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2005年10月10日()
 
(a)
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(e)
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(f)
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 仲間六人で日光を歩いてきた。いろいろなきのこが豊富に出ていた。観察・撮影しているとなかなか先に進めない。ホシアンズタケタモギタケなどは、ふだん頻繁に出会うので、今回は全く撮影もせず、見かけてもほとんど近寄ることなく、多くはそのまま通り過ぎた。
 昨日あちこちで出会いよく目立ったのはスギタケオシロイシメジ、ヌメリスギタケモドキ(a)、ナラタケの仲間(b)、ムキタケ(c)、シモフリシメジ(d)、チャナメツムタケシロナメツムタケなどだった。クリタケ(e)、ヤマブシタケ(f)などにも出会った。
 きのこ狩りに行ったわけではないだが、あまりにも多くの食菌に出会うので、きのこ狩りモードになってしまった。きのこ狩りなどをしたのは実に久しぶりだった。
 昨日出会って特に印象的だったのは、マクキヌガサタケとヒグマアミガサタケであった。両者ともに立派な大型の子実体が多数発生しており、あやまっていくつも踏んづけたり潰してしまった。また、マルバダケフキの茎からはガマホタケ属菌Typhulaが大量発生していた。

2005年10月9日()
 
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(b)
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(g)
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(h)
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(j)
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(k)
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(l)
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 先日チチアワタケ(a, b)を「キノコのフォトアルバム」に追加したが、そのときの検鏡データを掲載しておこう。胞子紋は黄褐色、胞子は紡錘形から楕円形(c)。管孔部実質はキヒダタケ亜型(d)、シスチジアなどを水でマウントしたものはコントラストが弱くて撮影に耐えないので、撮影のためにフロキシンで染めた。KOHで褐変する組織は、褐色味を帯びたピンクに染まっている。
 縁シスチジアは無数にある(e, f)。数個の子実体のうちいくつかのものには側シスチジアもみられた。側シスチジアは疎らに存在し、円柱型で多くは先端が細くなっている。柄の上部には腺点様の細かい粒点がある。この腺点部の油脂を取り除いて拡大してみると、シスチジア型の組織からなり(h, i)、中には3%KOHで褐色に染まるものもある。
 念のために担子器を確認した(j, k)。5%KOHでマウントすると担子柄はすぐに溶けてしまうが、1〜3%KOHでなら担子柄はほぼ観察できる。傘上表皮は著しくゼラチン化したcutis構造(ixocutis)をしている(l)。褐色の色素が目立つ。なお、傘表皮にも傘肉にもクランプは見あたらない。

2005年10月8日()
 
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(k)
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 昨日早朝から午前中にかけて、千葉県内房と外房の浜を観察してきた。内房富津市の浜ではコナガエノアカカゴタケが出ていた(a, c)。掘ってみると地下には白い袋があり、その下側からは長い根状菌糸が深いところに伸びている(b)。ナガエノホコリタケは発生している様子もない。わずかにウネミケシボウズタケ(d, e)が数本でていた。ケシボウズタケはひと月ほど前に少し発生したようである(f)。内房の浜には、他にはキノコの姿は全く見られなかった。
 外房九十九里浜のクロマツ防風林内にはシモコシ狩りの人々が多数繰り出していた。一方、海水浴シーズンが終わったこともあり、浜はとても静かだった。
 砂浜にはキノコは全く出ていないようにみえた。引き上げる前に念のために、今一度砂地をよく見ると、所々に軽く盛り上がった部分がある(g)。ていねいに砂をどけていくとケシボウズがでてきた(h)。霧吹きで砂を洗ってみた(i)。ウネミケシボウズタケのようだ。
 これに気をよくして、砂地の膨らみ部分をじっくり観察すると、砂の盛り上がりはあちこちにあった。新しい個体が発生をはじめていた。一部を掘り出して並べてみた(k)。さらによく見ると砂地から頭部を現している個体もあった(j)。他にはドングリタケ(l)くらいしか見ることができなかった。外房でもナガエノホコリタケは全く発生していなかった。
 コナガエノアカカゴタケは、全長が20cm以上あるので、手持ちのタッパウエアにははいらず、やむなく紙袋に入れた。このため、帰路の車中では、鼻がひん曲がりそうな凄まじい臭いに悩まされた。帰宅すると直ちに乾燥機にかけた。今度は異臭が室内に入ってきた。

