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2005年6月30日(木)
 
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 予定外だったが、川越の雑木林に寄ってみた。「きっとここにいるだろう」という予感が的中して、きのこ屋(高橋 博)さんがいた。30〜50分ほど前に来たと言っていた。きのこ屋さんの話では、あまりに多くのきのこが出ているのでちっとも先に進めない、という。
 林内に足を踏み入れると、大型イグチの仲間を中心として多くのきのこが発生していた。特に目立ったのがヤマドリタケモドキ(a, b)、ムラサキヤマドリタケ(c, d)、アカヤマドリ(e, f)、ミドリニガイグチ、クロハツ、コバヤシアセタケ、テングタケ、ツエタケ、ガンタケ、マツオウジだった。
 このほかにもチチタケ、ツルタケ、何種類ものベニタケ科、テングタケ科のきのこが見られた。夏のきのこが最盛期であるが、先週の22日にはきのこのすがたはほとんど無かった。きのこも多かったが、何人ものきのこ狩りの人たちにもであった。

2005年6月29日(水)
 
(a)
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(e)
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 昨日まで茨城県つくば市で行われていた菌学講座から、気が向いて撮影したスナップの一部である。今回は全日程の内、講演が計2日間あった。多彩な演者の表情の一部である(a)。
 27日(月)「筑波山の微小菌類観察会」のスナップを少し取り上げた。採取前に点呼をとり(b)、各々採集に向かった。連日の猛暑とカラカラ陽気のために、全般的にきのこの姿は少なかったが、多人数で歩くと結構沢山の菌類が集まった。午後は研修棟で顕微鏡を使っての観察。まずは、根田仁博士の説明から始まり(c)、つづいて各々顕微鏡による観察となった(d)。
 参加者はおのおの気が向いたものを観察して、分からなければ講師陣に質問していた。顕微鏡と実体鏡をひとり一セットずつ使用できる環境というのは、こういうときにはありがたい。
 現地への足がやや不便とはいえ、筑波の研修棟には30数セットの顕微鏡・実体鏡が備わる。マニピュレータ、OHP、スライド、プロジェクタなどもあり、ブロードバンド環境によるインターネットを使った講習もできる。さらに、各種文献、簡易宿泊棟といったものが揃った環境というのは、とても貴重な存在である。これを活用しない手はない。

2005年6月28日(火)
 
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 筑波の菌学講座4日間は今日の夕方、下野義人氏「ベニタケの分子系統」を最後に終わった。

 日光でゴムタケを採取したのだが、時間が無くてずっと放置してしまった(a, b)。採取が6月18日だから、すでに10日が経過している。色は黒っぽくなりすっかり水っぽくなっていた。この間にオオゴムタケ採取したので、それと比べてみた。
 サイズはオオゴムタケの方がはるかに大きい。小さめのオオゴムタケ(c左)と大きめのゴムタケ(c右)を比較してみた。切断面を見ると、オオゴムタケは均一なゼラチン質(d左)、ゴムタケはいくつかの不均一な層からなっていてさながら大理石のようだ(d右, e)。
 オオゴムタケはクロチャワンタケ科(Sarcosomataceae)、ゴムタケはズキンタケ科(Leotiaceae)であり、名前こそ似ているが大きなレベルで異なる。同じ盤菌類でも、チャワンタケの仲間は一般に子嚢に蓋(弁)がある。それに対して、ズキンタケの仲間は子嚢に弁は無く、頂部に孔がある。この頂孔部はメルツァー液で青色になるものが多い。
 ゴムタケの子嚢はメルツァー液で頂孔の部分がきれいに青色になる(f)。一方、弁を持ったオオゴムタケの子嚢はメルツァー液でも変化はない。

2005年6月25日()
 
