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2004年10月31日()
 
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 昨日早朝から午前中にかけて千葉県外房の浜を歩いてきた。砂浜近くの松林の端にはヤグラタケ(a)、ハラタケ科のきのこ(b, c)がやたらに目立った。砂浜ではきのこの発生は悪く、ナガエノホコリタケ(d, e)、ウネミケシボウズタケ(f)などがわずかに発生していた。
 雨が強くなってきたので早々に引き上げた。駐車場に続く松林では何人かがシモコシを探していた。話を聞くと「日の出前から数時間探し回ったのに、収穫は数本に過ぎない。昔はこうじゃなかった。」と言って嘆いていた。

 今朝は、持ち帰ったハラタケ科(b, c)の同定作業に時間をとられて、採取してきたハチスタケまで手が回らなかった。発生していたウサギの糞から一つをはずして検鏡できる状態となっているので、これから検鏡することになる。これまで何度か持ち帰ったウサギの糞からは発生を確認しているが、天然自然の状態で完熟個体を採取したのは初めてだった。あちこちで多数のハチスタケが見られるのは、秋の長雨のためだろう。
 ハチスタケについては、原 摂祐 1959「ウサギの糞に生える菌2種」(日菌報 2(1),12)に簡略な図と説明がある。古谷・宇田川 1976「日本産糞生核菌類の研究IV」(日菌報 17,248-261)には、英文で詳細な記載と正確な図があり、259ページにはモノクロ写真もある。この論文を受け、保育社「原色日本新菌類図鑑」ではハチスタケを非常に珍しいきのことして紹介している(II巻、p281)。実は少しも珍しい菌ではなく、野ウサギの棲むところならば、広く全国的に見ることができる。

2004年10月30日()
 
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(j)
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 去る10月24日にひたち海浜公園で採取したクギタケ(a, b)を今朝あらためて検鏡した。子実体は乾燥してすっかり小さくなっておりヒダもクシャクシャになっている。胞子は採取した当日にうちにカバーグラス2枚とスライドグラスに採取しておいた。
 水でマウントした胞子は薄褐色をしたものが多いが(c)、メルツァー液を加えると多くは濃褐色に染まる。非アミロイドというよりも偽アミロイドといった方が適切だ(d)。面白いことにコットンブルーでみごとに青く染まる(e)。
 ヒダ切片を低倍率でちょっとみただけでも側シスチジアが多数みられる(f)。少しだけ倍率を上げてみるとこのシスチジアは薄膜で透明である(h, i)。メルツァーでは内容物が淡褐色に染まってみえる(g)。担子器には二つの柄だけをもったものが目立った(h)。

2004年10月29日(金)
 
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 東京のNさんから「ヘタタケのようだが何だろうか?」との疑問付きで、子嚢菌のようなボタン形のきのこ(?)を預かった。黒褐色で径20mmほどあり、外側は毛に被われている(a)。太い倒された木の幹に着いていたという。中心部分を拡大してみると、子実層托外皮が長い毛に被われ、内側に子実層面があるように見える(b〜d)。切断面を撮影しておいた(e, f)。
 中心付近を縦切りにしてプレパラートを作ってみた(g)。しかし、子実層面のように見える部分には子嚢などはみられない。まだ未熟のために胞子ができていないのだろうか? それにしては、子実層面に柵状の組織が全くみられない(h)。倍率を上げて周辺を探るがやはり嚢状の組織ばかりしかない(i, j)。メルツァー液を加えてもさしたる変化はない(k)。子実層面のように見える部分は、竹の節のような隔壁を持った太い細胞が複雑に絡み合っている。その下部は絡み合った細い組織からなる。どうやらヘタタケではなさそうだ。はたして、これはきのこなのだろうか。

2004年10月28日(木)
 
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 昨日早朝浦和競馬場近くの馬糞堆の脇を通りかかると、傘が白っぽくヒダが黒っぽいジンガサタケ属のきのこが多数でていた(a, b)。外見はそっくりだがヒダが真っ白な群がいくつも見られた(c, d)。柄には水滴をおびていて、一見別種のように見えた。
 ジンガサタケ属のきのこはシロシビンを含むことから法律で採取・保存などが禁止されている。そこで、現地で両者の柄を切断し、白い紙の上に置いたスライドグラス上に傘を伏せて放置してきた。今朝再び現地を訪れてみると、白かったヒダはすっかり黒くなり、いずれのスライドグラスにも真っ黒い胞子紋がたっぷりできていた。どうやら両者は同一種のようだ。
 胞子紋の着いたスライドグラスだけを持ち帰り、これを400倍で観察してみた(e)。同一倍率のジンガサタケの胞子(f)とは少し違う。油浸レンズで1000倍にして観察してみると発芽孔なども明瞭にわかる。ヒダのシスチジアなどの観察ができないので、断定はできないが、ほぼツヤマグソタケに間違いないだろう。