2005年10月7日(金)
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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 このところ雨も降ったし気温も下がったのできのこが出ているのでは、そう思って所沢の航空公園と川越の自然林に行ってみた。ヒメツチグリ科のきのこがやけに多かった。
 数種類のヒメツチグリ科を持ち帰った。ヒナツチガキは幼菌の姿を見ると比較的簡単に同定できる(a, b)。しかし、この仲間は外見だけから同定するのは先ず無理だろう。一見シロツチガキのように見えるものが多数あった(c)。外見的形態と胞子(d)、弾糸(e)を見る限りでは、シロツチガキとしてよさそうだった。しかし、担子器(f)をみるとまるで異なっていた。
 
 
(g)
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(i)
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(j)
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(k)
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(l)
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 先週出かけた福島県で出会ったきのこから、印象に残ったものだけを雑然と取り上げた。この時期ならばシャカシメジはかなり大きくなっていてよいのだが、若い小さな株しかみられなかった(g)。サガリハリタケはじっくりみるととても繊細で美しいと思う(h)。コスリコギタケは数ヶ所でみることができた(i)。コウボウフデはまだ殆ど地表に顔を出しておらず、地表に頭部を現したものはごくわずかしかなかった(j)。フウセンタケ属にはいろいろ出会ったが、これらの大部分はきちんと調べていないので、何かはわからない(k, l)。林道でシマヘビをかまって遊んだ。逃げ場を失ってかなり攻撃的な姿をみせてくれた。

2005年10月6日(木)
 
(a)
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(j)
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(k)
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(l)
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 福島県川内村の沢沿いで、かなり腐朽が進んだ落枝から小さな印象的なきのこが出ていた。傘径12〜18mm、柄長30〜40mm、柄径1〜2mm。傘表皮には強いヌメリがあり、湿時わずかに条線がみられる。成菌の傘色は茶褐色(a)であるが、若い菌(c)では緑色が強く、幼菌(d)では濃青色を帯びている。柄の色は白色から淡黄色で、表面は短い毛に被われ、基部は白色の菌糸に包まれている。ヒダは密でややピンク色を帯び、直生である(b)。
 ヒダ付き方が離生ではなく直生、胞子紋がピンク色でなく淡黄褐色、さらにヒダ切片を切り出して実質をみると逆散開型ではなく並列型である(g)。したがってウラベニガサ属ではない。また胞子紋が有色で発芽孔をもつことからクヌギタケ属でもない(e, f)。なお、胞子は水でマウントすると黄褐色(e)であるが、3%KOHで赤褐色(f)になる。
 縁シスチジアには二通りのタイプがあり、ひとつは大型で棍棒状(h, i)、今ひとつはクヌギタケ属によくあるタイプのシスチジアである(j)。側シスチジアも同じような形をしている。担子器の基部にはクランプを持つものもあるが、多くはクランプがない(k, l)。傘肉部や柄の組織にはクランプがある。粘性を帯びた傘の上表皮層は、洋梨型の細胞が柵状に並ぶ。
 あらためて検索表をたどるまでもなく、オキナタケ科に落ちる。更に科の検索表を繰ると、オキナタケ属に落ちる。クロシワオキナタケ亜属のものと考えられるが、和名のついたオキナタケ属にはこれに該当するものはない。新産種ないし新種ということになるのだろうか。
 これ以上ていねいに観察すると、定石通りの面倒な文献調べをしてから、報告を書かざるをえなくなる。ハラタケ目にそこまで関わっている時間的ゆとりはない。属レベルまで落とせればよしとして、標本はそのまま台所の流しに廃棄した。

