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日( )

2004年6月30日(水)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
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(d)
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(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
 チチタケ属と比較するとベニタケ属は切片を作るのがとても楽だ。乳液でカミソリがナマクラになることはない。今朝は先日いわき市で採取したアカカバイロタケ(a〜d)を検鏡した。傘肉やヒダは傷つくとやがて赤褐色になり(c)、親ヒダはあちこちで分岐している(d)。
 真っ白な胞子紋から採取した胞子はわずかなメルツァー液でも鮮やかにアミロイド反応を呈する(e, f)。単に水でマウントした胞子は透明でとても見づらいので、フロキシンで染めてみた(g, h)。ずいぶんと違った印象を与えてくれるものだ。
 ヒダ切片はちょっと見たところシスチジアの類は全く無いようにみえる(i)。倍率を上げて子実層の部分をみても担子器が整然と並んでいるのが見えるだけである(j)。しかしいったんメルツァーで染めてみると様子が一変する。子実層からヒダ実質に深く潜り込んだかたちで多数のシスチジアが濃く染まって見えてくる(k)。
 ベニタケ属を正確に同定するには各種の試薬による呈色試験が不可欠だが面倒だ。だから、ベニタケ属に出会っても、ついつい見なかったことにして通り過ぎることになる。

2004年6月29日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
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(e)
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(f)
(f)
(g)
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(h)
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(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 ひたち海浜公園には砂地こそ限られた種のきのこしかなかったが、松林には多くのきのこがみられた。今朝はそれらのうちから、持ち帰ったチチタケ属(a〜c)を顕微鏡で楽しんだ。
 ちょっとみたところはヒロハチチタケによく似ている。乳液は白色で変色はしない(b)が、しばらく経つと、ヒダの縁の乳液が多数出た周辺が赤褐色になる(c)。メルツァー液中での胞子の姿(d, e)、フロキシンで染めた胞子の姿(f)からは同定に役立つようなものはみられない。
 乳液が非常に多くヒダ切り出しは結構面倒だった。ベトベトにまとわりつく乳液でカミソリがたちまち切れなくなる。何とか切り出したが、当然シスチジアの類はない(g)。子実層の直下にはあちこちに乳管組織がみられる(h)。子実層はきれいに整然と並んでいる(i)。
 この後は何種類かの試薬・染色剤などで担子器周辺を染めて遊んだ(j〜l)。(j)はメルツァー+コンゴーレッド、(k)はメルツァーのみ、(l)はフロキシンである。ひだ実質や傘肉などの試薬反応検査はしていない。結局このあたりで時間切れとなり種の同定は放棄した。

2004年6月28日(月)
 
(a)
(a)
(b)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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(g)
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(h)
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(i)
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(j)
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(k)
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(l)
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 昨日は早朝から開園時刻頃まで、仲間5名で国営ひたち海浜公園の海浜砂丘地帯における定例菌類調査を行なった。昨年発生したヒメツチグリ属やケシボウズタケ属のミイラが多数残っている(a)。ハラタケ目のきのこではカヤネダケしかみられなかった。
 特筆すべきはつい最近発生したケシボウズの幼菌を採取することができたことである(d)。地表には全く姿を現していなかったのだが、いわき市のS氏の工夫した道具で砂を根気よく少しずつどけていくと数ヶ所で幼菌が姿をあらわした(b, c)。それらを掘り出して切断してみた(e〜h)。色々なステージの個体を一通り採取することができた。
 対物40倍レンズで担子器をみると三次元構造をなしており、すぐに胞子は担子器から外れてしまう(k)。担子器と胞子の結合は非常に弱く、プレパラートを軽く押しつぶしただけでほとんどの胞子が担子器から外れてしまう。慎重に極めて薄い剥片を作らないと担子器の確認は難しい。
 担子器は先端がやや太めの棍棒状をなし、不規則に4つの胞子がついている(i, j)。胞子は非常に剥離しやすく、見ている間にもすぐに担子器から外れていく。ちなみに、これらの写真は上記の(e)を用い、フロキシンで染めた。すでに、この段階で拳状節を持つ弾糸もできている(l)。

2004年6月27日()
 
