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さいたま市にはウッドチップを撒いた公園がいくつもある。乾燥が続いて他の地域ではほとんどきのこが出ないような時期でも、これらの公園のチップの上にはほぼ通年いろいろなキノコがでる。ヒトヨタケ科、オキナタケ科、腹菌類が主だが、真冬でもカラカラ天気でも楽しめるのがありがたい。 今朝の見沼地区ではキオキナタケ(a)、ツブエノシメジ(b)、ビロードヒトヨタケ(c)、ワタヒトヨタケ(d)、ザラエノヒトヨタケ(e)、ネナガノヒトヨタケ(f)、ウシグソヒトヨタケ、ウスベニイタチタケ、ツバナシフミズキタケ、ハタケキノコ、サンコタケ、アラゲキクラゲ、キクラゲ、ハタケチャダイゴケなどの常連しか観察できなかった。コムラサキシメジやコキララタケはすっかり乾燥していた。しばらく雨が降っていないのでザラミノヒトヨタケはまだ出てきていない。 |
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高尾山で採取してきたきのこ(5/29 a, b)だが、どうやらクロゲシジミタケとは違うようだ。クロゲシジミタケだと確信していたので、当初はこのままアルバムに載せるつもりで、胞子以外は検鏡などするつもりもなかった。結果はアルバム搭載中止である。 念のためにスライドグラスに落とした胞子紋を、いつものように対物×40(NoCover)で覗いてみると、意外なことに胞子が俵形(a)をしている。クロゲシジミタケなら胞子は球形のはずだから、きっとナガミノシジミタケに違いないと思いすぐに切片(b)を切り出した。b で右上が傘表面、左下がヒダである。ヒダ部分を拡大(c)すると色の濃い紡錘形の部分が沢山見える。これらをさらに拡大してみると(d〜f)、厚膜の側シスチジアだった。 この時点でナガミノシジミタケ説も崩れた。シジミタケ属なら厚膜シスチジアはないはずだ。となると残るはヒメムキタケ属のきのこということになる。黒タイプのヒメムキタケと仮定しても傘の色、傘表面の毛が少し違う。次に、青木図版にあるクロヒメムキタケ(青木新称 No.303)かもしれないと思った。該当ページを読んでみたが、胞子の形やシスチジアの形が少し違う。もはや日本語の文献はない。 そこでDictionary of the FungiからHohenbueheliaを引くと、Barron & Dierkesを参照せよとある。が、この文献は手元にない。そこで、Mushrooms of Northeastern North AmericaでHohenbueheliaの検索表をたどるとH. atrocoeruleaに落ちた。そこで、スイスの図鑑Vol.3の該当箇所をみた。No.222のH. atrocoeruleaからは写真・記述ともに最も近いような気がするが、いまひとつしっくりこなかった。 というわけで、クロゲシジミタケ→ナガミノシジミタケ→ヒメムキタケ→クロヒメムキタケ→Hohenbuehelia atrocoeruleaと考察をすすめたが、結局結論はでなかった。 なお、g は傘表皮の毛、h はゼラチン質に埋もれたクランプだらけの傘肉部、i は担子器、h は胞子(スケールは1μm)だ。 |
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昨日は、高尾山に一日二回も登ってしまった。沢沿いの四つのコースを歩いてきた。お目当てのきのこには出会えなかった(だから登り直してしまったのだ...)が、クロゲシジミタケ(a, b)、アミヒダタケ(c〜e)、アラゲコベニチャワンタケ(f)などには多数であった。まだ、ホオノキ樹下にはキンカクキン(g)が、モミ樹下にはマツカサチャワンタケもかなりでていた。川沿いのハイキング道脇の立ち枯れ広葉樹にはタマチョレイタケ属のきのこ(h〜j)が沢山ついていた。ハチノスタケだろうか。それにしてもアミヒダタケは、傘表面(e)は何の変哲もないきのこなのだがヒダ(c, d)がとても美しい。 | |||||||||||