2004年10月27日(水)
 
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(e)
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 数日前、とても大きなカラカサタケに出会った。傘の直径がほぼ35〜40cmほどあり、背丈も80cmに及ぶものだった。あまりにも大きいので、デジカメのCoolpixでは全体像が捉えられない。撮影はあきらめて、傘の一部だけを持ち帰った。今朝はその胞子とヒダの一部をのぞいて楽しんだ。胞子を水(a)、メルツァー(b)、フロキシン(c)で染めて観察した。
 傘の一部を紙袋にいれたまま食卓に放置しておいたせいで、ヒダがクシャクシャになっていた。ヒダを整然とした状態で薄切りにすることは難しい。そこで、やや薄切りにしたものを軽く押しつぶすことにした(d)。観察目的によっては、何も超薄切り片をつくる必要はない。KOHでマウントし軽く押しつぶした方が、目的にかなったプレパラートを得ることができる場合も多い。
 担子器の基部の確認とか、組織がクランプを持つか否か、といった目的で観察するときは、切り出したものをカバーグラスの上から軽く押しつぶすと楽に観察できる。そして、水よりもKOHの方が適している。大部分の担子器にはbasal clampがみあたらなかった。しかし、担子器の基部がひだ実質に深く入り込み、そこにクランプがみられるものもあった。

2004年10月26日(火)
 
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 川崎市の緑地で白いアセタケ属のきのこが多数採取された(a〜d)。アセタケの仲間は外見だけで同定できるものはほとんど無い。胞子の形、ヒダのシスチジアの形状、柄のシスチジア、傘の表皮構造といろいろな部分のプレパラートを作って観察しないと、種の同定にまでいたらないケースが多い。つまり、顕微鏡観察抜きでは同定できない代表的な仲間だ。

 採取した現地の顕微鏡でとりあえずヒダ切片を観察した(e, f)。あまり整備状態のよくないレンズのため鮮明な映像は得られなかったが、クランプを持つこと、縁シスチジア、側シスチジアともに厚膜で先端に結晶を持ち、胞子はこぶを持った楕円形であることがわかった。
 現地で保育社「原色日本新菌類図鑑」にあたるが、アセタケ属に検索表はなく、日本産既知種が大まかに4つの節に分けて列挙されている。それを読むと、ニセトマヤタケ亜属のクロニセトマヤタケ節に落ちる。あとは、そこに種名だけ列挙されたものから見当を付けるほかはない。それによれば、シロニセトマヤタケが怪しい。さらにシロニセトマヤタケについての説明を読むと、ほぼこれでよさそうだが、いまひとつ根拠が薄弱である。

 今朝あらためて自宅の環境で再びヒダ、柄の表面を頂部〜中部〜基部と検鏡した。縁シスチジア(g, h)、側シスチジア(i)、担子器(j)などを確認したのち、柄シスチジア(k)、傘表皮構造などをみた。胞子のサイズも確認した(l)。これらのデータを元に検索表にあたってみた。
 傘色は白色で、柄の基部は凹頭状。胞子はこぶ状、縁シスチジアは透明、側シスチジアは厚膜、柄シスチジアは基部から頂部まであり、傘表皮は平行菌糸被。大きなところで、Inocybe亜属Marginatae節に落ちる。さらにMarginatae節の詳細な検索表をたどってみた。
 Stangl 1989 "Die Gattung Inocybe in Bayern" でも、T.Kobayashi 2002 "The taxonomic studies of the genus Inocybe" でも、ともに Inocybe umbratica に落ちる。記述だけを頼りに検索表をたどった結果である。これに該当する和名はシロニセトマヤタケである。

2004年10月25日(月)
 
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(f)
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 ひたち海浜公園の砂浜に菌類調査に行ってきた。Lycoperdonは福島県のSさん、Geastrumは埼玉県のSさんに任せてしまえばよいので安心である。専ら他の腹菌類を主体に子嚢菌やハラタケ目について観察・記録すればよいのでかなり気が楽になっている。
 ここではケシボウズタケ属2種類だけをとりあげた、ナガエノホコリタケが雨と風のいたずらでとても面白い姿をさらしていた(a)。普通に頭部だけを出しているものやら、柄の一部を地表に現しているものなどもあった。掘り出して並べてみた(b)。頭部の孔口は房状をなしている(c)。
 ウネミケシボウズタケも小さなものからかなり大きなものまで観察することができた(d〜f)。これもとても柄の細いものからかなり太くてずんぐりしているものまでみられた。いずれも外皮がフリンジ状に残るのが大きな特徴である(e)。孔口は典型的な房状をなしている(f)。
 例年の今頃ならありふれているはずなのだが、久しぶりにスナヤマチャワンタケの姿をみることができた。やたらに目立ったのが茶色から黄色の傘をもったイグチであった。砂浜から少し離れた松林にはカニノツメ、ドクベニタケ、多数のアセタケ、オウギタケなどがみられた。

