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早朝さいたま市の秋ヶ瀬公園にいってみた。ここしばらくの雨無し猛暑のためかきのこの姿がほとんど無い。数少ないきのこのうち、アラゲキクラゲ、キクラゲ、キコガサタケ、ザラエノヒトヨタケ、ハタケキノコ、アンズタケ、ハタケチャダイゴケ、アセタケ属のきのこ等を見ることができた。しかしシャッターを切る機会は一度もなかった。嵐の風雨が激しくなる前に帰宅した。 |
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先に日光で採取したゴムタケ(d)を検鏡した。胞子嚢(a〜b)を見ると
胞子(c)がとても特徴のある形をしている。切片切り出しが面倒かなと思ったが、案ずる
より産むが易しだった。接眼レンズをしばらく覗いている間にも、胞子嚢が膨らんできて突然ゴム風船が破裂するように破れて胞子が飛びだしてくる姿がみられて興味深かった。 カレエダタケのようにみえたきのこ(h)から切片(e)を切り出してよくみると、担子器(f)は2担子型で、胞子(g)は類球形をしている。胞子がやや小ぶりだが、胞子・担子器などは非アミロイドで、子実体表面に縦縞がはいっていることなどからカレエダタケモドキだろう。(c)、(g)のスケールは1目盛りが1μmだ。 |
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今日取り上げたのは、先の日光(7/6)からの帰路に出会ったきのこだ。某サービスエリアでは、マンネンタケが30cm以上の大きな姿(a)にまで育っている。幼菌(b)も太くて大きい。これらは、草むらの中の死角になった位置に出ているので無事にここまでに育つことができたのだろう。アワタケ(c, d)、ハンノキイグチ、テングタケなどに混じって、典型的な模様をもったヒロハシデチチタケ(e)やら、クサウラベニタケ(f)らしききのこがでていた。他にも多くのきのこを見ることができたのだが、人が多く出入りする場所だからだろうか。ほんの少しの間に、みごとだったきのこ達の多くが踏みつぶされたり、蹴飛ばされていた。 |
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日光で出会ったきのこにムカシオオミダレタケそっくりのものがあった(g〜k)。材の種類は明確ではないが、ミズナラかハルニレのように思えた。これまではブナから出たものしかみたことがないが、図鑑などの記述によればブナ以外からも発生するという。気になったのは切断面の環紋(k)である。このことについては図鑑などに記述がない。 これまで何度もムカシオオミダレタケには出会っているが、切断面に注意を向けたことはなかった。念のためにヒダの各部から切片を作って検鏡したが、明瞭な担子器と胞子をみつけることはできなかった。以前採取したムカシオオミダレタケではそんなことはなかった。まだ未熟個体だからなのか、あるいは別のきのこなのか、結局このきのこの素性を突き止めることはできなかった。 |
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[その2] |
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日光から帰宅する途中で一休みするために駐車場で体を伸ばした。車外にでて芝生や生け垣のある周辺を歩くと、足下に柄が青変したきのこ(c, d)が捨ててあった。付近をみると成菌(a)や若い菌(b)がいくつも束生している。カメラを思いっきり近づけて柄の根元(e)と柄表面(f)も撮影した。傘には粘性が無く円錐状から丸山型をしている。湿った部分でも傘の縁には条線などはみられない。柄にはツバはなく中空で表面は絹状光沢を帯び触れると青変する。柄の根元には白毛が生えている。胞子紋は淡い紫褐色をしている。 捨ててあった一株を素材にして素性を調べてみた。ヒダを切り出し(g)てよく見る(h)とヒダ実質は並行型をしており、傘縁から中心にまでたっするヒダには側シスチジアはない。しかし、短い小ヒダ(i)には側シスチジア(k)がみられる。長いヒダ(g, h)にも小ヒダ(i)にも縁シスチジア(j)はあるが、その先端に分岐は全くみられない。さらに小ヒダにしか側シスチジアはみられなかった。胞子はやや多角形気味の卵形楕円形で発芽孔をもっている。スケールは1目盛りが1μmだから、5.5〜7×3.5〜4μmほどのサイズだろうか。なお傘の表皮層は細い繊維状の細胞からなっている。 側シスチジアがあるのでアイセンボンタケでもアイゾメシバフタケでもなさそうだ。傘の形やら縁シスチジアの形からオオシビレタケやらヒカゲシビレタケの線も消える。ただPsilocybeの仲間には間違いなさそうだ。 この仲間のきのこには新たに法規制の枠がかかってしまったものが多数含まれるので、これからは採取・標本保持には注意が必要だ。シロシビンを含むきのことの認識は全くなくても、調べてみた結果規制該当種となることはありうる。単純所持が処罰の対象となってしまったので、知らずに採取しても処罰されることがありうるわけだ。観察したあとこのきのこは焼却処分した。馬鹿馬鹿しいが、プレパラートも胞子紋も処分した。 ただでさえ、菌学そのものが海外の研究レベルから大きな遅れをとっているのだから、今後Psilocybe属の研究はますます停滞していくことになるだろう。そしてPsilocybe属やPanaeolus属の多くが今後は絶滅危惧種に追いやられていくことになるのだろうか。 |
