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首都圏は雪に弱い。たった数センチの積雪で「大雪」である。例年だと11月中頃にはスタッドレスタイヤに交換しているのだが、今年はまだ夏タイヤのままであった。チェーンも積んでいない。まだまだ大丈夫だろうと、油断しているうちに雪が先にやってきてしまった。 昨日、シャーベット状の雪の中を秋が瀬公園に行ってみると、坂道の途中で前を走っていた車が急に横を向いたかと思うと道をふさいで止まってしまった。慌てて脇をすり抜けようとして、急ブレーキをかけて急ハンドルを切ってしまった。当然のように思いがけない方向にスリップしてしまった。幸い何事もなく通過できたが、雪の坂道は油断大敵である。何とか公園内に車を停めて雪をかぶった藪に入ってはみたが、長靴の中の足先がすっかり冷え切って感覚を失ってしまったので、早々に引き上げてきた。 きのこで通う道も既に雪や凍結の世界だろう。チェーンは面倒なのでできれば使いたくない。となると、今週中にはタイヤをスタッドレスに交換せねばならない。もっと暖かいうちに交換しておけばよかったと思っても後の祭りである。タイヤ交換作業は腰痛を抱える身には辛い。 |
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一昨日千葉県の海岸で採取してきたケシボウズタケ属は、やっと地上に顔を出したばかりの状態だった。国内の図鑑に掲載されている写真はほとんどがミイラ化した老菌である。若くて柄がまだやわらかい状態のものに出会えたのは幸運だった。 海浜性植物の間にちょうど野ウサギの糞が砂柱に持ち上げられたような姿で出ていた(a)。砂を半分掘ってみると白っぽい柄(b)がでてきた。幼菌(c)は砂にまみれてまだ頭部に孔はない。成菌を掘り出して縦に切ってみると(d)、グレバは黄褐色で柄は白く充実していた。頭部の表皮は平滑で、その下部にはフリンジのように外皮が残っている。孔口には管状隆起はなく、縁部に小繊維の房毛のようなものがみえる(雑記 2002/12/07f)。柄の表面は平滑な繊維質で、基部にも特に膨らみはない。また菌糸束などもみられない。 胞子表面に焦点(e)をあてたり、輪郭に焦点(f)をあてて観察するが、疣状突起は見られず、隆起した太い皺に覆われている。厚膜の弾糸(g, h)にはやや小さめの拳状節(swollen septa)が見られる(g)が、拳状節もなく次々に枝分かれしたもの(h)も多い。 孔口の形や、胞子サイズ・表面模様などを見ると Tulostoma striatum と同じ節に属する種と思われるが、柄の基部に膨らみはない。まだちょっと観察したばかりなのでわからないことばかりだ。今後さらに詳細に調べなくてはなるまい。 |
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昨日午前中、菌友の坂本晴雄氏と九十九里の浜辺を歩いてきた。雨と強風のため手先や足先の感覚を失いながら震えて歩いた。一宮町ではコナガエノアカカゴタケ(a〜d)をはじめ、スナヂアセタケ、スナジクズタケ、マツカサキノコモドキ、ニセマツカサシメジ、スナヤマチャワンタケ(e)などに出会った。撮影している間にもリュックやカメラがすっかり濡れてしまった。砂にまみれ雨に濡れたカメラがまた心配だ。なんといってもデジカメは雨に弱いから。 コナガエノアカカゴタケは成菌(a, b)2個体、たまごを5個体、萎れた個体(d)を15個体ほど確認することができた。そのほかに乾燥して萎れきったたまごを2個体確認できた。残念なことに10月末に184個体を確認した場所(雑記 2002/10/24)の大半がすっかり崩壊して海中に沈んでいた。今回発生を確認した場所(c)も汀線から10メートルもない。写真(c)で後方に白く見えるのは海である。今回発生を確認した場所もいつ水没しても不思議のない場所である。 蓮沼村では多数のスナヤマチャワンタケが発生していたが、念願のケシボウズタケ属(f)に出会うことができた。それもミイラではなく成熟したばかりの若い成菌だった。20数個体を確認できたので、それらのうちから数個体を持ち帰った。一見したところナガエノホコリタケ(ナガエのケシボウズタケ)のような概観を呈しているが、胞子の表面模様がまるで違う。微疣突起はなく、隆起した皺に覆われている。詳しく調べてみないと、どの種に落ちるか全くわからない。 |
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雨が降ってから数日経過したので見沼に行ってみた。エノキタケがあちこちの立ち枯れの根本にでていた。若い菌(a)、長い柄をもった成菌(b)、柄に見事な縞模様をもった成菌(c)などをはじめ、小さな株から大きな株まで7,8ヵ所で出会った。ただ、雨による泥はねを受けて株の根本にでている菌は一様に汚れている。 さらに目立ったのがシロフクロタケ(d, e)だった。袋に入ったままの幼菌から成菌、さらに色も灰褐色になってすっかり傘を広げた老菌まで各所にでていた。雨の前日に大きくなり始めていたヒラタケ(f)は傘の縁のあたりから乾燥しはじめていた。ほかにはネナガノヒトヨタケ、アラゲキクラゲ、キクラゲ、タマキクラゲなどを見ることができた。 ついさきほど嬉しい知らせがはいった(pm4:00)。復刊ドットコムの石川のきのこ図鑑が100票に達したという。現在交渉中の書籍が多いため、交渉開始まで時間が掛かるこもしれないが順次対応していくとのことだ。さらに票が増えれば交渉優先順位が上がるかもしれない。出版社が応じてくれることを切に希望する。 |
