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2005年8月20日()
 
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 昨日早朝、千葉県内房富津市の浜を歩いてきた。先月13日以来久しぶりの海浜での定点観察だった(雑記2005.7.14)。海浜ではずっと雨が降っていなかったらしく、コウボウムギやコマツヨイグサの葉が黄色くしおれて全く元気がない。ちょっと風が吹くと砂が舞う。
 最近発生したきのこは全くない。ただ、ケシボウズタケ(a〜c)とウネミケシボウズタケ(d〜f)のミイラが僅かに散見されただけだった。ケシボウズタケは冬から初春の頃に発生したと推定された。ウネミケシボウズタケは4〜5月発生の個体のようだ。それぞれのケシボウズの弾糸も念のために観察した(ケシボウズタケウネミケシボウズタケ)。
 いつもなら外房の浜にも回って観察するのだが、内房の乾燥ぶりを知ったので、外房には全く寄らずにam8:30には帰宅した。

2005年8月19日(金)
 
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(e)
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(f)
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 ベニイグチは非常に鮮やかで、とてもよく目立つ。これをじっくり観察したり描写するのはとても楽しい。しかし生態的特徴ばかりではなく、ミクロの姿も興味深い。網目をもった胞子は天然の造形美を感じさせられる(a〜c)。胞子のどの部分に焦点を合わせるかで見え方にはかなりの違いが生じる。顕微鏡で観察している最中には無意識に微動ノブをいじって全体像を把握しているが、写真では表面、表面やや下、輪郭部、などと特定して撮影するしかない。
 さらに、傘表皮には特徴的な組織構造がみられて興味深い(e, f)。水で封入(e)すると赤い色はそのままみられるが、KOHで封入(f)するとたちまち脱色されて淡黄色にかわってしまう。管孔部実質は細長い菌糸からなる組織が散開気味走っている(d)。
 相変わらず、近郊にはきのこの姿がほとんど無い。そこで、今朝も、最近何度も出会っているベニイグチの胞子等をあらためて覗いて楽しんだ。

2005年8月18日(木)
 
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(l)
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 オニイグチモドキを再び少していねいに検鏡してみた。16日に長野県の菅平から持ち帰ったものである(a)。8月8日にみたオニイグチモドキは十分に成熟していなかった(雑記2005.8.8)。
 胞子紋から採取した胞子をメルツァー液でみた(b, c)。3%KOHで封入したもの(d)とはずいぶん感じが違う。水でマウントした担子器はコントラストが弱いので、フロキシンで染めてから撮影した(e, f)。傘表皮のササクレの先端部は細長い筒状の組織からなっている(g)。
 管孔部実質はやや散開気味に細長い菌糸が平行に走る(h)。そのまま孔口部をみると縁シスチジアが見える(i)。柄に垂直に管孔部を切り出した(j)。便腹状で先端がくびれた側シスチジアが多数ある(k)。サイズを計測するために油浸100倍にしてフロキシンで染めた(l)。

2005年8月17日(水)
 
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 下界の暑さから逃れて長野県の菅平に行ってきた。ここでもきのこの姿はとても少ない。それでも、新鮮なオニイグチモドキが十数個群れて発生している様は壮観だった(a, b)。イグチでは他にアワタケ、キッコウアワタケ、コウジタケ、イロガワリなどが多かった。
 テングタケ類は以外と少なく、タマゴタケ(c)、ガンタケ、ツルタケが多かった。クロハツ、クロハツモドキがやたらに多かった。ヤグラタケもあちこちにでていた(d)。樹林の中ではコチャダイゴケ(e)、スジチャダイゴケ(f)などがみられた。帰路の十国峠周辺では、傘径27〜28cmほどの巨大なアカヤマドリがあった。

2005年8月16日(火)
 
