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日( )


2005年3月31日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 さいたま市まで行ったついでに、一週間ぶりにトガリアミガサタケの様子を見てきた(a〜d)。先日より発生数も増え、全体に大きくなってはいるが、まだ成熟個体はほとんどない(雑記2005.3.24)。例年よりも2週間ほど遅れているようだ。念のために、最も成熟しているようにみえた個体の子実層を観察してみた。
 成熟した子実層はみられず、胞子のできていない子嚢が目立つ。3%KOHでバラしてフロキシンで染めてみると、先端が膨大した側糸があちこちにみえた(e)。成熟した胞子よりやや小さいが、ほぼ成熟した胞子を持った子嚢もみられた(f)。
 (トガリ)アミガサタケの子嚢胞子は、両端に小さな油球群を帯び、とても愛嬌がある。例年これを見るのが楽しみなのだが、胞子紋がとれなかった。最盛期はあと2週間ほど先か(雑記2002.3.29同2003.3.29同3.30同2004.3.28)。

2005年3月30日(水)
 
表計算ソフトの利用 (a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
 キノコの観察記録では、胞子、シスチジア、担子器などのサイズの記録が欠かせない。記録には表計算ソフトを使うのが常識とされる。Excelに限らずたいていの表計算ソフトが関数を備えている。ちょっとした初歩的な関数の利用で手間がかなり省ける。さらに描きたい範囲を指定するだけで、簡単にグラフを描くこともできる。

 原則として胞子は、胞子紋から50個以上をサンプリングしている。例示のためにサンプルを20個にしてExcelで表示してみた。標本は、今年の1月に採取したキシメジ科の小さなキノコの胞子である(a)。
 入力欄をまちがえたり空白のままだと、「入力ミス」と表示させるとよい(b)。これは初歩的な知識だけで十分可能だ。E5欄には「=IF(B5<C5,"入力ミス","")」と、D8欄には「=IF(C8>0,ROUND(B8/C8,1),"入力ミス")」と書いてある。そして「入力ミス」という文字があれば赤色にするよう条件付書式で指定した。

 表の数値を変えると、直ちに最小値、最大値、平均に反映されるばかりではなく、グラフにも直ちに反映される。妙な位置にプロットが表示されれば、入力ミスの可能性が高い。シスチジア、担子器などの計測にも使っている(c)。
 データはテキストファイルで保存している。Excelファイル(a)のサイズは35,792KBであるが、これをCSV形式で保存すると429KB。Excelファイルの1.2%である。ただし、複数シートや関数、グラフは保存されず、すべては数値として保存される。

2005年3月29日(火)
 
フィルムケース
 
 ケシボウズタケの仲間の多くは、背丈が2〜4cmに過ぎない。中には6cmを超えるものもあるが、大部分は35mmのフィルムケースに納まる大きさである。採集したサンプルは普通はフィルムケースで持ち帰っている。採取する数が多いときには小型のタッパウエアも使うが、やはり日常の主力はフィルムケースといえる。
 以前は近くのDPE屋さんからフィルムケースをもらうことができた。小型のタッパウエアは100円ショップなどで楽に入手できるが、フィルムケースは次第に入手が難しくなってきた。つい最近、近くのDPE屋さんがまた一つ消えた。

 さいたま市の公園には、きのこの姿がほとんどみられない。ウッドチップからも、浦和競馬場近くの馬糞堆からもきのこは発生していない。

2005年3月28日(月)
 
(a)
(a)
(b)
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(c)
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(d)
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(e)
(e)
(f)
(f)
 楽に縁シスチジア観察するには、ヒダを一枚つまんでスライドグラスに載せ、縁を見ればよい。マツカサキノコを例にやってみた(a)。薄くて脆いヒダなのでヒダを取り出すのに、カミソリを使った。親ヒダと子ヒダが一緒についてきた(b)。
 ヒダ実質や子実層、シスチジア等の観察には、ヒダを薄切りにして観察する(c)。薄いくさび形に巧く切り出すのは意外と難しい。そこで、ヒダの縁を含む部分だけを切り出す(d)。厚みが邪魔をして縁が明瞭に見えにくいことがある。(e)の様に明瞭にみえることは少ない。そこで(d)の切断線をヒダのすぐ近くにもってくるとよい。
 次に、水の代わりに3%KOHでマウントしてフロキシンなどを加えて、軽く圧迫する。すると縁シスチジアなどが明瞭に見える(f)。シスチジア先端の分泌物等はKOHで溶けるものがあるので、前もって水でマウントして観察することが必要だ。
 あらかじめ実体鏡やルーペなどでヒダを拡大して見ておくと、縁シスチジア、側シスチジアの有無や、結晶物・分泌物の付着などの有無も分かることがある。