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[その1] |
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土曜日(6/6)の日光で出会ったきのこの続きだ。アシグロタケ(m, n)として取り扱われているきのこにはいくつかの種が含まれているように感じる。この写真のものも傘表面の様子が典型的なものと少し違う。ゴムタケの裏面(o)と切断面(p)を記録しておいた。コウモリタケ(q)、ニガイグチモドキ(r)、ハンノキイグチ(s, t)などもみられた。特にハンノキイグチは非常に大きな群れをなして木の葉が重なるように数十個体が重なり合うようにでていた。ニオイコベニタケ(u)、ベニタケ属(v)、ウラムラサキ(w)は6月以来ずっとでている。コケの間から出ていた白いきのこ(x)は最初シロソウメンタケだろうと思い近づいた。よくみると先端が枝分かれしている。となるとシロヒメホウキタケかカレエダタケあたりだろうか。まだ検鏡していないのでこれ以上のことはわからない。 | |||||||||||||
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昨日日光に行くと知人のきのこ仲間に4人も出会ってしまった。ホシアンズタケ(a, b)があちこちに多数見られた。ちょうど今が最盛期のようで、立派な株や綺麗な株をいくつもみることができた。タモギタケ(c)は概ね終わりを迎えたようだ。ハナビラタケ(d)がようやく出始めた。これは昨年よりもかなり遅い。ツバ有りマツオウジ(e)は今回は少なかった。スギタケ(f)、シロヌメリイグチ(g)も出始めた。ナラタケ(h)はまだ幼菌が多く本格的発生はこれからのようだ。ゴムタケ(i)も多数が群生していた。みごとだったのがマスタケ(j)で、ミズナラの巨木の周りに幾つもの大きな株を作って鮮やかな姿をみせてくれた。イタチナミハタケ(k)はあちこちにあるのだが、キツネナミハタケ類似菌はみられなかった。同行のS氏がコガネムシタンポタケ(l)をみつけたので掘り出して撮影した。 なお、今回はツノシメジ、ヒロメノトガリアミガサタケ、キイロスッポンタケ、ヒメスッポンタケ、ヘタタケなどには出会うことが出来なかった。また、他にもいろいろのきのこに出会ったので、それらについては月曜日以降に取り上げていこうと思う。 |
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早朝に最近採取したきのこの胞子だけを撮影した。対物レンズがほこりと汚れでかなりひどい状態だが、とりあえず胞子のサイズと形は何とかわかるだろう。いずれも1目盛りが1μmだ。(a)はクサウラベニタケあるいはコクサウラベニタケらしききのこ[7/5a]、(b)はハナオチバタケ[7/5c]、(c)はキツネノカラカサのようにみえたハラタケ科のきのこ[7/5j]、(d)はクリゲノチャヒラタケ[7/5採取]、(e)はミドリスギタケのようにみえたツバのないきのこ[7/5b]だ。 過去に何度も修理に出してきたデジカメ(CoolPix990,950)だが、やはり故障の連続で良い状態での撮影がなかなかできない。今日はとうとう撮影した50枚ほどのデータはすべて全滅だった。こうなると、よい被写体とか撮影技術など以前の問題だ。あきらめて同じタイプのNikonのデジカメを買うことにした。注文したのはCoolPix4500だ。明日にでも到着するようだ。これまでのデジカメは予備用に回ることになる。 それにつけても「まともな」顕微鏡が欲しい。 |
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川越市や三芳町の保護林には例年ならムラサキヤマドリなどのイグチ類がかなりでているのだが、今年はかなり様子が違う。イグチの仲間は非常に少ない。 薬品臭のするもろいEntoloma(a)がかなりでていた。検鏡してみるとコクサウラベニタケに近いようだ。スギ倒木からでていたのはミドリスギタケかと思った(b)ら幼菌にもツバがない。チャツムタケにしてはヒダがやや荒い。ハナオチバタケ(c)が広範囲に群生する様子はまるで花が咲いたかのようだ。ヤケアトツムタケ(d)があちこちの焚き火跡に多数でていた。ヒロハシデチチタケ(e)、ニオイワチチタケ(f)、クサハツ、ヒビワレシロハツ、ドクベニタケなどのベニタケ類もかなりでている。 テングタケ科のきのこ類(g〜i)はまだとても少ない。(g)はタマゴテングタケモドキに、(h)はテングツルタケに似ているが、(j)はよくわからない。Lepiota属(j)のきのこはキツネノカラカサかとおもったのだが、胞子の形がまるでちがっている。どちらかといえばLepiota kuehnerianaに近いようだ。白粉粒におおわれたきのこ(k)はコナカラカサタケモドキだろうか。アワタケ(l)もいくつか出ていた。他にもアセタケ類、落葉分解菌をはじめ10数種類のハラタケ目のきのこがみられた。 |
