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2003年3月10日(月)
 
 「キノコのフォトアルバム」掲載種のうち、スナジクズタケマルミノノボリリュウに文を追加した。上野公園を歩いてみると既にソメイヨシノらしき桜の一部が開花を始めていた。この桜が散り出すころになると、桜樹下にアミガサタケが出てくる。ブラックモレルと称されるトガリアミガサタケ系ではなく、イエローモレルとかホワイトモレルといわれるタイプのアミガサタケである。踏み固められておらず適度の陽当たりさえあれば、かなりの頻度でサクラの樹下にはアミガサタケの発生をみることができる。
 数日前に日本菌学会の会報バックナンバーを収録したCD-ROMが届いた。「日本菌学会会報 第1巻(1956)〜第42巻(2001)」「Mycoscience Vol.35(1994)-Vol.42(2001)」「日本菌学会雑報(1968-1969)」「日本菌学会ニュース 第3号(1970)-第23号(1993)」をPDFファイルの形にして収録したものだ。全5枚に及ぶ分量がありWindowsでもMacintoshでもPC-UNIXでも読み出すことができるようになっている。CD-ROM版編集後記を読むと電子化にあたっての苦労が読みとれる。これまではバックナンバーを読みたくてもどうにもならないことがしばしばあったが、今後は手元で自由に読んだり印刷することもできる。十分活用したいと思う。

2003年3月9日()
 
 久しぶりにさいたま市を広範囲に回ってみたがほとんどきのこの姿はない。わずかにエノキタケ、アラゲキクラゲ、ヒメキクラゲ、タマキクラゲ、ハタケチャダイゴケなどに出会っただけである。例年なら常連であるヒトヨタケ属のきのこは、ウッドチップにも見られない。あれほど雨が降ったにもかかわらず、3月5日に顔を出しはじめたアミガサタケ(雑記2003/3/5)もほとんど成長していない。犬の散歩で踏みつぶされたのか、糞が散乱しその脇にアミガサタケの小さな頭部がいくつも転がっていた。そのすぐわきでは微細な幼菌がいくつも踏みつぶされていた。
 顕微鏡を使った仲間内の勉強会の素材を集めて帰るつもりだったが、すっかりあてがはずれてしまった。キクラゲ類はプレパラート作りが結構難しいので何も持ち帰らずに帰ってきた。

2003年3月8日()
 
 「キノコのフォトアルバム」掲載種のうち、マユハキタケマツバハリタケスナヤマチャワンタケに新たに文を追加した。かつては「キノコのフォトアルバム」掲載種の一つひとつにはそれぞれ説明文が記載されていた。多くは図鑑的な説明や解説、あるいはそれに類する内容だった。そのことがどうしても気に入らずに、昨年9月に思い切ってすべての文を削除してしまった。「キノコのフォトアルバム」はあくまでも「アルバム」であり、きのこ図鑑ではないからである。だから現在、大部分のきのこの写真には何の説明も記述もない。10月半ば頃からあらためて少しずつ、アルバムにメモを添えるように文章を加えてきた。現在アルバム取扱種は500を超えているので、毎日ひとつ記述しても1年以上かかる計算になる。しかし、毎日1つなどというハイペースでの記述などとてもできない。すべての種に文の記述を添えるまでには、今後何年もかかることになりそうだ。
 同様に今現在、アミスギタケオオキノボリイグチなど、わずかに25〜26種についてだけ「種の特徴」というという項目を立てて記述(例:アミスギタケ)したものがあるが、こちらの方の追加は遅々として進んでいない。観察ノートに相当するデジタルデータを昨年ゴソッと失ってしまったことはかなり大きく響いている。しかしそれよりも、まるで意に反して図鑑を作っているような気分になりそれがとても憂鬱でなかなか気が進まない。さらにこちらの記述には、再びサンプルにあたって計測しなくてはならない部分も多く、1年、2年どころかさらに時間がかかりそうだ。
 おそらく上記両者ともに永久に完了することはないだろう。そんな気がする。しょせんホームページなるものは出版などとは違って、いつだって作業過程であり、完成ということはありえないのだから、それもよかろうと思う。

2003年3月7日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
 都内の大学構内でもちらほらとアミガサタケが出始めた(a〜d)。ソメイヨシノの開花をはじめすべてが10〜2週間ほど早かった昨年とは違い、今年の成長ぶりは平年並みといったところだろうか。(a)の個体こそ背丈60mmほどあったが、大部分はまだ地表に姿を現したばかりであり、(b)の個体に至っては背丈2mmほどで頭部の網目もまだ未分化の状態であり、ゴマ粒くらいの大きさしかない。(c)、(d)の個体は8〜10mmほどに育ったもので、これらは落ち葉を静かに取り除いてから撮影した。昨年は3月9日の時点でほとんど成長していた(雑記2002/3/9)。昨年はこの時期にとても暖かく雨が少なかったので全体に小振りだったが、今年はどうなることだろうか。また、構内ではツバキキンカクチャワンタケがまだ最盛期で、コブシやモクレン樹下にはまだキンカクキンの姿は見あたらない。