(a)
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 今日から4日間ほど自宅を離れ筑波で寝泊りするので、この間は「今日の雑記」はお休み。ノートパソコンとLANカードなどは持っていくので、もし、出先でネット接続環境が得られ、時間がとれて気が向いたら、[雑記] あるいは [戯れ言] の更新も可能かもしれない。
 今朝、筑波に出かける前に、スエヒロタケを覗いた(a, b)。最初にルーペで切断面をみると、傘側に生えた毛が肉の色と対照的に白い(c)。ヒダのプレパラートも作ったが撮影はせず、菌糸構造を確認した。硬質菌などの菌糸構造を確認するには「三種の神器」ともいえる3%KOHフロキシン消しゴムを使うと楽だ(雑記2003.9.20同2003.9.19同2003.9.18)。
 興味深いのは、この白い毛は隔壁を持たず厚壁であり、他の部分はすべて隔壁を持った原菌糸だけからなっている。miticシステムとしては結果的に2菌糸型ということになる。胞子はどうもうまく撮影できない(d)。バラしついでに担子器を確認すると基部にクランプがある(e)。なお傘肉やヒダの菌糸には頻繁にクランプがみられる(f)。

 筑波に出発の時刻になった。先の日光でのトガリアミガサタケをアップしておくことにした。
 
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 先日の日光で出会ったヒロメノトガリアミガサタケは実に面白い姿をしていた。全般的に大きめの個体が多かった(a)。群れて発生しているものは少なく(b)、たいていはポツンと単生している。面白いことに、柄と頭部が直角に曲がった個体がとても多かった(c, d)。自重によるものか、風など外圧によるものか分からないが、さながら道標のようである。地面に這い蹲って出ているものもある(e)。まっすぐに伸び上がったものにも数十個体出会った(f)。
 しかし、学名のMorchella costata (Vent.) Pers.の取り扱いには困る。きのこ屋さんも「くさびら日記」で嘆いていたが、海外でこの学名に相当するのは、いわゆるトガリアミガサタケの仲間である。トガリアミガサタケの学名のMorchella conica Pers.に関しても、なんともやっかいな問題を抱えている。今は、学名の問題に深入りするのはやめにした。

2005年6月24日(金)
 
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(l)
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 今朝は、さきに所沢市で採取したヒメヒガサヒトヨタケ節のきのこを検鏡してみた。胞子が実に特徴的な形をしている(a)。硫酸でマウントしてみる(b)。発芽孔から組織の内容物がはみ出してくる。ヒダをルーペで拡大してみると、まるで微小な水滴のようなものが無数に着いている(c)。この部分を切り出してみると、どうやらシスチジアのようである(d)。
 ヒトヨタケ属のきのこの切片切り出しはなかなかうまく行かない。ルーペの下で、カミソリをあてて切り出したのだが、やはりかなり厚い(e)。倍率を少し上げるとヒダ実質の様子が何となく分かる(f)。ヒダの側面をみると子実層がきれいに並んでいる(g)。フロキシンを加えて先端をみた(h)。担子器もすぐに潰れてしまう(i)。
 傘の表面、特に中心付近には毛が生えている(j)。やや倍率を上げてみると、厚膜でかなり堅い組織からなっている(k)。そのうちから1本を視野の下に引っ張り出してみた(l)。これは2枚の写真の合成であるが、やはりうまく合成できていない。

 明日からしばし出かけるので、昨日早朝のさいたま市の公園の様子を以下に載せた。
 
(a)
(a)
(b)
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 見沼区の公園では、ウッドチップを主体とした一帯に多くのきのこが出ている。ツバナシフミズキタケハタケキノコネナガノヒトヨタケクズヒトヨタケキオキナタケなどは雨さえ降れば、ほぼ通年見ることができる。これらは、広い範囲によく出ていた。
 目立ったものだけをいくつか撮影した。キツネノタイマツ(a)、ツマミタケ(b)があちこちで異臭を放っていた。コムラサキシメジ(c, d)はその名に反して褐色である(c, d)。ハタケチャダイゴケが広範囲に群生を始めた(e, f)。これらの他にも、無数に群生したきのこが数種類(別の群)、ハラタケ科のきのこなどが目立ったが、しばらくは調べているゆとりが無い。