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キヌガサタケ観察の折り竹林では他にもいろいろのきのこの姿がみられた。今日取り上げたのはその時に撮影したものだ。ビロードサカズキタケ(a)、ハナオチバタケ(b)、シロキツネノサカズキタケ(c)、ヒメコンイロイッポンシメジ(d, e)はいずれも小さなきのこだがとても可憐だ。ヒメコンイロイッポンシメジの胞子(f)はいかにもイッポンシメジ科らしいすがたをしている[スケールは1目盛りが1μm]。 | |||||||
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長瀞でキヌガサタケ(a)が出始めたというので、早朝行ってみると昨日開いた残骸が7,8個みられた。周囲には若いタマゴ(b)がいくつもある。今にも頭を出しそうなタマゴ(c)が5,6個まとまっていたので、それらの一つに的を絞ってカメラをセットした。すっかりマントを広げるまで、1〜2分ごとにシャッターを切った。ここではマントを伸ばし始めた状態(d)からすっかり広げ終わった姿(i)までその一部を掲載した。すっかり成長しきったマントに近寄って(j)みると実に繊細で美しい姿をしている。 薄暗い竹林には他にもいろいろのきのこが出ており、オオホウライタケ、ハリガネオチバタケ、スジオチバタケ、ハナオチバタケが目立った。中でも美しい姿を見せてくれたのが、ニカワアナタケ Favolaschia nipponica Kobayashi(k, l)だった。 |
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先に所沢の航空公園で採取した黄色い子嚢菌(7/2e, f)を検鏡した。胞子嚢(ma)には細長い胞子が8個入っている。メルツァー液で染色して側糸(mb)に焦点をあてた。よくみると胞子嚢の先端がわずかにアミロイド反応を示している。胞子(mc)はかなり大きいのだが、非常に細長く多数の油球がみえる。倍率をあげてサイズを計測したのが(md)で、スケールの目盛りは1μmだ。これらから判断すると色こそかなり黄色いが、この菌はニセキンカクアカビョウタケとしてよさそうだ。 |
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所沢の航空公園を歩くといたるところにきのこの群落(a)がみられる。これらはいずれもツチヒラタケ(b)の大きな株の群生だ。例年ここには梅雨の頃に大群落が多数できる。人がひんぱんに出入りする公園だが、さすがにここまで広く大きな株だと、踏みつぶされずに綺麗な状態で残ったものが大部分だ。アラゲキクラゲ(c)がビッシリとついた落枝も多数ある。アマタケ(d)やヒビワレシロハツ、オキナクサハツ、ザラエノハラタケ類似菌などもかなりでていた。水流のそばの枯れ枝からはニセキンカクアカビョウタケ(e, f)らしき菌がでていた。この菌はあちこちで何度もみているのだが、何故か図鑑にあるような赤みの強いものには出会ったことがない。 | |||||||
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見沼田圃や秋ヶ瀬公園にもようやくチップ以外にでるきのこが少しずつ顔を出しはじめた。しかし、まだ圧倒的にチップのきのこが主体である。このところずっとコムラサキシメジ(a)、ツブカラカサタケ(c)、ツブエノシメジ、ツバナシフミズキタケ、ハタケキノコとヒトヨタケ科、オキナタケ科のきのこが次々と発生している。 昨日採集したアセタケ(c〜e)を早朝覗いてみた。6/29に採集したアセタケとは場所が違うのだが、オオキヌハダトマヤタケのように見えた。柄の基部(f)は円筒状で特に膨らみはない。ヒダ切片(g)をあちこち探すが側シスチジアらしきものは見つからなかった。ヒダの先端にわずかに小さな薄膜のシスチジアがみられた。この縁シスチジアは担子器(k)などと似たような形をしていた。傘表皮は簡単に薄く剥がせるのでこの部分(i)を覗いてみる。傘表面には毛が生えているのでそこに焦点をあわせる(j)とおもしろい姿をしている。胞子は平滑な楕円形に近い姿[1目盛りが1μm]をしている。オオキヌハダトマヤタケに近い種類なのだろう。 |
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