2004年10月24日()
 
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 昨日は菌懇会の例会が川崎市の緑地であった。かなり多くの種類が採取されたが、印象的だったのはカキノミタケだった(a〜c)。何本かある柿の樹下に多数発生していた。色合いの違ったものが何通りかみられた。分生子柄形成細胞はまるで蟹の足やら、人の掌を思わせる(d〜f)。今回採取したものの中には、有性世代の子嚢胞子を作っているものは見つからなかった。分生子柄の束ばかりが目立った。久しぶりのカキノミタケだった。

 約3週間にわたって長いことアクセス障害の続いていたプロバイダが、どうやらやっと安定し始めたようだ。従来通り普通に写真なども表示されることが多くなってきた。やれやれ。

2004年10月23日()
 
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 今朝は日光で採取したオドタケ(a〜d)を観察した。ミズナラの倒木から発生していた。これまで何度かオドタケをみているが、ここまで成長してなおかつ新鮮な株は初めてだった。脆くて崩れやすいきのこだ。切断してみると柄は中空である(e)。
 何枚かヒダを切り出してみたが、縁シスチジアも側シスチジアも見あたらない(f)。縁をさらに拡大して縁シスチジアの存在を確認したがやはりみあたらない(g)。水だけでマウントすると、小さく透明な胞子はとても見づらい。胞子はアミロイド(h)。フロキシンでも染めてみた(i)。ヒダ実質は特徴的で、細長くストローのような細胞が並行に並んでいる(j)。担子器はとても細長い(k)。傘肉やヒダなどの組織にはクランプがみられる(l)。
 ちなみに、オドタケは東北の一部では美味しいきのことして知られているという。

2004年10月22日(金)
 
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 昨日台風が通り過ぎたばかりの日光を歩いてきた。人気のほとんど無いとても静かな散策を楽しむことができた。エノキタケ(a, b)、ヌメリスギタケモドキ(c, d)、チャナメツムタケ(e)、ムキタケ(f)、ヒラタケ、オシロイシメジなどの食菌はよく発生していた。化け物のように黒く太い柄をもった大きなエノキタケ(b)にも出会った。
 まさか今頃はもう発生していないだろうと思っていたのがニカワウロコタケ(g, h)だった。ブナ帯に入ると足の踏み場もないほどにウスキブナノミタケ(i)が無数に発生していた。このきのこの撮影はいまだかつて一度も成功していない。今回もまたダメだった。ミズナラの倒木からはオオワライタケ(j)が、ブナの倒木からはムキタケと並んで多数のツキヨタケ(k, l)が発生していた。
 激しい雨のなかを日光に向かってよかったと思ったのは、実に久しぶりにオドタケに出会えたことだった。ニカワウロコタケやコチャダイゴケにも出会えた。オドタケにいたっては、10年ほど前に大きな群にであったものの、それ以来ずっと出会えなかった。数年前にやっとのことで幼菌に出会ったのが最後であった。これらについては後日取り上げようと思う。
 昨日持ち帰ったツキヨタケもやはり全く発光がみられない(雑記2004.9.25)。今回はミズナラに発生するものと併せて、ブナの倒木から発生している新鮮なツキヨタケを何個体か持ち帰ったのだが、やはり全く発光現象を確認できなかった。

2004年10月21日(木)
 
10月19日のLepiota
 
 10月19日の雑記でとりあげたキツネノカラカサ属(Lepiota)について、何人かの方から貴重なご意見をいただいた。トゲカラカサタケなどといいう和名はない、といったものから、具体的な種名を指摘したものまであった。ありがとうございます。
 トゲカラカサタケという和名は糟谷大河氏による。当初論文ではトゲミノカラカサタケという新称を提案されたようだが、この和名は誤解を招きかねない。和名中に「ミノ=実の」とあれば、それは胞子の形を特徴づけたものとされる。名称変更については、いずれ活字媒体で経緯を語られることだろう (きのこのねどこ 「ささやき 10月19日」)。
 丸山厚吉氏のサイトWild Mushrooms from TokyoLepiota jacobi ワタゲオニタケ(仮)として取り上げられたものが実によく似ている。胞子の姿形もほぼ同一である。これは、スイスのきのこ図鑑(vol.4, 231)に掲載されているLepiota langeiと同一とのことである。図鑑によれば、胞子紋の色はわずかに淡黄色味を帯び、担子器の基部にはクランプ(basal clamp)がある。観察結果と同じである。写真はあまり似ているとは言い難いが、記述を読むと、ほぼ間違いない。

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