2005年6月23日(木)
 
本郷先生署名本
 
 「日本のきのこ」著者署名本オークションが始まった。この署名本は、2005年7〜8月にハワイ・ヒロで開催される日米合同菌学会のチャリティー・オークションでも出品されるが、今回、部数を限定して国内オークションにも出品されることになった。同じ図鑑でも、本郷先生の署名入りとなると、より愛着が湧くのではないだろうか。

 先日、きのこ屋(高橋 博)さんがURLを変更した。新しいURLは「http://kinoko-ya.jp/」である。実は「きのこ雑記」も1年程前に「http://zakki.jp/」に変更した。park16.wakwak.com/~fungi/ と両者を相互にミラーサイトとして維持している。

 6月から雑記 戯れ言というBLOGを始めた。いわば、日記モドキ(something like a diary)である。[今日の雑記] もアマチュア菌類愛好家による個人的メモに過ぎないが、戯れ言とはコンセプトが別だ。6月7日の戯れ言の再録になるが、当面は次のような方針で続けるつもり。
 雑記は(従来通り)「客観的で比較的有用な情報」を、戯れ言は(気紛れに)「主観的で役立たない随想」を指向している。[今日の雑記] は自宅からしか更新できないが、[雑記 戯れ言] は、ネット環境さえあれば更新できる。これに伴い、6月2日にトップページを少し修正した。

2005年6月22日(水)
 
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(i)
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(j)
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 ホシアンズタケの胞子(a〜j)は、鮮明な映像を得るのが難しい。球形で表面は鈍頭の突起に被われている。強いヌメリをもったきのこでも、ナメコとかモエギタケは簡単に胞子紋がとれる。しかし、ホシアンズタケの胞子紋を取ろうと思って、柄を切り離した状態の傘をスライドグラスなり、紙なりに一定時間放置しても、まったく胞子紋がとれないことがしばしばある。
 今朝はホシアンズタケの胞子をいくつかの条件の下で撮影して遊んだ。スケールは入れなかった。(a)はいわゆるドライマウント、(f)はフロキシンで染めてからドライマウント。ドライマウント状態で観察すると、胞子表面の状態は比較的わかりやすいが、映像は不鮮明になる。
 (b)と(c)は、水でマウント、(d)と(e)はその状態のままフロキシンを加えたもの。それぞれ、合焦部を胞子表面(b, d)、輪郭部(c, e)にして撮影した。(g)〜(i)はフロキシンで着色したエタノールでマウントして、合焦部を少しずつずらしたもの。(f)は光の入射角度をずらせたものだ。

2005年6月21日(火)
 
(a)
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(c)
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(i)
(i)
(j)
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 先にスジオチバタケを見たので、同じ仲間のオオホウライタケを覗いた(a)。これらは同日に海辺の防風林から持ち帰ったものだが、冷蔵庫の野菜ケースに放り込んでおいたものだ。あらかじめとっておいた胞子紋は白色(b)。
 胞子紋から胞子を少し掻き取って水でみた(c)。あまり鮮明ではない。メルツァーを加えると鮮やかに変色した。偽アミロイドだ(d)。ヒダを切り出した(e)。いつもの要領で次なる観察をするつもりだったが、急に気が変わった。あることをことを思い出した。
 担子器基部をどうやって確認しているのか、とよくきかれる。組織をバラして観察している。これについては、過去にも何度も触れた(雑記2005.5.20同2005.2.25同2004.5.21等)。特にこの件に関して、扱い日をまとめて列挙したのが2005.2.25の雑記だ。
 フロキシンで染めた切片をKOHで封入して、これを軽く押し潰すと、最終的に担子器がバラバラになって、観察がやりやすくなる(f〜j)。ふだんは押しつぶしには、柄付針の先でカバーグラスの上を軽く突いている。力が強すぎると担子器が潰れてしまう。

過去の雑記

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