかりだ。これらのきのこからヒダの薄片を切り出すのは思いのほか難しい。 最近は横着して切り出した切片をすぐにそのままスライドグラスに載せてしまうので、切片全体が胞子まみれとなり見にくくなってしまうことがよくある。従来は必ず、一度水を張ったシャーレなどに落としてから、筆先で拾い上げてスライドグラスに載せていた。これだと余計な胞子はかなり洗い流されて見やすいプレパラートができる。しかし、別のきのこを扱うときにはシャーレもていねいに洗わないと胞子が混ざってしまう。最近では、そんな簡単なことすら面倒になっている。 今朝作ったネナガノヒトヨタケの切片ではシスチジアがことごとく妙な形に変形していた。たまにうまく薄いヒダ切片が作れたと思ったら、どうやら嚢の途中にかみそりを入れてしまい刃先が内容物を引きずったようだった。そのため、まるでシスチジアがないかのように見えた。そしてそれらはみな胞子まみれだった。結局一枚も撮影はしなかった。 |
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昨日は菌懇会の例会があった。川崎市の緑地でも湿地以外の場所にはきのこの姿はとても少なかった。湿地ではヒメムサシタケ属、ツチイチメガサ(a)、アラゲコベニチャワンタケ、クロコブタケ、ガマホタケ属などを見ることができた。スッポンタケ、ニガクリタケ、ナラタケ属、ナヨタケ属、ハタケシメジなどのきのこもみられた。道端の切り株の根元から綺麗なヒラタケ(b)がでていた。これはおそらく大きく育つ前には摘み取られてしまうだろう。それにしてもカメラの出番は非常に少なかった。 池田良幸著「石川のきのこ図鑑(c)」だが、[復刊ドットコム]の得票数をみたら、たった41票にしかなっていなかった。100票以上を得ないと復刊交渉は始まらない。栗林義弘さんがpicoさんの掲示板で呼びかけたときからみれば、多少票は伸びたもののいまだこの票数というのはさみしい限りだ。心あるきのこ愛好者の方は是非とも投票してほしい。 地方出版の「××(県)のきのこ」といった書籍は数多いが、多くは各地でみられるきのこの写真を載せて簡単な解説をつけただけのものだ。掲載されている種類はどれも似たり寄ったりだ。「石川のきのこ」はそれらとは全く異なる。写真は一枚も無く、きのこの姿はすべて著者の手になる手書(d)きだし、そのすべてについて詳細な検鏡所見と検鏡図が記されている(e)。各きのこの学名(ラテン語)の由来にも触れていて興味深い。それだけに「売れる本」とはなりにくい。保育社「原色日本新菌類図鑑」以外に国内で検鏡図を付したきのこの書籍が他にあるだろうか。 |
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オオシャグマタケ、センボンキツネノサカズキなど、約80種類に胞子・子嚢・担子器などの顕微鏡写真を付け加えた。当初は「キノコのフォトアルバム」掲載のすべての種にたいして胞子などの写真を付加するつもりだったのだが、ベースになる写真類をほとんど失ってしまった(今日の雑記 9/8)ので、被害に遭わずに生き残ったものだけでも少しずつ付け加えていくことにした。 検鏡写真は同定のベースにもなっていたので、これらを失ってしまった今「キノコのフォトアルバム」掲載の写真には何の根拠もなくなってしまった。当初しばらくはショックがひどく「きのこ雑記」自体を直ちにやめようかと思った。もうしばらく続けていくことにしたのは、やめてしまうと自分たちが外出先や外部環境から参照できなくなってしまうという消極的な理由からだった。 たまたまCD-Rに焼いておいたもの、外付けハードディスクに収めていたもの、インターネットディスク上に保管しておいたもの、などわずかに200種類ほどが助かったので、とりあえずこれらを少しずつアップしていこうと思っている。きのこの少ない冬場の作業としては悪くない。画質の悪いものとか、あまりよくない被写体を撮影したものなどが混ざっているが、これらは今後少しずつ差し替えていくことにしよう。 |
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早朝の秋が瀬公園に行ってみたがほとんどきのこの姿が無い。わずかにウッドチップにハタケチャダイゴケ、ナヨタケ、コガサタケ属など数種類の常連きのこがでていただけだった。 蓮沼海浜公園では松林の下もカラカラに乾ききっている。それでも、ニセマツカサシメジ(a, b)、マツカサキノコモドキ(c, d)は新鮮な状態で多数見ることができる。それに対して、オウギタケとかチチアワタケ、ベニタケ類などはすっかり干からびた状態のものしか見られなかった。 蓮沼海岸の遊歩道は木製タイルを敷いてある。よくあるように、長さ80〜100cm、径10〜15cmほどの杭を縦にビッシリと地中に埋め込み地上部を平らにならしたものだ。この杭形式の木製タイルは古くなるとコケがついて、特に雨の日などは滑りやすくて危険だ。冬の関東地方のように乾燥しきった季節でも地中にはたっぷり湿気があるので、この杭タイルの表面には思いがけないきのこが出る。先日はエノキタケをみたが、今回は足元一面に広い範囲でヒラタケ(e)が出ていた。一見すると地面から直接ヒラタケがでているかのように見えて不思議な光景をなしている。 |
