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2005年7月20日(水)
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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(g)
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(h)
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(i)
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(j)
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(k)
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(l)
(l)
 埼玉県三芳町で多数のアイバシロハツがでていた(a, b)。胞子はカワリハツなどと比較すると、ずっと大きく類球形というよりも球形に近い。メルツァーで染めっぱなしなので全体が茶色っぽい(c, d)。このあと水洗するときれいなブルーにみえる。メルツァーではなくフロキシンで染めてみると表面模様と内部がよく分かって面白い(k, l)。
 ヒダを切り出して低倍率でみても、シスチジアがあるようにはみえない。一段倍率を上げると、縁シスチジア(g)も側シスチジア(f, h)もあることがわかる。側シスチジアの先端には小さな丸い突起があって面白い(i)。担子器はとても大きい。総合倍率400倍までで充分観察できる。

2005年7月19日(火)
 
(a)
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(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 倒木からゼラチン質の塊状のきのこが出ていた(a)。ちょっと見たところはキクラゲの仲間にもズキンタケの仲間にもみえる。以前もアカキクラゲ科のきのこだろうと思っていたら子嚢菌ズキンタケ科のニカワチャワンタケだったことがある。
 胞子を見ると担子菌のものだ(b, c)。水でマウントしたときには気づきにくいが(b)、フロキシンで染めると胞子には3〜5つの隔膜がみえる(c)。圧倒的に3つの隔膜をもつ胞子が多い。隔膜の仕切が露骨に表現されている胞子もある。子実層を確認すると、アカキクラゲ科のきのこであることが分かる(d)。担子器は独特の音叉形をしている(e, f)。
 今回のきのこは、触った時の感触がプリプリしていて、子嚢盤を持つようにもみえ、しっかりしていたので、子嚢菌だろうと思っていた。調べてみたらキクラゲの仲間だったわけだ。

2005年7月18日()
 
(a)
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(b)
(b)
(c)
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(d)
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(e)
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(f)
(f)
 胞子紋をとる場合、きのこをカバーグラスやスライドグラスに置いて一定時間放置している(f)。しかし、きのこの傘裏がスライドグラスなどに直接触れると具合が悪いこともある。そんな場合、キノコ自体を浮かせて落下胞子を採取している。
 蓋付き透明ケースは便利だ(a)。紙にカバーグラス等を置く。同時に複数のきのこを吊せる。胞子の落ち具合は外からでも充分わかる(b)。きのこは虫ピンと軟質プラスチック吸盤を使って吊す(c)。虫ピンの頭部には柄を貫通して落ちないようコルク片を通してある(d)。
 吊さずに、針付き杭などにキノコを刺してもよいが、コンタミを防ぐため杭は使い捨てとなる(e)。網の上にキノコを載せて、スライドグラスや紙にきのこが触れないようにしたこともある。この方法では、一回ごとに網をていねいに洗わねばならず、結局長続きしなかった。
 便利なのは吸盤である。吸盤と虫ピンさえあれば、ガラスコップなどを利用して簡単に吊り下げが採取できる。吊り下げ法を使うと、時間経過による胞子紋の色変化も楽しめる。

2005年7月17日()
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
(f)
 日光も暑かった。晴れ間が出たり雨が降ったりと、天候は不安定で、湿度が高く蒸し蒸しする一日だった。クリンソウ騒ぎも終わってハイカーも少なくなっているせいだろう。ハイキングコースのすぐ脇にはホシアンズタケ(a)やらタモギタケがあちこちに見られた。よく採られたり引きちぎられずにこれだけ残っているものだ。ハナビラタケは例年よりも発生が遅いようだ(c)。
 やたらに目立ったのが冬虫夏草の多さだった。材上生、地上生ともにいろいろな種類がよくでていた。よほどのことがないと採取しないが、昨日はコガネムシタンポタケだけをいくつか採取した(d〜f)。理由は、楽に採取できてギロチンの恐れが少ないからだ。
 それにしても、例年と比較して地上生のきのこがとても少ない。例年なら必ず見られるタマチョレイタケ、テングタケ科、イグチ科のきのこはあまり出会わなかった。