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一昨日採取したワタヒトヨタケを顕微鏡で覗いた。このきのこの特徴としてよく挙げられているのが、胞子の発芽孔の位置である。一端から著しくはずれて付いているという。それを確認するために若い菌と成菌の2個体の胞子(a, b)をみた。さらに縁シスチジアよりも側シスチジアの方が相対的に大きいとされる。今回採取した個体では、縁シスチジアはとても小さかった。側シスチジア(c)は嚢状のものが多かった。中には球形に近い姿のもの(d)もある。 縦に切断にして持ち帰った若い菌は半分を冷蔵庫に、もう半分を机上に一晩放置してみた。冷蔵庫に入れておいた半分は採取時と殆ど変わりなく、傘表面の様子は採取時と殆ど変わらずヒダも白いままだった。一方、机上に放置したものは、傘表面に明瞭な溝線が現れヒダは黒くなり、そのうち(e)のようにヒダの一部が溶けだした。しかし、傘表面は溶けることなく残っていた。 関西菌類談話会のホームページをリンクに加えた。今日現在まだ掲示板や活動報告が工事中だが、おいおいできあがっていくことだろう。また、北海道札幌に拠点をおくNPO法人 北方菌類フォーラムが12月15日にWeb上にホームページを再開する。こちらは14日頃になったらリンクページに加えることにしたい。 |
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早朝、昨日採取したクズヒトヨタケを顕微鏡で覗いた。検鏡に使ったクズヒトヨタケは採取袋に入れたまま冷蔵庫の野菜籠に放り込んでおいたものだ。液化こそしないものの、かなりしなってしまい大部分がペシャンコになっていた。このためヒダ1枚を取り出すのにえらく難儀してしまった。やはりヒトヨタケ属の検鏡は採取してすぐにやらねばならない。 胞子(a)はいつ見ても面白い形をしている。角の丸い五角形といったところだ。採取から1日経過しているため、明瞭なヒダ切片は作れなかった。担子器(b)が並んで見えたので、それらのうちから根元まで見えるものを探した(c)。担子器はヒダ表面にビッシリと分布している。上から見ると担子柄の先端に均等に4つの胞子が付いている(d)。この状態で見たときの胞子は特徴的な五角形の姿ではなく、卵形に近い楕円形をしている。 当然のことだが、胞子を縦から見た場合と横から見た場合とでは、そのサイズばかりか形もかなり違う。(a)で小振りの楕円形に見える胞子などはそれだろう。長さ(L)、幅(W)、縦横比(Q=L/W)等を計測する場合には、こういった点への配慮も必要だろう。 |
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天気予報は雨だが、まだその兆候もないので早朝見沼を歩いてきた。連日の霜と低温できのこの姿はほとんどない。ただ、ウッドチップのあたりだけにヒトヨタケ科を主体とした脆いきのこが多数でていた。期待の腹菌類はハタケチャダイゴケしか見られない。 薄暗い中でも、一部のウッドチップの堆積からは湯気が昇っているのがわかる。そんなチップからは予測どおりネナガノヒトヨタケ(a)、クズヒトヨタケ(b)、ワタヒトヨタケ(c, d)などが出ていた。やや赤みを帯びた綺麗な幼菌(e)もある。これらはとりあえず持ち帰ったが、今朝は検鏡している時間がない。いったん冷蔵庫に放り込んでおこう。 数日前に北海道でSさんからホネタケを見せていただき感激した。写真でこそ何度も見ているが、実物を見るのは初めてだった。採取者の了解を取っていないので撮影や検鏡など差し控えた。前々から一度目にしたいと思っていたものなので、今朝は [見沼の主] のシロをていねいに落ち葉をかき分けて探してみた。ホネタケどころかきのこの姿は全くなかった。 |
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北海道の親しい知人のところできのこの勉強をしてきたが、戻ってみると親しい友人の訃報が待っていた。今日明日は通夜・告別式、このところ身近なところで別れが多い。ここ数日はきのこもお預けだ。復刊ドットコムの石川のきのこ図鑑が87票に達した。あと13票! 顕微鏡のスライドグラスを1000枚買ってきた。この枚数になるとかなりの重さになる。他にも荷物があったので総重量は14kgを超えていた。リュックの背中に箱の角があたって痛かった。 |
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