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所沢の航空公園ではササクレヒトヨタケ(a〜c)がみごとに大発生している。しっかりした柄を持った幼菌から、半分以上溶けてしまった老菌まである。一方で、背丈の高い成菌がいくつも蹴飛ばされて転がっていた。ツチヒラタケ(d)もチラホラと数ヵ所に出ていた。他にはすっかり干からびたキノコを数種類みることができるだけだった。 昨日取り上げた地下生菌だが、実はアップロードした直後から「子嚢菌ではあるまいか、だとするとツチダンゴしかあるまい」と疑い初め、再度小さな若い菌(e)から手当たりしだい子嚢探しをし始めていた。その気になってみれば丸い子嚢のようなものが見えないでもなかったが、しかしやはり撮影に堪えうるような子嚢はみつからなかった。 Dictionary of the Fungi からたどって "British Truffles" を読んでみると、若い胞子の姿(f)やら、観察結果などからほぼツチダンゴ属の Elaphomyces aculeatus Vittad. に間違いないとの確信を得ていた。ちょうどそんなおりに、井口 潔氏から「ツチダンゴ属のようにみえるが...」とのメールをいただき、「ツチダンゴ属の子嚢は消失性ですし、弾糸やクランプがない」との示唆もいただいた。マユハキタケ同様に、子嚢胞子を抱えた子嚢をみつけるのは容易ではないはずだ。 ツチダンゴというと、これまでは冬虫夏草のハナヤスリタケとかタンポタケといった菌生菌の宿主という視点からしか見ていなかった。生涯を地中で暮らすので、他の菌に冒されていないツチダンゴを見つけることなどできないとばかり思っていた。鹿のおかげとはいえ、実際に単独でツチダンゴをみたのは今回が初めてだった。 |
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富士山で5/23日に採取した菌のうち、地下生菌でやや気になるものがあったので後日のために記述しておくことにした。二合目付近のコケむしたシラビソ林にシカの掘った穴があり、そこに数個のショウロ型のきのこ(a)が転がっていた。コケをはがして別の場所をいくつか掘ってみると、地下10〜15cmほどのところ(b)から同じものが出てきた(c)。これを切断してみると(d)中には黒紫色の胞子が充満している。 ちょっとみためにはニセショウロ科のきのこのようにみえた。胞子をみると表面(e)はひび割れたような断片状のものに被われている。輪郭に焦点(f)を合わせても断片の隆起はすくない。g のスケールは2.5μmであるが、胞子サイズがとても大きい。18〜25μmほどある。きのこの表皮を実体鏡でみてから(h, i)、表皮を含めて外皮部分を切り出してみた。j で左上が表皮、右下が内部のグレバにつながる部分だ。さらに左上を拡大(k)したり、右下部を拡大して(l)クランプやら担子器を探したが見つからなかった。内部のグレバ部分をあちこち探ってみたが、弾糸の痕跡などは見つけられなかった。なお、きのこ自体には偽根などはみあたらなかった。残念だが属レベルまではたどり着けなかった。 |
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先に富士山で採取してきたキチャワンタケ類似菌(5/25b)から切片(a)を切り出して側糸・胞子(b)などを覗いてみた。これを見ると、どうやらキチャワンタケでよさそうだ。昨日すっかり陽が昇った時間帯に見沼にいってみた。やはり予想通りヒトヨタケ科、オキナタケ科のきのこはすっかり萎れたり溶けてしまって見る影もない。そんな中でシロフクロタケ(c)、コムラサキシメジ(d)、ツブエノシメジ(e)等は相変わらず元気がよい。サンコタケ(f)も照りつける太陽にお構いなしに成長を続けていた。ツバナシフミズキタケ、ハタケキノコも相変わらず多数でている。しおれたけ溶けてしまったきのこで目立ったのは、ワタヒトヨタケ、ビロードヒトヨタケ、ネナガノヒトヨタケ、ササクレヒトヨタケだった。 [5/25の補足] 昨日取り上げたフクロシトネタケと思われる盤菌は、青木図版 No.492、No.1036 で記載のナミチャワンタケ(青木新称)にとてもよく似ている。そこでは Discina perlata Fr.(1849) あるいは、そのシノニムと思われる Discina ancilis (Pers.) Sacc.(1899) の学名をあてている。なお、青木図版ではDiscina perlata Fr.に対してはフクロシトネタケという学名をあてず、新称としてナミチャワンタケとなっている。 |