久しぶりの見沼
 
 昨日午後久しぶりにさいたま市の見沼地区をあるいてみた。浦和競馬場の馬糞堆からはきのこは何も発生していなかった。雑木林を見てもカラカラに干からびた硬質菌ばかりで軟質菌は全く見られなかった。公園のウッドチップからは何種類ものきのこが発生していたが常連ばかりである。ツバナシフミズキタケハタケキノコネナガノヒトヨタケワタヒトヨタケツブカラカサタケキコガサタケキオキナタケなどが見られただけだった。腹菌類は全くみられなかった。
 今日は、午前中茨城県のひたち海浜公園で菌類調査、午後は福島県いわき市でキノコ観察である。早朝の出発だが、帰宅が夜中になることは間違いない。多分月曜日の勤務は睡魔との戦いという辛い一日になりそうだ。夢のなかで課題のプログラミングのアルゴリズムは大方できている。あとはこれをコーディングすればよいだけだ。

2004年6月26日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
 去る6月22日に千葉県富津市で採取したケシボウズの仲間にやや気になるタイプがあった。いずれもこれまで発生を確認したことのない場所で採取したものだ。一つは一見ケシボウズタケ(Tulostoma brumale)そのものにみえる(a)。今ひとつはそこから数百メートル離れた別の場所で採取したもので、これもT. brumaleなどに近い外観を呈している(e)。
 現地で車載の簡易顕微鏡でみたところ両者とも胞子はほぼ平滑ないし微細な疣があるようにみえた(b, f)。自宅で油浸100倍レンズで輪郭部をみたところ、いずれも非常に微細な疣に覆われている(c, g)。胞子表面に焦点を合わせてみるとはっきりと疣がみえる(d, h)。
 これらはいずれも最近発生したものではなく、昨年のミイラであろうが、そこで見られた十数個体のいずれも頭部は柄にしっかりと着いた状態で立っていた。

2004年6月25日(金)
 
「都会のキノコ」
 
 友人で埼玉きのこ研究会幹事の大舘一夫さんが、つい最近(6月25日)八坂書房から「都会のキノコ−身近な公園キノコウォッチングのすすめ」を出版された。ここでいう都会とは東京をとりまく首都圏であるが、こんなにも多くのきのこに出会えることは意外と知られていない。「ギュウギュウきのこ」の小山恵介氏が初めて東京で発見したアミヒカリタケも取り上げられている。なお、八坂書房といえば昨年9月に森林総研の根田仁氏が著した「きのこ博物館」の出版元である。

 長時間回線障害が続いていたYahoo!BBが昨日午後やっと復旧した。連続的な回線障害は120時間に及んだ。他プロバイダを経由してメールで問い合わせたが、これに対しては回答もなく、電話も、回線障害が発生してから数時間後に一度通じたのみであった。問い合わせは24時間いつでも可とされているが、現実はほとんど話し中でいつまで待っても繋がらなかった。

2004年6月24日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
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(f)
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(g)
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(h)
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(i)
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(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 一昨日内房の海岸砂浜で出会った傘と柄をもったキノコ(a, b)を検鏡した。傘径16〜22mm、傘表面には粘性はない。短時間でかなり多量の胞子紋がとれた。ふだんから胞子の検鏡用には、別途カバーグラスに直接採取(c)しているのだが、落下胞子の量が多すぎた。
 ちょうどよいのでそのままスライドグラスに載せ、いわゆるドライマウント状態にして油浸100倍対物レンズでみた(d)。中央部には発芽している胞子がみえる。顕微鏡にかけたままの状態で、脇からスポイトを使いカバーグラスとスライドグラスの隙間に水を注いだ。これで本来の胞子の姿を捉えることができた(e)。発芽している胞子は先ほどとは見え方が違う(f)。
 水を洗い流して5%KOHで改めてマウントすると、水で見たときよりも鮮明になった。心もち色も濃くなっている(g)。ヒダを切り出すと実質部は並行型であり、側にも縁にもシスチジアらしき姿は全くみられない(h, i)。子実層の部分をかなり見たが、撮影できるような状態の担子器がなかなかみつからなかった(j)。菌糸にクランプはない。さらによく見ると、側シスチジアとも思えるような棍棒状の組織が所々にみられる(k)。かろうじて撮影した担子器はうまく写っていなかった(l)。
 どうやら同定の基礎になるデータは得られたが、検索表にあたっている時間はない。ドライマウントやKOHで遊んでいたせいで、出勤時間となってしまった。