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 一昨日検鏡したイグチについてのメモ。今月10日に皆野町の美の山で採取したものである(雑記2005.8.11 g, h)。柄には細かい網目模様がある(a, b)。孔口部は触れた部分からゆっくり褐色になった(a)。肉には変色性は無いが、時間経過と共に淡いピンク色になった。
 持ち帰ったあと、胞子紋をとるべく一昼夜試みたが、結局ほとんど胞子が落ちなかった。やむなく、子実層部に付着している胞子をみた(c)。ごくわずかに落ちた胞子紋では写真のものよりやや大きい。子実層に付着している胞子は小さめだといえる。
 傘表皮(d)、管孔部実質(e)を最初にみた。柄に平行に切り出した管孔部をフロキシンで染めてKOHでマウントした。ややバラけはしたが、実質部の組織の方向性がよく分かる(f)。
 孔口をルーペでみると、いかにも多数の有色のシスチジアがありそうだ(g)。顕微鏡低倍率でみた(h)。縁シスチジアが無数にある(i)。KOHでバラしてみた(j)。次に管孔部の中の方を切り出してKOHでマウントした(k)。濃褐色の内容物をもった側シスチジアが多数見える(k, l)。縁シスチジアより大きなものが多い。
 なお、同日秩父市で採取した同一種のきのこ(成菌若い菌胞子)も、検鏡結果はいっしょだった。どうやらこれらは、クロアワタケのようである。

2005年8月15日(月)
 
(a)
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(e)
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(f)
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 さきの秩父美の山で、ハイキングコースの木製階段から小型のきのこが出ていた(a, b)。傘径3cmほどしかない。ヒダは淡黄白色で密である(c)。見たところキシメジ科らしいことはわかる。胞子紋をとるため一昼夜ほど傘をカバーグラスに伏せておいた。結局全く胞子紋はとれなかった。ルーペでヒダの縁を見ると、いかにも大型の多数の縁シスチジアがありそうだ。
 ヒダの縁を見ると薄膜のシスチジアが無数にある(d)。ヒダの一部に胞子が付いていないか探したがどこにもない。担子器にも未熟胞子はついていな。担子器基部にはクランプがある(e)。傘表皮は糸状の組織が匍匐したり所々で立ち上がったりしている(f)。菌糸にはかなりの頻度でクランプが見られる。どうやら、サマツモドキの若い菌らしい。

   今日はこれから出かけて外泊となるので、明日の雑記はお休みの予定。昨夜イグチをひとつ検鏡したので、ゆとりがあればそれをまとめて、明日の夜にアップできるかもしれない。

2005年8月14日()
 
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 早朝、所沢の航空記念公園と近郊の保護林、三芳町の保護林を歩いてみた。きのこの姿はほとんど無い。かろうじて、フクロツルタケ、ツルタケ、キアミアシイグチ、アイタケ、モリノカレバタケがあったが、いずれも泥をかぶったり、カビに犯されていた。カメラの出番は無かった。
 さきの秩父美の山から持ち帰ったイグチの一部を検鏡した。傘表皮がビロード状で、肉は黄色、切断すると直ちに青変する大型のイグチをみた(雑記2005.8.11 d〜f)。
 1時間ほどカバーグラスの上にきのこを横たえると、検鏡するには十分過ぎる量の胞子がとれた(a)。孔口部を主体に柄に平行に切り出した。多数の縁シスチジアが見える(b)。バラしてフロキシンで染めてみた。子実層托実質(管孔部実質)は菌糸が広がりながら平行に走っている(c)。これもフロキシンで染めるとわかりやすい。
 次に管孔部を柄に垂直に切り出した。既に日数が経っているので薄切りはできなかった(d)。孔の側面を拡大してみると、担子器や側シスチジアが見える(e)。側シスチジアは縁シスチジアと同じような形をしているが、頻度はとても少ない。傘表皮を見ると、細長い菌糸が柵状に立ち上がって並んでいる(f)。これがビロード状の実体らしい。ヒイロウラベニイロガワリ(Boletus generosus)とイロガワリ(B. pulverulentus)が疑われるが、これはイロガワリとしてよさそうである。

2005年8月13日()
 
(a)
(a)
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(b)
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(c)
(d)
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(e)
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(f)
(f)
 先日栃木県の八丁ノ湯近くのブナ林でシロスズメノワン科Humariaceaeの盤菌が見られた。ブナ腐朽木の上(a)と地上から(b)出ていた。この仲間は胞子表面の模様と油球の様子を確認しないとうかつに同定できない。とりあえずHumaria sp.として冷蔵庫にそのまま保管しておいた。
 けさこれを検鏡した。子嚢盤を切り出した(c)。托髄層から外皮層にかけては円形菌組織(d)、子嚢盤の周囲と裏側には厚膜で節をもった剛毛が多数生えている(c)。子嚢などメルツァーでは反応がない(e)。胞子表面は微細な疣に被われ、二つの油球を持っている(f)。側糸は先端がやや膨大し薄膜で節をもつ。おもしろ半分に子嚢と側糸をフロキシンで染めてみた。どうやらシロスズメノワンとしてよさそうだ。
 