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13日にコナガエノアカカゴタケの観察の後、蓮沼海岸を少し歩いた。往路は砂浜を、復路は松林の中の遊歩道を選んで、300メートルほどを歩いた。遊歩道では砂地からカニノツメ(a)がポツリポツリとでていた。観察用に2本ほどを採取した(b)が、すさまじい臭いだ。今にも頭を出しそうなタマゴ(c)を掘り出してみると、根状菌糸が25cm以上も地下深く伸びていた(d)。そのタマゴを切断(e)してみると、内部にはすべての構造が折りたたまれた状態で収まっている。顕微鏡観察用に小さな未熟の若いタマゴ(g)を数個掘り出して持ち帰った。 腹菌類の担子器を観察したければ若く未熟で小さなタマゴ(f)を見つけなくてはならない。成熟したタマゴ(e)ではもはや担子器は消失してしまっている。この仲間の胞子(g)は大きさも形も似たり寄ったりだ。担子器(h)もよく似ていて、その先端には4〜12個ほどの胞子をつける。担子器が少し見にくいのでフロキシンを少し注いでみた(i)。さらに10分ほど放置して見たのが(j)だ。期待に反して、担子器隣接の組織ばかりがしっかり染まっている。 話題は全く変わるが、以前から池田良幸著「石川のきのこ図鑑」の復刊を希望する声が非常に多い。久しぶりにpicoさんの掲示板を覗いたら、この書籍の復刊の件が話題になっていた。著者の池田さんは気さくな方なので、お会いするたびに個人的にも何度かお願いしているが、復刊はかなり難しそうだ。そうなれば、[復刊ドットコム] の力を借りて是非とも復刊したい。昨夜投票したらまだ31票目だった。つい今しがたみたら33票。100票になれば希望がでてくるのだが。 |
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海辺の定点観察に行ってきた。今回は千葉県九十九里浜の南部から中部を重点的に歩いた。例によってコナガエノアカカゴタケの発生状況の調査が主だが、一宮町の海岸では、昨日・今日発生して直立している個体(a)が3個、数日前に発生してすでに倒れている個体(c)が34個、タマゴ(d)が7個確認できた。今回も白子町の海岸では1個体も確認できなかったが、長生村一松海岸で2個体の発生を確認できた(b)。これまでは、発生分布が一宮町と白子町だけであり、中間の長生村が抜けていた。今回、長生村でもコナガエノアカカゴタケが発生していることを確認できたので、これで一連の浜辺がつながった。 浜辺には他にはスナヤマチャワンタケ(e)、アセタケ属、ヒトヨタケ属のきのこが見られた。松林の辺縁にはヒラタケ、オウギタケ、マツカサキノコモドキ、ニセマツカサシメジ、干からびたチチアワタケ、同じく干からびたベニタケ属、ノウタケ、ホコリタケ、カニノツメなどの腹菌類くらいしか見られなかった。澄し汁に入れたヒラタケは意外と美味しかった。ハマボウフウもよい味わいを感じさせてくれた。 |
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日曜日(11/10)にさいたま市の秋が瀬公園から持ち帰った傘が黄褐色のきのこ(a〜c, 今日の雑記11/10 d)を早朝顕微鏡で覗いた。冬場の関東地方は湿度が極端に低くひどく乾燥しているので、きのこが乾かないようチャック付ポリ袋に容れて冷蔵庫の野菜籠に放り込んでおいた。幸いうまくいって採取時とほぼ同じような新鮮な状態を保っていた。 若い菌(a)は傘の縁に白い被膜の名残を残している。ヒダ(b)は幼菌では淡黄色だが成菌になると褐色だった。柄の基部には白毛がある(c)。傘にも柄にも苦味はない。胞子紋(d)は暗褐色。 胞子は水でマウント(e)したものより、KOHの中(i)では鮮やかになった。ヒダ切片(f)をよく見ると先端(g)にも脇にも細長いシスチジアが多数ある。担子器(h)を覗いてから、あらためてKOHに浸してみると多数のクリソシスチジア(i)が見えた。面白半分にメチレンブルーで染めて担子器(j)などを覗いてみたが、基部にクランプがあるや否やの判定はできなかった。いずれにせよ、ニガクリタケモドキやアシボソクリタケなどの近縁種だろう。やっと日曜日の宿題が片付いた。 モリノコフクロタケを誤同定してヒメフクロタケとしたまま掲載していた「キノコのフォトアルバム」を昨日修正した。各種の検索リストも当然すべて更新した。検索リストが縦横に絡んでくるので、同定を誤ってアップしてしまうと実に面倒な修正作業を強いられる。 |
