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日( )

2003年12月10日(水)
 
 昨日は久しぶりに顕微鏡に触れない一日だった。まだまだ納期があると安心して放置していた仕事の得意先から督促をもらってしまった。今日から少し身を入れてとりかからねばならない。最近は、日の出の時刻が遅いために仕事前の早朝観察はほとんどできない。日没も早いためにここしばらく明るい時間帯に近場のきのこを見ていない。今日は時間がとれたら久しぶりにさいたま市の公園に行ってみようと思う。

2003年12月9日(火)
 
新URLに移行完了
 
 これまで利用していたホームページサービスが廃止されることになった。プロバイダのWakwakによれば「新サービス機能の追加」にともなうやむを得ない措置だという。WEBサーバーの仕様が大幅に変わり、従来のCGIはそのままでは稼働しない。このため、CGIプログラムの修正作業などに時間をとられ、このところきのこ観察をする時間がかなり削られていた。
 ようやく昨夜すべての移行が完了した。当初は年末までは新旧両URLを利用できるようにしようと考えていたが、更新作業がひどく面倒くさい。このため旧URLは直ちに放棄することにした。膨大な数の写真は [任意振り分けプログラム] で複数のプロバイダに自動配置される。消滅してしまうプロバイダに写真が配置されてしまうと、予期せぬところでリンク切れとなってしまう。この部分を担当するプログラムの修正も完了した。
 当面はYahoo!、Google、goo、Infoseek、LYCOS、Excite、AltaVistaなどの検索エンジンから「きのこ雑記」を検索すると凍結され消滅直前のページが表示されることになろう。

2003年12月8日(月)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 ケシボウズタケ属の頭部の開口部は管状に隆起した筒状だったり、繊維質の房状だったり、扁平な円錐形だったりと、いろいろある。そして、この形状は内被膜や外被膜の特徴と並んで種を分ける際の形質のひとつとして重視されている。確かに普通は開孔部は頂点にひとつだけである。過去には、開孔部が複数あるからとか、孔口が「への字型」に閉じたような形をしているといった理由で、わざわざ別種が立てられたという経緯もある。
 しかしそれは採取された個体が非常に少なく、「希菌」として扱われてきたことから起こる滑稽な誤謬だったのではないか。多数の個体を観察していると、同じ種と思われる個体群の中にも、開孔部の数や形にはかなりの変異が見られることがわかる。今朝は複数の孔口を持つケシボウズタケ(Tulostoma brumale)をいくつか並べてみた(a〜f)。
 12月6日の雑記で別種かもしれないとして取り上げた(b)タイプ(c)タイプは詳細に検討したところ大部分がケシボウズタケ(T. brumale)であった。これらの判定作業のために日曜日は終日顕微鏡を覗く羽目になった。胞子・弾糸・内被膜を顕微鏡でチェックしたのだが、覗いた個体は総数100以上となった。使用したスライドグラスも200枚を超え、夜になってから必死に洗浄作業をすることになってしまった。

2003年12月7日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
 遠州灘の砂浜でヒメツチグリ属(Geastrum)の小さなきのこに出会った(a〜c)。不安定に砂が動く日向の一画に多数が群れていた。周囲にはイネ科植物が疎らにしか生えておらず、中には地表には殆ど植物のない場所にも出ていた。胞子は球形で微細なイボがあり、径4〜5.5μm。弾糸は淡褐色で厚膜、径は3.5〜6μmほどある。砂の中には菌糸マットのようなものはほとんど無かった。まだ外皮が全く開いていない地中の幼菌も掘り出したが、すでに担子器は消失していた。
 黒松林の道ばたでGeastrumをみることはこれまでもしばしばあったが、完全な砂浜でこの仲間に出会ったのは始めての経験だった。付近にはスナヤマチャワンタケ、ケシボウズタケ、スナジクズタケくらいしか見られなかった。