 待望の池田良幸著『北陸のきのこ図鑑』が出版された。届いた図鑑はずっしりと重い。一冊1.5kgもある。名著の誉れが高く絶版となっていた『石川のきのこ図鑑』の全面改定版である。取扱種も倍以上となり、顕微鏡による所見や図版も、さらに充実されている。日本語で書かれた本格的きのこ図鑑としては、これまで保育社『原色日本新菌類図鑑』しか無かったが、ここに新たに必須文献がひとつ追加されたことになる。

2005年7月16日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
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(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 まずは、昨日のキノコの胞子についての補足。胞子紋は軽くクリーム色を帯びた白色。
 水だけでマウントしたものはコントラストが弱いので、少しフロキシンを加えた(a, b)。次にメルツァー液の中に胞子を落としてみた。液が胞子表面にも付着して茶色っぽくなり、あまり見やすいとは言い難い(c, d)。メルツァーで染めた後、水洗すると明瞭になった。胞子表面に付着していた溶液がほとんど落ちた(e, f)。胞子の壁も結構厚いことがわかる。
 
 
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 遊びついでに、バラバラにした担子器を油浸100倍で見たときの姿を6枚ほど並べてみた。縁シスチジアも一緒に写っている(g)。ちなみに、多くのきのこでは、以下の手順で、こういう状態の担子器の姿を楽に得ることができる(雑記2005.3.28)。例外はいろいろある。
  1. ヒダを一枚取り出して、スライドグラス上に横たえる (あくまでもヒダの部分だけ)
  2. ヒダの縁を0.5〜1mm幅に切り出し、他は捨てる (この状態ではかなり厚ぼったい)
  3. フロキシンをかけて染めてから、余分な液を吸い取る(液は吸い取ってしまう)
  4. 1〜3%KOHをたっぷりかけて、数分間待つ (5%KOHでは担子柄が完全に溶けてしまう)
  5. カバーグラスをかけて、上から柄付き針などで軽く押す (軽い力でズルっと広がる)
  6. カバーグラスの縁の溢れたKOHを吸い取り紙で取り除く (マウント液は必要最小限にする) 
  7. 最後にもう一度カバーグラスの上から軽く圧を加える (場合によっては不要)
 いちいちフロキシンで染めてからKOHを使うのは面倒なので、ふだんフロキシンで着色したKOHとか、フロキシンで着色したエタノールなどを常用している。

2005年7月15日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 外房蓮沼村から、頻繁に見かけるきのこを一種類だけ持ち帰った(a, b)。浜に出る寸前の松林に発生するきのこだ。先日は3本見られ、持ち帰ったのはそのうちの1本だ。
 ひだ実質は平行型(c)。側シスチジアはみえない。縁には尖った小さなシスチジアがある(d)。倍率を上げると、縁シスチジアは隔壁をもち担子器と同じくらいの大きさだ。先端に分泌物などは見られない(e)。傘表皮の組織は平行に這っている(f)。組織にクランプはない。
 KOHを使って子実層をバラすと担子器が無数に散らばった。この状態のまま倍率をあげれば、担子器のサイズをいくつでも得ることができる。統計的に有意な値を得ようと思えば、少なくとも20〜30個の担子器サイズを計測せねばなるまい。

 ザラミノシメジ属のキノコと思われるが、胞子などに触れている時間がなくなった。明日に回すことにした。担子器やシスチジアのバラシ方も、明日の雑記で少し詳しく触れてみよう