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富士山(5/23)ではシャグマアミガサタケ以外にもいろいろのきのこにであったが、ここでその一部を取り上げた。真っ白なアミガサタケ(a)、いわゆるホワイト
モレルはフランスなどでは珍重される。キチャワンタケ(b)と思えるのだが青変性がとて
も弱い。最も印象的だったのが巨大なシトネタケの仲間(c〜f)だった。帰宅するまでオオシトネタケに間違いないだろうと思っていた。c のようにとても表情豊かな姿をしていた。掘り出してみると腐朽針葉樹から発生している(e)。柄の部分(f)も特徴的だ。幸い完熟個体(d)があったので、帰宅して検鏡することができた。 いつも通り切片(g)を切り出して、胞子嚢(h)、側糸(i)を低倍率で見る。側糸を観察していてふと胞子をみると、両端に顕著な嘴状突起を持ったものがいくつか見える。ひげ状突起があるとばかり思っていたので、これには驚いた。倍率を上げて(j)よく見ると、確かに間違いない、さらに表面 にはイボ状突起すらある。この時点でオオシトネタケ説はついえ去った。見やすくするためにメルツァーで染めてみた(k)。さらに胞子表面に焦点(l)を合わせてみるとイボ状突起とあわせて網目模様が明瞭にみえた。胞子サイズ、側糸、油球などの状態などから判断すると、きのこの形は巨大で異様でもこれは、ほぼフクロシトネタケに間違いなかろう。 |
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昨日シャグマアミガサタケとの出会いだけを求めて、きのこ屋(高橋)さんと一緒に富士山までいってきた。多数のシャグマアミガサタケ(a〜e)に出会うことができた。a、b、e などは典型的な姿をしているが、c のような色をしたものもある。d などは単体でこれ一つだけを見たらトビイロノボリリュウと間違えそうな姿をしている。他にもクヌギタケ科のきのこ、アミガサタケ、キチャワンタケ類似種、コチャダイゴケなどがあちこちにみられた。収穫したシャグマアミガサタケ(f)は一年ぶりに酒の肴となる運命にある。一歩間違えると死にも結びつく激しい中毒症状を呈するが、とても美味しいきのこでもある。しかし、正しい知識と確実な毒抜き処理の技術を持たない場合、決して口にしてはならない。いわば、きのこ界のフグともいえるきのこだ。
シャグマアミガサタケの成菌個体から切り出した切片(g)には胞子嚢が案外少なかったが、グシャグシャになった完熟個体からのもの(h)は、胞子だらけだ。例によって胞子嚢(i)、側糸(j)などをみた後、倍率を上げて胞子(k)、側糸(l)等を観察した。この写真はすべて、昨日の雑記でも紹介したオリンパスの単眼顕微鏡で撮影したものばかりだ。ただし、対物レンズだけは購入時のアクロマートレンズではなく、少しだけ良いレンズ(Plan)に交換してある(×40、×100)。 |
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しばしば、顕微鏡撮影画像のことに関してメールをいただく。それらの多くは以下の3点に尽きる。 (1) どんな顕微鏡を使ってきのこのミクロの姿を撮影しているのか (2) 三眼鏡筒顕微鏡を持っていないが、ミクロの撮影はできるか (3) 顕微鏡撮影専用のカメラ等をもっていないが何とかならないか こういった内容のメールをいただくと、文面だけで「小型の単眼顕微鏡と普通のデジカメでも撮影できます。コストもたいしてかかりませんよ。」