2003年12月6日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(a')
(a')
(b')
(b')
(c')
(c')
(d')
(d')
(e')
(e')
(g)
(g)
 遠州灘西部から渥美半島伊良湖岬までの間で採取したケシボウズは計434本以上あった。多くは半年から数週間ほど前に発生したもののようだ。種類としては最低でも4種類はある。とりあえず孔口、外被膜、内被膜、柄の特徴をルーペで観察しながら仕分けをした。
 採取地点毎に大きく仕分けしたところ、全体で4タイプに整理された。下段の(a')〜(d')は上段の(a)〜(d)と同一のタイプである。(e)と(e')は何の幼菌かはまだ分からないが、外被膜に包まれた若い菌である。外見からは(a, a')はケシボウズタケ(Tulostoma brumale)、(b, b')はT.adhaerens、(c, c')はT. xerophilum、(d, d')はナガエノホコリタケ(T. fimbriatum var. campestre)のように見える。しかし、まだ顕微鏡による観察を経ていないのでこの推測はあてにならない。
 遠州灘でも静岡県の中央部あたりでは、細かい砂と一面に広がる砂浜や砂丘が多い。今回最も多数のケシボウズを見た浜は背丈の低い海浜性植物がパラパラと生えた一帯だった(f)。この浜では計250個くらいのサンプルを採取したが、出会った個体はその4〜5倍はあった。
 また、伊良湖岬ではやや老朽化してはいたがコナガエノアカカゴタケ(g)にであった。ここは、かつて2000年に本多澄夫氏によって国内第2例目のサンプルが採取された地点である。掘ってみると地下には真っ白なタマゴ(幼菌)もあった。この写真の個体は数日前に発生してそのまま乾燥したものと思われた。このサンプルは三重県藤原町のMさんの手に渡った。
 今回渥美半島の伊良湖岬から浜名湖近くの浜までを三重県松阪市のTさんと一緒に探索する機会を得た。4つの目よりも6つの目の威力はやはり大きく、楽しい行脚であった。

2003年12月5日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 静岡県遠州灘西部から愛知県伊良湖岬までの浜を歩いてきた。12月にしては異常に暖かな陽気が続いていた。今日のメモは12月3日に歩いた静岡県西部の浜で出会ったきのこについての覚えである。
 駐車場から浜に出る途中で黒松林を抜ける場所がいくつもあり、道の脇にはアカハツ(a, b)、ハツタケ、ショウロなどがでているところが多かった。砂浜でもっとも目立ったのがスナヤマチャワンタケ(c)で、これはどこの浜でも一様に幼菌から老菌までみることができた。まだ発生の最盛期は続いているようだ。
 今回の浜歩きの主たる目的はケシボウズタケ属のきのこだったが、少なくとも3種類に出会うことができた。もっとも多かったのがケシボウズタケ(Tulostoma brumale)であったが、発生から数ヶ月経過した状態のものが大部分だった(e)。中には比較的若い菌もみられたが、半年ほど前に発生したと思われミイラ化して残っているものもみられた。写真(d〜f)のケシボウズにはT. brumale以外のものも混じっているようだ。
 この日は、計1000本以上のケシボウズにであった。ある浜では2キロメートルほどの間に、20〜60本ほどの群れが40〜50ヵ所ほどあった。採取したものだけでも250〜300本(f)はくだらない。とりあえず群落ごとに別の容器に採取したのだが、その段階で既に複数の種が混じっていた。今日はこられをていねいに見て種ごとに分けるといううんざりする作業が待っている。

2003年12月3日(水)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
 オリンパスの学習用顕微鏡を入手した(a)。先に簡易顕微鏡を手放してしまったが、持ち歩き用を失いずっと不便を感じていた。高さ30数cm、鏡筒が上下するタイプで、中学・高校などの理科実習用に製作・販売されたものだ。先に手放した簡易顕微鏡よりもさらに小さく軽い。
 アダプタを介して接眼レンズをデジカメに取り付け(b)、鏡筒に差し込み(c)、昨日のフミヅキタケ属の胞子を油浸100倍で撮影してみた(d)。想定されていない油浸レンズ使用、安価なコンデンサ、蛍光灯の反射照明ということもあり日常使用している顕微鏡には遠く及ばない。しかし、車搭載専用と割り切って使う分には十分な性能である。構造が非常に単純なので震動にも強い。
 今日から2〜3日静岡県遠州灘西部〜愛知県渥美半島方面に出かけるので、その間は雑記はお休みである。今回はこの簡易顕微鏡を車に積んで行くことになる。サービスエリアや宿で気楽に楽しめそうだ。カバーグラス、スライドグラス、柄付き針、ピンセット、カミソリ、濾紙、ピス、簡易試薬などのプレパラートセットも小箱に詰めて一緒にデイパックに詰めた。