2005年7月14日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
 昨日早朝千葉県の海浜を観察してきた。内房と外房の浜5〜6ヵ所を見たが、いずれも新しいケシボウズは全く発生していない。他に見られたのはカヤネダケスナジクズタケのみ。
 内房富津市の浜では数ヶ月前に出たと思える小さなケシボウズが2タイプみられた(a〜e)。孔口が筒状のタイプはTulostoma brumaleかT. kotlabaeのようである(a〜c)。もう一方はT. striatumのようだ(d, e)。これは数週間ほど前に発生したらしく、頭部の一部だけわずかに顔を出していた。
 外房の浜では、数ヶ月前に発生したらしき個体もなければ、ミイラの姿さえひとつも見られなかった。ただやたらにカヤネダケばかりが目立った。特にカヤネダケの若い小さな菌は、ちょっとみたところケシボウズそっくりなのでダマされやすい。

2005年7月13日(水)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 アワタケについて検鏡はしても撮影しなかったので、今朝は撮影目的で手元に残っていたアワタケを切り刻んだ。孔口部はみごとな多角形をしている。胞子は胞子紋からのもの(a)。管孔部実質は細長い菌糸がやや絡みながらも平行気味に走っている(b)。孔口先端をみるとシスチジアや担子器などがみえる(c)。シスチジアのサイズにはかなりのバラツキがあり、とても大きなものもある。担子器の部分を拡大してみると、それぞれに4つの胞子がついている(d)。サイズを測るためにはKOHでマウントして軽く押し潰すと楽にバラせる(e)。他の担子器もいくつかみた。傘表皮も念のために撮影した(f)。採取したアワタケは既に虫だらけでかなり崩れてきていたので、撮影後にすべて処分した。
 
 
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 昨日所沢の航空公園の近くを通ったので、10分間ほど雨の中を歩いてみた。遠くから見ても呆れて笑ってしまうほど多数のサケツバタケが出ていた(g〜l)。100本はゆうに超えていた。まるでダンスの饗宴をみているかのようだった。大きなものでは背丈30cm、傘径20cmにもなる(g, h)。幼菌では径4cmを超えるどっしりしたものがあった(l)。全体に大きめの個体が多かった。

2005年7月12日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 昨日の暑さは凄まじかったけれども、早朝は涼しくて快適だ。さきほど、さいたま市見沼区にある公園を歩いてきた。キノコの種類は多いが黴びたりバクサレてしまったものが目立った。そんな中で多数みられて状態のよいものだけを撮影した。
 アワタケと思われるイグチがあった(a)。傷つけて放置すると数分ですっかり青くなった。コムラサキシメジは退色して白っぽいものが多い(b)。淡い紫色で大きなものもある。オニタケ(c)をはじめハラタケ科のきのこは何種類も見られる(別の種 成菌若い菌)。ツブエノシメジが相変わらずおきまりの場所に多数みられた(d)。薄暗い樹林の中でベニヒダタケがよく目立った(e)。オオホウライタケは相変わらず広範囲に発生している(f)。

2005年7月11日(月)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 今朝も先日撮影したケシロハツ(a〜d)とキリンタケ(e, f)のミクロ映像の一部である。ケシロハツの胞子はメルツァーで確認したのちすぐに捨ててしまい撮影しなかった。撮影したのはヒダ切片だけである。この厚めのヒダ(a)をみても縁シスチジア、側シスチジアらしき構造があることが分かる。メルツァーでマウントした状態で先端付近を見た(b)。ベニタケ属ではないので、ヒダ実質部に球形細胞はない。やや薄目の切片を作ってフロキシンで染め側を見ると細長いシスチジアが並んでいる(c)。長さの計測には3%KOHを使ってバラした(d)。
 キリンタケのヒダ実質(e)は気泡のため散開型の特徴が分かりにくくなってしまった(e)。先端付近の写真ではさらに分かりにくい。いずれにせよテングタケ科のひだ実質をきれいな状態で見るのは至難の業だ。薄切りにしようとヒダをつかんだ途端にペシャンコになってしまう。うまく切り出せても、ここに掲げた写真のように気泡で台無しになりやすい。一昨年の今頃にもテングタケ科のヒダ切片を切り出した写真を載せている(雑記2003.7.4)。この折りのものは比較的気泡が少なく、散開型がややわかりやすい。なお、胞子はアミロイド(f)。

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