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去る11月3日に観察したコナガエノアカカゴタケ(今日の雑記 11/4)のタマゴの中に、長く伸びた根状菌糸の先が生きたハマニンニクの根(地中の茎?)の中に入り込み、渾然一体となっているものがいくつかあった。これらのタマゴを宿主のハマニンニクと一緒にいくつか持ち帰って、冷蔵庫の野菜籠に放り込んでおいた。 今日箱をあけてみると、タマゴはすっかり成長して網目状の頭部を出していた(a〜c)。これらは採取時には太くて長い菌糸束を持った白いタマゴだった。太い菌糸束はハマニンニクの根にしっかりと絡み付いている(d, e)。その菌糸束からは細い菌糸が枝分かれして、先端はいずれもハマニンニクの根の部分に入りこんでいる。この様子は採取時と全く変わっていない。一方青々としていたハマニンニクの葉は枯れ始めている。 このとき同時に持ち帰った他のタマゴは、掘り出すときに菌糸の先端が切れてしまって基物とは切り離された状態だった。これらのタマゴも全く同じ条件で保存しておいたのだが、成長しているものは一つもなく採取時とほとんど同じ姿をしていた。両者のタマゴは採取時には大きさも固さもほぼ同じくらいだったので、基物から栄養を補給できる個体だけが成長したように見える。 コナガエノアカカゴタケはイネ科植物を分解して生きていると考えられる。自宅冷蔵庫のハマニンニクは枯れ始めたが、浜で見る限り宿主のイネ科植物はコナガエノアカカゴタケが付いたものも生き生きとしている。菌がすっかりしおれてしまった後でもその勢いが弱る気配は無い。単純に腐生あるいは寄生をしているだけではないのかもしれない。 |
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[その2] |
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つい先ほど、WildMushさんから「11月10日の(e)もナヨタケのように見えますが、いかがでしょう。」というメールをいただいた。気になっていたので、早速検鏡した。日曜日(11/10)にさいたま市の秋が瀬公園で採取した小型菌(a〜d, 今日の雑記11/10 e)である。成菌(a)は淡い白紫色を帯びたとても繊細なきのこだ。若いうちはヒダは淡紫褐色(b)だが、成熟すると暗紫褐色(c)になる。柄の基部(d)は白毛で覆われている。胞子紋(e)は暗褐色。 切片(g)を切り出しヒダ実質の観察とシスチジア(h)探しから始めた。縁シスチジアがとても少ない。ヒダによっては全く無い。念のため持ち帰った6個体のすべてからヒダを切り出してしまった。これほど多数のヒダ切片を作ったのは久しぶりだ。今度こそ縁シスチジアが多数あるだろうと、意地になってしまった結果だ。側シスチジア(h)は多数みられる。低倍率でもすぐにわかるほどある。その一つを柄付針で取り出してみる(i)と、意外と大きかった。担子器(j)の基部にはクランプがある。ナヨタケとしたいところだが、縁シスチジアがほとんど無いか極度に少ない。 非常に忙しい検鏡だった。さらにWildMushさんから指摘されたことだが、今日の雑記 10/24(a, b)でヒメフクロタケと同定したものは、モリノコフクロタケの同定ミスである、先週から気づいていたが、まだ修正しないままに、アルバムにも掲載したままとなっている。WildMushさんありがとうございました。アルバムの修正は数日中にしようと思う。 |
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昨日さいたま市の秋が瀬公園から数種類の小さなきのこを持ち帰ったので、まずそのうちの一つ(a〜c, 今日の雑記11/10 c)を早朝観察した。幼菌(b)では傘の条線が明瞭だが、成菌(a)になると全体が白っぽくなり条線は殆ど消える。傘表面には剛毛などはなく、縁には被膜も無い。ヒダ(c)はやや疎で幼時は灰白色だがすぐに黒褐色になる。柄は中空で根元(d)は白毛に覆われる。スライドグラスにとった胞子紋(f)は黒褐色だった。 胞子(f)を確認した後、ヒダ切片(g)を切り出して先端(h)を見ると縁シスチジアが、ヒダの脇には多数の側シスチジア(i)がある。担子器(j)の根元にはクランプがあるのだが、撮影はできなかった。どうやらナヨタケの可能性が高そうだ。 時間の経つのは早い。顕微鏡を覗いているといつもすぐに仕事の時間になってしまう。時間切れで他の2種類の小型菌までは検鏡できなかった。顕微鏡で観察するだけなら同じ時間内に2種類は確実にできるのだが、デジカメ撮影が加わるととたんに時間が足りなくなってしまう。それでも銀鉛フィルム一眼レフ時代に比べると、撮影は実に簡単、管理も楽でとてもありがたい。 「今日の雑記」は第一目的が自分たちのためのメモである。したがって、多少画質の悪い映像でもいとも簡単に妥協してしまう。しかし、他人に見てもらうことを第一目的とするなら、たった1種類の撮影だけでも丸一日あるいは数日が必要となる。[よい写真] は [多数のプレパラート] の作成が前提となり、さらによい画像を得るために [多数の写真] をとらねばならない。そうなると観察よりも、[納得できる映像] を得ることが主眼となってしまう。今はその気は無い。 |
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