2003年12月2日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 早朝さいたま市の見沼地区にある公園に行ってみた。2日間続いた雨のために色々なキノコが出ていたが、今朝は1種類だけ撮影し採取してきた(a〜b)。公園のウッドチップには非常に頻繁に見られ、発生も6月から12月までの長きにわたる。しかし未だに戸籍が明らかにできないきのこの一つだ。今朝は少していねいに観察しようとこれだけを持ち帰った。
 傘にぬめりは無く、これといった特徴的な臭いはない。ただ、傘の形には顕著な特徴がある。中高の平ら形というのだろうか、中央部が突出して麦わら帽子を思わせる。中央部は周囲より色も濃く傘全体にはあばたがある。ヒダは直生で傘の縁は内側に巻き込んでいる(b)。柄の表面には細かな粒点があり(c)、内部は白くほぼ中実である(d)。胞子紋は褐色で、胞子には明瞭な発芽孔がみえる(e)。焦点位置を少しずらすと発芽孔の部分がはっきりわかる(f)。
 ヒダ切片を切り出すと(g)、実質部は平行気味な錯綜型(h)。頭に帽子をかぶったような分泌物を帯びた側シスチジアがある(i)。ヒダの実質部にも傘肉にもクランプがみられる(j)。担子器の基部にはクランプは見られない(k)。傘表皮の組織は先端に電球のバルブを持ったような細胞が並んでいる(l)。いわゆる洋梨形の子実層状被といわれるものだろう。
 これらのデータを元に保育社「原色日本新菌類図鑑」の検索表(p.20-23)を次々と辿って行くと、オキナタケ科に落ちる。次にオキナタケ科の検索表(p.181)をたどるとフミヅキタケ属に落ちる。さらにフミヅキタケ属の日本産既知種(p.186-187)を見ると、フミヅキタケ亜属のタマムクエタケ節に落ちる。ツバナシフミズヅキタケも同じ節のきのこである。これはツバナシフミズキタケなのだろうか、あるいはその変種(var.)もしくは品種(form.)なのだろうか。この先をていねいにたどろうと思えばAgrocybeの専門書にあたる他はあるまい。今朝はここまでで時間切れとなった。

2003年12月1日(月)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 図鑑類によれば、(キ)サケツバタケにはクリソシスチジア(黄金シスチジア)があれるとされる。アンモニアやKOHなどのアルカリに反応して内容物が黄金色に変色するシスチジアだ。しかし、これまで一度もそういったシスチジアを持つサケツバタケにはであったことがない。埼玉でもキノコの会による採集会で過去に何度もサケツバタケが持ち込まれた。これらをいつもみてきたが、いずれにもクリソシスチジアはみられなかった。過去に自分で採取したサケツバタケについても同様である(雑記2003.5.18雑記2002.10.2)。
 さる11月28日にさいたま市見沼の公園で採取したものにもやはりクリソシスチジアはみあたらなかった。胞子やら全体的な姿、ツバ(a)等をみても、明らかに(キ)サケツバタケに見える。ヒダ切片を切り出し(b)、3%KOHでマウントしてみたがシスチジアの色に変化はなかった(c, d)。頂部に小突起のあるシスチジアはヒダの側にも縁にもある。アンモニアでマウントしてもシスチジアに変色はみられない(e)。変色するのは胞子の色ばかりである(f)。
 ここ2年ばかりはサケツバタケに出会うと、今度こそと思いながらアルカリでマウントしてみるのだが、相変わらずクリソシスチジアはみられない。

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