2005年3月27日()
 
充実した一日
 
 昨日川崎市の青少年科学館で菌類関係の講演会があった。札幌に拠点を置くNPO法人北方菌類フォーラムの竹橋誠司氏「札幌近郊のツエタケ属について」、筑波大学の糟谷大河氏「分子系統樹を見ても困らないために」という2題。月末の土曜日という必ずしも休みやすいとは言い難い日程にもかかわらず、多くの参加者があった。
 竹橋氏の講演は、採取データの詳細な観察をベースに、Pegler and Youngの分類体系に基づいて、再考察を試みたものであり、新たな仮説も提起するなど、大胆な提案もあった。専門的な形態分類学の基本的手法にのっとり、これにモノグラフィックな視点を加味したもので、資料もA4版62ページに及ぶ。
 糟谷氏の話は、最近の分子系統関係の話題と向き合うにあたり、最低限理解しておくべき基本的な用語・概念を実例に則して、わかりやすく説明するものだった。
 京浜東北線のトラブルのため会場到着が大幅に遅れてしまったが、久しぶりに、充実した一日だった。竹橋さん、糟谷さん、お疲れさま。

2005年3月26日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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(g)
(g)
(h)
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(i)
(i)
(j)
(j)
 昨日の奥多摩はとても寒い一日だった。特に日原鍾乳洞付近ではときおり激しい雪が舞って冬に戻ったかのようだった。南面の沢スジや尾根道などで、石灰岩の露出帯を中心に歩いてきた。少し標高を上げると、南面にも広く残雪が残っている(a)。
 目的のきのこには出会えなかったが、雪解けの地域には鮮やかな黄色い盤菌が多数みられた(b, c)。色合いは淡い黄色から黄褐色にまたがり、縁や裏側が少し青みを帯びているものもある(c)。採取して白紙に乗せてみた(d)。傷つけても変色しない。
 子嚢盤の切断面をみると、子実層面だけが鮮やかな色をしている(e)。この状態のまま、カバーグラスの脇からフロキシンを注ぐと周辺だけが赤くなる(f)。側糸に含まれる顆粒(g)はメルツァーで緑色に変わるが、子嚢はアミロイド反応を示さない(h)。
 フロキシンで染めると目が疲れなくてよい(i)。高倍率では子嚢の全体像を表示できないので、2枚の映像を合成した(j)。(j)の右下は胞子紋の一部である。
 先に茨城県笠間市/友部町(雑記2005.3.8)や、武蔵丘陵森林公園(同2005.3.3)でみた小さなチャワンタケなどと、同じ属のものだろうと思われた。

2005年3月25日(金)
 
検索に適したデータ構成
 
 「今日の雑記」は10日単位でファイルを更新している。1日、11日、21日に新たなファイルを起こし、前日までのファイルは過去の雑記に登録する。1ヶ月単位にしないのは、ページが重くなるのを防ぐ、長いスクロールを避けたい、といったことによる。
 もともとが、自分たちの備忘録として始めたものだから、データベースとしても役立たないと意味がない。過去10日間の一連の流れを掴むには、これでよいのだが、全文検索エンジンから複合項目を検索する場合には、使いにくかった。

 10日単位なので、目的の項目がその10日間のどこにあるのかを、あらためて探さなくてはならない。1日単位で検索する場合と比較して、過剰にヒットしてしまう。真のヒットはこれらのファイルのうちの一部である。あるいは真のヒットがない。
 たとえば、富津市で観察されたナガエノホコリタケを検索したいとする。しかし10日単位のファイルで過去の雑記を保存していると、思いがけないことが起こる。
 10日間のどこかに "ナガエノホコリタケ" と "富津市" という用語があれば、必ずヒットしてしまう。2日に新潟でナガエノホコリタケを観察し、9日に富津市でショウロを観察したとあれば、このファイルもヒットしてしまう。
 これを、1日単位のファイルだけを対象に、"ナガエノホコリタケ and 富津市" と検索すると、12件ヒットする。このうちに雑記ファイルが10件あった。ここでヒットしたのは "富津市で観察されたナガエノホコリタケ" である確率が高い。

 つまり、日々の管理と過去の流れの閲覧には10日単位が扱いやすい。しかし、全文検索エンジンから特定項目を検索するには、1日単位で別ファイルにした方が扱いやすい。なるべく少ない手数でこの要望を満たしたい。
 解決策として、10日単位の「今日の雑記」ファイルから、1日ごとにそれぞれ別ファイルとして切り出す仕組みを作った。そして、全文検索エンジンの検索対象には、10日単位のファイルを除外し、1日単位の雑記ファイルだけとした
 思いがけない副産物が生まれた。それが年月日指定のフォームであった。これは思いの外便利であることを知った。時にはホームページの見直し作業が必要なことも感じた。