2003年3月6日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 福島県相馬市の松川浦でも他の浜と同じく、海岸の防風林にはマツカサキノコモドキが多数みられた。傘色も白色から灰褐色、茶褐色、赤褐色と変化に富んでいた。足下にクリタケ属と思えるきのこが出ていた(a, b)。掘り出してみるとマツボックリからでているもの(c)やら、松の枯枝からでているもの(d)、あるいは松葉などをからめて周辺の落ち葉からでていた。
 いずれも柄の根本には白毛状の菌糸束(e)を伴っている。ヒダ(f)を見るとクリタケによく似ている。傘肉やヒダを囓ってみたがほとんど苦みはない。このため、採取時にはニガクリタケモドキかその近縁種かもしれないと考えていた。帰宅後に囓ってみるとひどく苦いものがあった。
 ヒダ実質は並列型であり、傘表皮には大きく膨らんだ細胞が平行気味に走っている(k)。胞子紋は暗紫褐色。胞子を水でマウント(g)すると青紫味が強かったが、5%KOHやらアンモニアでマウントすると橙褐色になった(h)。胞子サイズ、側シスチジア(i)、クリソシスチジア(j)、縁シスチジア、担子器(l)などをみるとニガクリタケとしてよいのではないかと思える。

2003年3月5日(水)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
 さいたま市でもアミガサタケ(a〜d)が顔を出し始めた。正確にはトガリアミガサタケということになるのだろうが、まだ背丈は3〜8mm程度のとても小さなもので、よほど注意深く目を凝らしてみないと見つからない。アップした4枚の写真の個体のうち、最大のものが高さ8mmであった。ここ何年間か2月末から3月初めの頃になると1〜3mm程度の幼菌が地表に、といっても落ち葉の下の話だが姿を出しはじめる。そして、3月5日〜10日頃には落ち葉をかき分けて出てくることが多かった(雑記2002/3/5)。今年もほぼ例年並みの発生をみたが、昨年より若干成長が遅れ気味だ。京都などでは早々とすっかり成長した姿をみせているということだが、関東地方ではこれから10日ほど後には大きな成菌となって誰の目にもとまるようになるだろう。なお、川口市の桜樹下ではまだ発生を確認できなかった。

2003年3月4日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 いわき市の新舞子浜でおもしろいきのこに出会った(a)。砂浜の立枯れヨモギの根本に出ていた。掘り出してみる(b)とヨモギの根から出ている。別の群れ(c)を掘り出してみても、みな同様にヨモギの根から枝を伸ばしてキノコをつけているかのような姿で出ている。ヒダ(d)はやや疎で上生ないし湾生をなしている。2日ほど乾燥・放置したところ傘は白っぽくなり柄も赤みが薄くなった(e)。胞子紋(f)は明るい黄褐色をしている。
 ひだ実質はやや錯綜気味の平行型(g)である。側シスチジアは無く縁シスチジア(h)のみ認められる。組織にはクランプがあり(i)、胞子は表面が茶褐色を帯びている(j)。写真からはわかりにくいが担子器(k)の根本にはクランプがある。胞子をメルツァーで染めると最初表面のみが黄褐色に染まり(l)、さらに時間がたつと内容物のみが黄褐色にそまる。
 以前やはり浜辺でイネ科植物の根からキノコが出ているのを見ているが(雑記2002/5/15同2002/6/16同2002/6/23同2002/7/18)、それらは胞子紋が白色でありニセホウライタケ属(Crinipellis)のキノコと考えられる。今回見たものは胞子紋が黄褐色で側シスチジアを持たず、イネ科植物ではなくヨモギからでているので、これらとは全く別種である。今回多くの浜を歩き回ったが、このきのこはいわき市の新舞子浜だけでしか出会えなかった。それにしても浜には奇妙なきのこがいろいろ出ているものだ。

2003年3月3日(月)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
 2月28〜3月2の3日間、茨城県波崎町から福島県相馬市まで約200kmにわたって海岸を歩いてきた。走行距離は850kmに及んだが、残念ながら目的のきのこには出会えなかった。しかし、福島県に住む菌友らと親交を深めることのできた貴重な数日間であった。
 2月28日はもっぱら茨城県の浜を歩いたのだが、海岸の防風林にはマツカサキノコモドキばかりがめだった。そこにヤブツバキがあれば、樹下には決まってツバキキンカクチャワンタケ(a)が見られた。また、山でも海辺でもほぼ通年見られるのがニガクリタケ(b〜d)である。これは鹿島市で防風林の縁に発生していたものだ。久しぶりにとった胞子紋は暗紫色をしていた。きちんと持ち帰らなかったこともあり、ヒダ切片の切り出しはうまくいかなかった(e)。
 拡大してみると、縁シスチジア(f)、側シスチジア(g)、クリソシスチジア(h)などは明瞭にわかるが、担子器(i)の基部の様子はうまくとらえられなかった。なお、(e)〜(j)のプレパラートはすべてKOHを使ったが、水でマウントした状態の胞子は暗紫褐色をしていた。胞子(j)には明瞭な発芽孔がみられる。鹿島市・鉾田町などではカシタケの様子も確認したが、まだ子実体はできておらず、落ち葉の中に白い菌糸が縦横に走っていた。

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