と答えてきた。 そうはいっても文章だけではイメージが伝わりにくい。そこで、ミクロ撮影の手作り簡易機材を紹介することにした。日常頻繁に使っている顕微鏡(b)は単眼の古いものだ。これにデジカメを装着(a)して、ピントを合わせてシャッターを切るだけである。 デジカメはNikonのCoolPix950(c)、これに接眼レンズをねじ込む(d)のだが、そのままではCoolPixにつかない。そこで保護フィルタ(e)を接眼レンズに圧着させて周囲をビニールテープでグルグル巻きにしてずれないようにした。保護フィルタは1200円ほどで購入できる。実体顕微鏡で微小きのこなどを撮影(f)するにも同じことをしている。 なにも高価な三眼鏡筒を備えた顕微鏡でなくても、単眼顕微鏡でもアマチュアがミクロの姿を記録するにはこれで十分通用するのではないかと思っている。「今日の雑記」掲載のミクロの姿の大部分が以上の方法で撮影したものだ。 以前ビクセンの顕微鏡用デジカメアダプタを購入したが、中に挿入する接眼レンズがオリンパスやニコンのものは装着できない。ビクセンの接眼レンズを購入するか、何か別の工夫をしなくてはならない。このビクセンのアダプタも使用しているが、接眼レンズに傷がついたり、センター出しが面倒だったりと問題もある。それでも、高価な専用撮影装置などに比べたらずっと安価だ。1万円もあればおつりがくる。 以上で撮影の準備は整うが、良い画像を得ることや、それをデジカメでうまく撮影するのは容易ではない。プレパラートの作成同様、これには研鑽が必要だ。それには、「八王子のきのこ」の「きのこノート」が強い味方となってくれるだろう。 |
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朝食前にさいたま市の公園まで行ってきた。早朝の公園はジョギング、イヌの散歩、ウオーキングの人たちでにぎやかだ。 腹菌類がいろいろ出始めていた。キツネノタイマツ(a)、ツマミタケ(b)、サンコタケ(c)などだが、ツマミタケは途中で萎れて倒れてしまった。このサンコタケには4本の腕がある。コムラサキシメジ(d, e)も群落をなして発生していた。みごとだったのがビロードヒトヨタケ(f)の大群落だ。この群落には他にも10種類ほどのヒトヨタケ科、オキナタケ科のきのこも混じっていた。シロフクロタケ(g)、ツブエノシメジ(h)、キオキナタケ(i, j)、ツバナシフミズキタケ(k)、ウスベニイタチタケ(l)などは健在だ。他にもキクラゲ、アラゲキクラゲ、コキララタケ、ナヨタケなどもみられた。 |
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さいたま市の見沼地区ではツブエノシメジ(a)、コザラミノシメジ(b)が何ヶ所にも出ている。ハタケチャダイゴケ(c)の口が開き始めた。ヒメヒガサヒトヨタケ(d)、ビロードヒトヨタケ(e)、ザラエノヒトヨタケ(f)、ワタヒトヨタケ(g)、ネナガノヒトヨタケ、クズヒトヨタケ、マグソヒトヨタケなどのヒトヨタケ科の繊細でもろいきのこが無数に発生している。ヒトヨタケ科と思えるヒダがゼラチン質で橙色の繊細なきのこ(h)もでていた。ハタケキノコ、ツバナシフミズキタケ、ウスベニイタチタケは無数に発生している。 以上のきのこはおもに昨日早朝撮影したものだ。原則として持ち帰ったきのこは「分かり切ったもの」以外は必ず検鏡してきた。今朝はコザラミノシメジの検鏡結果の一部をとりあげた。胞子(i)はアミロイドで小さな突起模様がある。スケール(j)は1μm。側シスチジア(k)、縁シスチジア(l)はともに鋭く尖って先端に結晶構造をもったものが多い。 相変わらずウイルス付きメールが多数やってくる。このところほぼ連日10件を超えている。発信人のアドレスは知人・友人・きのこ関係者の名前がランダムに使われている。「今日の雑記」を見ている方の中に自分のパソコンが感染していることに気づいていない人がまだまだいるのではないだろうか。 |
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