2005年10月5日(水)
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(e)
(e)
(f)
(f)
 先週土日の福島県では多くのコウタケにであうことができた。夏から秋の高温と雨不足のせいか、今年の発生個体は全体に小振りで、小さなうちから柄には虫がたくさん入っている。色も白っぽいものが目立った。いろいろな成長段階の幼菌に出会えたことは大きな収穫だった。
 コウタケというと、たいていは、マツ混じりのコナラ・ミズナラ広葉樹林でみることが多い(a, b)。今の時期に幼菌の姿がやたらに多いのも今年の特徴のようだ(c, d)。小さな幼菌(d)だけをみたら、とてもこれがコウタケとは思えない姿をしている。
 広葉樹のほとんど無いモミ林でコウタケの群生に出会った(e, f)。林床にはアセビらしき灌木も見られた。これまでにも、何度か富士山のウラジロモミ林でコウタケに出会っている。それはいわゆるシシタケと言われるタイプで、表面のササクレが小さく大型だが、深い漏斗状ではない。純モミ林で典型的なコウタケにであったのは、初めてであった。

2005年10月4日(火)
 
(a)
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(k)
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 福島県川内村で採取したミミナミハタケ属を検鏡した(a, b)。胞子紋は白色。そのままカバーグラスをのせて見た(c)。表面には微細な疣がある。水でマウントした(d)。類球形である。メルツァー試薬を使う(e, f)。アミロイドである。表面(e)と輪郭部(f)に焦点を合わせたものだ。胞子表面の疣も何となくわかる。しかし、これを水で洗うと、表面の疣はほとんど落ちてしまい、まるで平滑な類球形となる。これしか見なければ、胞子は平滑と判断するだろう。
 ヒダ実質は錯綜気味の並列型(g)。メルツァーでは赤褐色になるだけで、ひだ実質部にアミロイド反応はない。担子器の基部にはクランプを持つものと持たないものがある(h)。組織の各部にはクランプが見られる(i)。二菌糸型(dimitic)である。柄の表皮を見ると、なにやら濃褐色の粒が多数みえる(j)。傘表皮の一部にも似たような組織がある。倍率を上げると厚壁胞子であると明確に分かる(k)。柄表皮に見える白い毛の様な菌糸にもクランプがある(l)。
 柄の表面に厚壁胞子があること、微疣に被われた類球形のアミロイド胞子を持つこと、クランプがあり、二菌糸型であることなどから、これはミミナミハタケであるとしてよさそうである。

2005年10月3日(月)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 前週に引き続いて、センボンキツネノサカズキの生態・環境調査の手伝いに、いわき市まで行って来た。大きな株をなしているが若い菌(a, b)、成熟して時折胞子を放出する菌(c, d)、とても小さな幼菌(e)など多くの株をみることができた。
 調査の合間にいろいろなきのこに出会うことができた。数日前に発生したと思われるナスコンイッポンシメジはかなりくたびれていた(f)。現地に詳しい人の話では、「ナスコン」は毎年のようによく発生しているとのことだった。
 他にも、ホンシメジ、コウタケ、シャカシメジといった食菌や、コスリコギタケ、サガリハリタケ、コウボウフデの幼菌などの端正な姿にもであうことができた。現地の方々や福島県の仲間にいろいろお世話になりました。ありがとうございました。おかげでとても楽しい2日間だった。

2005年10月1日()
 
最近の秋ヶ瀬公園
 
 昨日さいたま市の秋ヶ瀬公園を歩いてみた。例年の今頃ならたいていは多くのきのこがみられるのだが、今年は様子がかなり違っている。9月以降ずっときのこが殆どみられない。
 夏の高温が響いたのか、小雨がたたったのかわからないが、昨日みられたのは、老朽化したアセタケ属、小型の落ち葉分解菌、貧相なニガクリタケくらいのものだった。硬質菌も何種類かみられるが、いずれも元気が無く、干からびている。
 ここ数日、メインパソコンの故障続きのため、屋外のきのこを観察する機会はあまりなかった。今日と明日は遠出するので、明日の雑記はお休みである。

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