2005年3月24日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
 昨日、きのこ屋(高橋 博)さんと、さいたま市までトガリアミガサタケの様子をみに行った。まだあまり成長していない(雑記2005.3.10)。例年よりも遅いようだ。成菌も皆まだ若く小さい(a〜c)。落ち葉の下にはまだ15〜20mmくらいの小さな幼菌がいくつも隠れていた(d)。この分だと4月10日頃が最盛期と思われた。

 リンクページに新しいサイトを一つ加えた。N.M.G.(環境衛生検査センター)の常盤俊之氏による「Japanese species of Hypomyces and their anamorphs」である。英語ページと日本語ページがある。菌寄生性の子嚢菌であるHypomycesはさまざまな菌類に寄生する。図鑑などにはタケリタケという俗称で、チチタケ・ベニタケ・イグチなどに寄生して特徴的な姿をしたものが掲載されている。キノコのフォトアルバムでもタケリタケの名称で、大型菌類に寄生して奇形をつくった姿を載せている。

2005年3月23日(水)
 
熊楠記念酒 (a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
 南方熊楠生誕120年の記念酒が届いた。特選・本醸造「熊楠」と大吟醸「熊楠」である(a)。この日本酒については、糟谷大河氏がきのこのねどこの「ささやき3月15日(火)で、興味深いエピソードを添えて取り上げている。ぜひ一読されたい。
 特選・本醸造「熊楠」の化粧箱には、4面とも熊楠によるキノコのスケッチとメモが印刷されている(b〜e)。熊楠に対する思い入れがあるからかもしれないが、箱ばかりではなく、日本酒としても旨い。キノコ関係者への贈り物や土産にちょうどよい。

 今週末の26日(土)は、菌懇会の行事として川崎市青少年科学館で、糟谷大河氏「ツエタケの分子系統について」、竹橋誠司氏「札幌近郊のツエタケ属について」の講演が行われる。非会員でも参加できる。

2005年3月22日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
 20日は菌懇会の例会だった。午前中は川崎市の緑地での観察。シデの林で小型のキノコが多数みられた(a, b)。ちょっと見たところチャムクエタケ属のように見える。一方、フウの樹下でも、フウの実から似たようなキノコが多数でていた(c, d)。フウノミタケのようにも見えるし、チャムクエタケ属がフウの実から出たようにもみえる。サンプルを持ち帰らなかったので、詳細はこれ以上は分からない。Kさんの結果待ちである。緑色を帯びたXylariaの幼菌が付いたフウの実も多数みらた(e)。
 午後は冬場の菌懇会恒例のゼミがあった。この日は三村浩康氏による「身近にみられる昆虫寄生の不完全菌類及びその分類」が行われた。昨年採取されたサンプル(10属19種)を実際に自分の手にとってルーペで観察することもできた。
 佐野書店から3月の文献案内がでた。今月のお勧めは、Bernicchia, Annarosa 2005「Polyporaceae s.l.」(広義の多孔科)Fungi Europaei Vol.10だという。

2005年3月21日()
 
HP容量と写真サイズ
 
 「きのこ雑記」を開始した2000年夏頃には、写真サイズは400x300ピクセルと小さく、総容量は30MBに満たなかった。2001年6月には50MB近くに膨れあがり(雑記2001.6.17)、さらに半年後の2002年2月には158MBとなった(雑記2002.2.7)。
 ちょうどこの頃、急激にブロードバンドが普及し始めたこともあり、写真の基本サイズを500x375にした。しかし、一年で100MB超も膨らんだのは、2001年4月24日から「今日の雑記」を開始したことによる。
 「キノコのフォトアルバム」などは急激にサイズが増えることはないが、「今日の雑記」はハイスピードで容量が増えていく。単純計算しても、毎日0.2〜0.3MBほど増える計算となる。年間では80〜100MBになる。2003年2月には350MBとなった(雑記2003.2.3)。

 今や現時点(2005.3.21)で590MB超、総ファイル数は40,000を超えてしまった。

 つい最近、レンタルサーバーを契約した。1GBまで利用でき、速度も十分満足できる範囲にある。価格も年間5,000円と他のプロバイダよりも安い。これまでにも大容量を提供しているプロバイダといくつか契約してきた。ファイルは原則として分散配置である。さらに、非常時に備えて複数のミラーサイトも設けてある。
 写真を多用したホームページの維持というのは経済的にバカにならない。先に写真サイズ拡大案を検討した(雑記2005.2.16)。できれば、今後の写真の標準を640x480としたい。しかし、ホームページ容量の増加がさらに加速度的に増える。プログラムの書き換えも面倒くさい。いつから写真サイズ拡大を実行しようか、未だ決めかねている。

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