2004年6月23日(水)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 昨日早朝から昼にかけて、千葉県房総半島の浜を数ヶ所まわってきた。砂浜のきのこの定点観察であるが、台風の余波で海辺は強い風が吹いており、歩くのにも難儀するほどだった。カヤネダケは多数みられたが、その多くは乾燥のせいか干からびていた。例年なら今頃にはよく見られるスナジクズタケは全くでていない。
 先月は全く何も見られなかったトベラ樹下にケシボウズの仲間がでていた(a〜c)。頭部のサイズはナガエノホコリタケほどあり、ケシボウズとしては大きい。外皮は厚くフリンジ状に頭部下側に残っている(b, c)。孔口部は房状のものやら崩れてしまったものが多かった。柄の断面はまだ真っ白である。現地で車搭載簡易顕微鏡でみると、何と胞子表面はスジ状あるいはウネ状である(d)。他にもハラタケ科のキノコ数種と、ナガエノホコリタケが幾つかみられた。
 帰宅してすぐに胞子表面の模様が気になったケシボウズを油浸100倍にして覗いてみた。間違いなく表面はウネ状である(e)。弾糸には特にこれといった特徴はない(f)。間違いなくこれはウネミケシボウズタケであるが、これまで見てきたものからすると、全体にとても大振りである。
 昨日みた数種類のケシボウズはいつ頃発生したものか全く分からないが、少なくとも昨年度のミイラでないことは確かである。ミイラなら柄の断面が真っ白であったり、柄が弾力性を持っていることはないのだから。ただ、最近発生したにしては疑問が残る。

 自宅サーバーに通じる回線が全く不通状態となってしまったので、とりあえず応急処置として、一時的に別の手段を使って画像を表示させることにした。短時間で施した応急処置のためリンク切れが生じているかもしれない。Yahoo!BBは解約の方向で検討を始めた。

2004年6月22日(火)
 
回線回復見込み無し
 
 今月17(木)からずっと不通状態となっているYahoo!BBのADSL回線はいまだに全く復旧の見込みがたっていない。電話で連絡しようにも全く通じないし、メールでのクレームに対しては返答がない。何とか使えているのはBBフォン(電話)だけである。肝心のインターネット回線が使えないので、自宅サーバーにアクセスすることができない。写真の大部分は自宅ファイルサーバーにアクセスするようになっているので、文字テキスト部分は表示されても写真がリンク切れによる非表示となってしまう。情報漏洩やらこういった事態が続くと、つくづくウンザリする。
 さてどうしたものか? Yahoo!BBの障害回復が速やかに行われないとなると、VDSL回線を使った別会社への変更も検討しなくてはならない。ただ、それに変更すると自宅サーバーの運営は不可能となる。別途高価なコンテンツプロバイダとの契約も視野に入れなくてはならない。DDNS有料化にともなう打ち切りの件もあるので、今週中にすべてを決定しなくてはならない。
 どうやら「きのこ雑記」存続に関わる最大のピンチをむかえているようである。

2004年6月21日(月)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 19(土)、20(日)の2日間、京都で過ごしてきた。20日には関西菌類談話会の方に天橋立を案内していただいた。幸い台風の影響は少なかったので安心して砂浜を歩くことができた。
 ケシボウズタケ属の頭部のミイラが多数みられた。頭部と柄が分離せずに残っているものはほとんどなかったが、かなり広範囲に大型の頭部が散乱していた(a)。大部分の個体は、ちょっと見た目にはナガエノホコリタケのように見えた。多数の頭部ミイラに出会った中から、40個体ほどを持ち帰った。昨夜から今朝にかけて、それらのすべての胞子と弾糸を覗いてみた。
 ふだんケシボウズタケ属を採取してくると、まず対物40倍レンズで大まかに幾つかのグループに分ける(b, c)。そして次に対物100倍レンズでさらに分けたりまとめていくことにしている。たいてい同一のシロに複数種が混じって発生しているからである。ところが、今回は40倍で見たときにひとつのグループにしか分けられなかった。
 対物100倍にして胞子表面に焦点をあわせたり、輪郭部にあわせたり、フロキシンで染色したりして、胞子、弾糸などをみた(d〜f)。その結果は、今回持ち帰った頭部ミイラのすべてが同一種だったようだ。これらはナガエノホコリタケのように思われる。

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