(g)
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(j)
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(k)
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(l)
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 胞子表面にある微細な疣を確認しやすくするため、三通りの方法で処理してみた。水でマウント(g, h)、コットンブルーで染色(i, j)、フロキシンで染色(k, l)である。それぞれ胞子表面に合掌(g, i, k)、胞子の輪郭部に合焦(h, j, l)した状態で撮影した。シロスズメノワンの胞子に関する限り、これらの染色の有無と見えやすさとはほとんど関係なさそうだ。

2005年8月12日(金)
 
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 秩父のイグチ類はさておいて、若いホオベニタケを観察した。サンプルは、今月6日に奥鬼怒温泉郷で採取したものだ。未熟で、触れても堅い個体を二つ切断してみた(0〜2)。左側の小さい個体の内部ははんぺん状(1)だが、右側のやや大きめの個体内部は綿状(2)だった(0)。
 まずは、成熟した個体の胞子を見た(3〜5)。(3),(4)は水で、(5)はサフラニンで染め、いずれも単眼の簡易顕微鏡で撮影した。グレバには胞子以外の組織はほとんどみられない。
 今朝の観察の目的は担子器の確認だ。まずは(1)の個体のハンペン状の部分を薄切りにしてフロキシンで染めてみた(6, 7)。未成熟な小さな胞子が不定形の担子器に8〜12ほど付いているのはわかる。水で封入したのだが、細部ははっきりしない。三次元的に胞子をつけているので、プレパラートが厚めになってしまい、よけいにピントも甘くなる。
 少しでもはっきり見えないかと思って、水を5%KOHで置き換えた。するとたちまち組織が平面的に広がり、担子器に付いた胞子が視野にたくさん見える様になった(8)。油浸100倍に変えてみると、水の時よりはずっとはっきりした(9, 10)。内部が綿状になった個体(2)からは、明瞭に担子器に付いた胞子の姿はみえず、担子器の残骸と小降りの胞子が多数見えた(11)。
 ここまで書いて気づいた。順番を数えるのに '1' からではなく、'0' からはじめている。面倒なのでそのままにすることにした。ふだんの習慣がそのまま出てしまったようだ。

2005年8月11日(木)
 
(a)
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 秩父地域でおもにコナラ林を歩いてきた。このところの熱さと貧雨のため、きのこはほとんど出ていないと予想していたので、コンパクトデジカメしか持っていかなかった。予備のCFカードもバッテリーも持参しなかった。そんなときに限って期待は裏切られるものらしい。
 皆野町の美の山では、全般的によい状態のきのこは少なかったが、イグチ類とテングタケ類がかなり出始めていた。ここでは7〜8種類のイグチに出会ったが、そのうちからコガネヤマドリ?(a〜c)とイロガワリ?(d〜f)の姿を取り上げた。大きな成菌には状態のよい個体は少ないが、小さな幼菌があちこちに見られた。
 秩父市のミューズパークでは良い状態のイグチ類、テングタケ類がいろいろ見られた。特に、コガネヤマドリ、ムラサキヤマドリ、ヤマドリタケモドキ、キアミアシイグチ(i, j)、ベニイグチ(k, l)が何ヶ所もでよく目立った。ススケイグチのように見えるものも菌輪をなしていた(g, h)。
 他にも、テングタケ科では、ツルタケ、テングタケ、シロオニタケ、ドクツルタケ、コテングタケモドキ、フクロツルタケを確認した。イグチ類では、ミヤマベニイグチ、オニイグチ、オニイグチモドキ、コビチャニガイグチ?、ウラグロニガイグチ、キッコウアワタケなどを観察することができた。
 予想外に多くのきのこに出会ってしまったことや、仕事の関係で、未だ同定作業は全くやっていない。したがって、写真のきのこの名称などには信頼性が薄い。

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